耐摩耗性の高め方と鋼材を紹介!【負担の大きい箇所に最適】
磨耗に対する強さを示す、耐摩耗について詳しく解説しています。金属を選ぶときのポイントから、耐摩耗性の高めかた、耐摩耗性に優れた鋼材まで紹介。この記事を読むことで耐摩耗に関しての知識が深まり、用途に合わせた鋼材選びが可能になります!
目次
耐摩耗に関して調べていますね?
金属製品の負担の大きい箇所には、丈夫で耐摩耗性に優れた鋼材が最適です。
耐摩耗性が不十分な鋼材を選んでしまうと、稼動時の故障や部品交換のサイクルが短くなる恐れがあります。
鋼材選択で重要な性質である、耐摩耗とはどのような概念であるのか。
その疑問にお答えするため、本記事では耐摩耗に関して詳しくご紹介します。
この記事を読めば、耐摩耗に関しての知識が深まり、用途に合わせた鋼材選びが可能です。
今後の製品製造の参考に、お役立てください。
創業100年以上の歴史を持つ、特殊鋼材・一般鋼材の加工・販売を手がけるクマガイ特殊鋼株式会社です。中部地区で唯一、日本製鉄の指定特約店であることを活かし、新鋼種の開発や、お客さまのものづくりに最適な鋼板・鋼材をご提供いたします。
耐摩耗とは【部材の耐久性能を向上します】
耐摩耗とは、摩耗に対する強さのことです。
摩耗とは、金属が他の金属や石などと擦れ合うことで、表面が磨り減る現象のことを言います。
耐摩耗性に優れていると、摩擦による表面の磨り減りを抑えることが可能です。
一般的に耐摩耗性が優れていると言えば、鋼材の摩擦係数が小さいことと、表面硬度が高いことを言います。
金属製品に、耐摩耗性に優れた鋼材を選択すれば、部材の耐久性能を向上させられるのです。
また、鋼材の中で耐摩耗に優れた鋼材のことを、耐摩耗鋼板と呼称します。
工業用の部品の採用事例として、駆動箇所やベアリングに使用することが多いです。
鋼材選びで、重要な性質ですので、押さえておきましょう。
金属を選ぶ上でのポイント【負担大の箇所向け】
耐摩耗に関してご紹介しましたので、次に金属を選ぶ上でのポイントをご紹介します。
本記事のテーマである耐摩耗を活かせる、負担の大きな箇所向けに厳選しました。
それでは、確認していきましょう。
2ー1.耐摩耗性
負担の大きな箇所には、耐摩耗性に優れた鋼材が適しています。
理由としては、稼働による激しい摩擦により部品が磨り減ることを防ぐため。
耐摩耗性に優れた鋼材を選ぶことにより、部品交換回数を減らすことができます。
製品のランニングコストを抑えるために重要なポイントですので、押さえておきましょう。
2ー2.強さ
負担の大きな箇所には、鋼材の強度が重要です。
強さが十分でなければ、機械稼動時にひび割れや破損などの部品故障を引き起こす恐れがあります。
強さに優れた鋼材を選ぶことにより、稼動時の部品故障のリスクを抑えることができるのです。
製品の安全性を高めるために重要なポイントですので、押さえておきましょう。
2ー3.溶接性
負担の大きな箇所に選択する鋼材は、溶接性に優れると良いと言えます。
なぜなら、耐摩耗性と強さが高い鋼材は、その硬さにより溶接しにくい鋼材の場合があるからです。
鋼材は要求に合った形状に加工し、溶接しなければ、製品にすることができません。
製品を仕上げるために重要なポイントですので、忘れずに押さえておきましょう。
【表面処理】耐摩耗性を高める方法
金属を選ぶ上でのポイントをご紹介しましたので、次に耐摩耗性を高める方法をご紹介します。
鋼材への表面処理により、耐摩耗性を高めることが可能ですので、確認していきましょう。
3ー1.メッキ加工
耐摩耗性を高める方法として、メッキ加工が有効です。
メッキ加工とは、固体の表面に金属の膜を張る加工技術のこと。
耐摩耗性に優れたメッキ加工についてご紹介します。
3ー1ー1.無電解ニッケルメッキ
耐摩耗性を高めるメッキ加工として、無電解ニッケルメッキが有効です。
無電解ニッケルメッキとは、電気を流さずに化学的にニッケルをメッキする加工技術のこと。
電解ニッケルメッキに比べて、耐摩耗性と耐蝕性に優れています。
量産部品にも、低コストで施すことが可能ですので、製品の耐摩耗性を高める手段として有効な手段の一つです。
3ー2.コーティング
耐摩耗性を高める方法として、コーティングが有効です。
コーティングとは、物体の表面を、定着可能な物質・物体で覆う加工技術のこと。
耐摩耗性に優れたコーティングについて、ご紹介します。
3ー2ー1.ダイクロンコーティング
耐摩耗性を高めるコーティングとして、ダイクロンコーティングが有効です。
ダイクロンコーティングとは、硬質炭化クロムにより、コーティングする加工技術のこと。
JIS規格の硬質クロムメッキと比べ、耐摩耗性と耐焼き付き性に優れています。
製品の耐摩耗性を高める手段として、有効な手段の一つです。
耐摩耗性に優れた鋼材一覧
耐摩耗性を高める方法に関してご紹介しましたので、次に耐摩耗性に優れた鋼材をご紹介します。
代表的な耐摩耗鋼板を3つ厳選し、まとめてみました。
耐摩耗鋼板とは、鋼材の中で特に耐摩耗に優れた鋼材のことを言います。
それでは、確認していきましょう。
4ー1.ABREX
ABREXとは、日本製鉄が製造している耐摩耗鋼板です。
日本製鉄は、日本に本社のある世界的な鋼材メーカーになります。
4ー1ー1.特徴
ABREXの特徴としては、耐摩耗性と溶接性に優れた点が挙げられます。
普通鋼に比べ、2~5倍程度の耐摩耗性を発揮可能です。
豊富な規格とサイズが揃っているので、用途に合う鋼板を調達することが可能になります。
耐摩耗に優れた鋼材として、オススメの鋼材の一つです。
4ー1ー2.価格
ABREXの価格に関しては、専門分野向けの商品であるため、明確な価格が公開されていません。
購入を検討する際は、メーカーである日本製鉄や鋼材問屋に問い合わせてみましょう。
ここでは、ABREXに関して豊富な取り扱い実績のある鋼材問屋、クマガイ特殊鋼株式会社をご紹介します。
創業100年以上の歴史を持つ、特殊鋼材・一般鋼材の加工・販売を手がけるクマガイ特殊鋼株式会社です。中部地区で唯一、日本製鉄の指定特約店であることを活かし、新鋼種の開発や、お客さまのものづくりに最適な鋼板・鋼材をご提供いたします。
4ー1ー3.適用事例
ABREXは様々な工作機械に利用されており、以下のような使用例があります。
- 圧砕機アタッチメント先端刃
- スクラッププレス機ライナー
- 大型ダンプトラックボデー
より詳しい事例を写真付きでお探しの場合は、ABREXの特集記事をご確認ください。
4ー2.HARDOX
HARDOXとは、SSABが製造している耐摩耗鋼板です。
SSABは、スウェーデンに本社のある世界的な鋼材メーカーになります。
4ー2ー1.特徴
HARDOXの特徴としては、硬さと加工性に優れた点です。
普通鋼に比べて、耐摩耗性が最大25倍も高いという特徴があります。
別名として、SSABスウェーデン鋼としても呼ばれることも。
部品に対して、高い耐摩耗性が必要な場合は、HARDOXの使用を検討すると良いでしょう。
4ー2ー2.価格
HARDOXの価格は、普通鋼と比べると多少高価になります。
HARDOXの参考価格としては、以下の通りです。
参考商品 | 大きさ | 参考価格 |
耐摩耗鋼板 | 横300mm x 縦300mm x 厚さ10mm | 4,500円程度 |
普通鋼 | 横300mm x 縦300mm x 厚さ9mm | 4,000円程度 |
より詳しい価格情報をお探しの場合は、参考価格のあるHARDOXの特集記事をご確認ください。
4ー2ー3.適用事例
HARDOXは様々な工作機械に利用されており、以下のような使用例があります。
- 圧砕機アタッチメント先端刃
- 大型ダンプトラックボデー
- 油圧ショベルのバケット
より詳しい事例を写真付きでお探しの場合は、HARDOXの特集記事をご確認ください。
4ー3.EVERHARD
EVERHARDとは、JFEスチールが製造している耐摩耗鋼板です。
JFEスチールは、日本に本社のある世界的な鋼材メーカーになります。
4ー3ー1.特徴
EVERHARDの特徴としては、低温靭性と耐摩耗性に優れた点が挙げられます。
普通鋼に比べ、3~6倍の耐摩耗性がある硬い鋼材です。
低温靭性にも優れ、絶対零度以下の環境に耐える品質保証が長所です。
-40℃での定温靭性まで保証しており、寒冷地や強い衝撃を受ける環境で最適な鋼材といえるでしょう。
4ー3ー2.価格
EVARHARDの価格に関しては、専門分野向け商品であるため、明確な価格が公開されていません。
購入を検討する際は、メーカーや鋼材問屋に問い合わせてみましょう。
4ー3ー3.適用事例
EVERHARDは様々な工作機械に利用されており、以下のような使用例があります。
- ブルドーザー、ショベルカー
- ダンプ、トラック
- 油圧ショベルのバケット
より詳しい事例を写真付きでお探しの場合は、EVERHARDの特集記事をご確認ください。
まとめ
本記事では耐摩耗に関して、ご紹介しました。
耐摩耗とは、摩擦に伴って生じる固体表面部分への損傷に対する、耐性のことです。
耐摩耗性を高めることにより、製品の長寿命化が測れるので、特にダンプのボディー部分など、負担の大きい箇所を製造する際には十分に考慮しましょう。
お持ちの金属の耐摩耗性を高める方法は、メッキとコーティングで加工する2つの方法があります。
とはいえ、「2つについて調べて依頼するのは面倒」「すぐに耐摩耗性に優れた金属が欲しい」という方は耐摩耗性に優れた鋼材の購入がオススメ。
この記事で紹介した、耐摩耗に関する情報を、ぜひ鋼板選びの参考にしてください。
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