最新版!硬い鉄のまとめ【選び方も解説】

硬い鉄とは、炭素の混じった鋼材のことを指します。硬さの基準は硬度(HBR)で表しますが、強度という意味の硬さはHBRだけでは測れません。この記事では、硬さを表す基準の種類と目的別の硬い鉄をご紹介します。硬い鉄に関する知識をつけて、適切な硬い鉄を選びましょう。

最新版!硬い鉄のまとめ【選び方も解説】のイメージ

硬い鉄をについてお調べでしょうか?

硬い鉄とは、炭素の混じった鋼材のことを指します。

Fe100%の鉄は非常に脆く、市場に出回っている鉄は硬度を求めるために炭素を混ぜた鋼材なのです。

この記事では、硬い鉄の定義や硬い鉄の選び方を紹介します。

硬い鉄に関する知識をつけて、目的にあった適切な硬い鉄を選びましょう。

そもそも硬い鉄とは?

硬い鉄とは、炭素が混じった鉄です。

鉄そのものはもろい性質のため、炭素など他の元素を混ぜて鋼に加工することで合金化して硬度をあげています。

ここからは鉄と鋼の違い、強度と硬度の違いについて見ていきましょう。

1-1.炭素を含有した鉄のこと【鋼材】

炭素が含まれた鉄を鋼材と言います。
もともと脆い物質である鉄に炭素を合金化することで、硬い鉄である鋼材に加工するのです。

炭素を含んだ鉄を鋼材と呼び、鋼材に更に金属を添加することで用途に合わせた特殊鋼へ加工することができます。

1-2.鉄と鋼の違い【炭素量がポイント】

鉄と鋼の違いは炭素の含有量です。

鋼とは、2%以下の炭素を含んだ鉄の合金を言います。

鉄は柔らかく脆いですが、炭素を混ぜ鋼に加工することで硬度を増すのです。

1-3.硬さと折れやすさはトレードオフ

鉄の硬さと折れにくさはトレードオフの関係です。
硬度が高ければ負荷が許容量を越えた際に折れやすくなります。

粘りをもたせると折れにくくなりますが、硬さが減って衝撃によって形が変わり易くなるのです。

例えば、工具でいうと切削工具などは硬さが求められますが、六角レンチなどのは硬さだけでなく折れにくも求められます。

硬度と折れにくさ両方を兼ねそろえる金属はなく、目的に合わせた適切な分量での加工が必要なのです。

【最新版】硬い鉄のまとめ【ブリネル硬さで比較】

硬い鉄についての概要を解説しました。

ここでは、硬度の指標であるブリネル硬さをもとに、硬い鉄の一覧を表としてまとめましたので紹介します。

2-1.金属硬度の一覧表

鋼材名HBM(ブリネル硬さ)備考
アルミ合金HBW 45~50缶によく使われる合金です。アルミの柔らかさがHBM45-50程度と基準に考えて下さい。
S30C(機械構造用炭素鋼)HBW 152~212機構造用炭素鋼は、アルミの3~4倍程度の硬度です。
SCr435(クロム鋼鋼材)HBW 255~321クロム硬は鋼にクロムを1%添加した合金です。炭素だけ加工した鋼よりも硬く、ベアリングや工具などによく使われます。
SMn443(マンガン鋼)HBW 229~302鋼にマンガンを添加した合金。張力(引っ張る力)に強いので橋梁などに用いられる。
SCM445(クロムモリブデン鋼、クロモリ鋼)HBW302~363クロモリ鋼は適度な靭性でしなり、加工のし易い合金です。自転車のフレームやエンジンパーツなどに使われます。
SK95(SK4)、炭素工具鋼HBW 203~286硬度のほか耐摩耗性にも優れています。熱には弱いので熱の発生しない、カミソリや丸ノコなどの切削工具に使われます。
SKT6(合金工具鋼鋼材)HBW 512硬度があり、熱にも強いので研磨や切削工具などに使われます。ただし硬いので加工は困難です。

硬い鉄の選び方【硬い+αの性質】

とにかく硬い 耐摩耗鋼 ABREX®️

硬度はブリネル硬さが基準値とされます。

しかし、鉄の強度には、硬さ以外にも目的に合わせた強度の基準があるのです。

以下では、目的別の硬い鉄をご紹介します。

3-1.とにかく硬さ重視の鉄【耐摩耗鋼板】

とにかく硬さ重視の鉄を求める人には、耐摩耗鋼板の利用がおすすめです。

一般的に、耐摩耗とは表面硬度が高く摩擦係数が低いことを示しています。

機械の寿命や精度にも影響があるため、機械に使用される材料は耐摩耗性を上げることが重要です。

3-1-1.ABREX

ABREXはすぐれた耐摩耗性・高い溶接性・加工性が特長の商標です。

耐摩耗性が高いので耐久期間が長く、溶接性に優れており曲げ加工もし易くなっています。

主な使用例は、高い耐摩耗性を活かした高積載のダンプカーのトラックボディや、圧砕機の先端です。

耐久年数や曲げなどの加工性が求められる部品に適しています。

3-2.硬くて割れにくい鉄【高張力鋼板】

硬くて割れにくい鉄を求める人には、高張力鋼板の利用を推奨します。

張力とは、物理学的にいうと物体内に考えた任意の面の両側の部分が、この面に垂直に引き合う力です。

つまり、引っ張られる力に対する強さと言えます。

3-2-1.WEL-TEN

WEL-TENとは、溶接性に優れた高張力鋼の商標です。

引っ張る力に対する強度が高いため、橋梁、球形タンク、造船などに使用できます。

溶接性に優れているので加工しやすいのも特徴です。

Cu、Crなどの合金元素が含まれているため、一般鋼材に比べて耐食性が良好で、雨風に晒される建造物に適しています。

3-3.硬くて腐食耐性がある鉄【露点腐食鋼板】

硬くて腐食耐性がある鉄なら、露点腐食鋼板が適しています。

金属における腐食は、化学反応によって溶けたりサビついた状態です。

露点腐食鋼板とは、特に石炭を熱源とする各種ボイラーにおける重要な腐食問題に対策した鋼材になります。

3-3-1.S-TEN

S-TENとは耐硫酸に優れた露点腐食鋼板の商標になります。

耐硫酸の腐食に優れているのが特徴です。

具体的な用途は、石炭火力ボイラー、廃棄物焼却施設の排煙設備や、塩酸酸洗槽、工業硫酸タンクなど硫酸・塩酸腐食し易い環境化での利用になります。

ボイラーなど腐食が問題となる環境下での利用に適した金属です。

3-4.硬くて衝撃に強い鉄【ハイマンガン鋼板】

ハイマンガン鋼板は硬くて衝撃に強いのが特徴の鉄です。

一般的に、Mn11%以上を主合金成分とする非磁性の合金鋼を指してハイマンガン鋼と言います。

硬度と靭性のバランスが良いので、硬さと衝撃強度を兼ね備えた金属です。

3-4-1.NM-13MN

NM-13MNは、耐衝撃摩耗鋼板という摩耗性を持ちながら衝撃にも強い金属の商標です。

加工硬化という性質を持ち、靭性のある金属ですが衝撃が加わった際に硬度が上がります。

非磁性の特性があり、磁力に影響されないので電気部材に適している金属です。

加工硬化の性質があるため加工は困難ですが、非磁性と硬度を活かして産業廃棄用トラックの内張りや鉱石を砕くインパクトクラッシャーなどに使われます。

3-5.硬くてサビに強い鉄【耐候性鋼板】

硬さと耐サビを求める用途には耐候性鋼板が適しています。

耐候性とは屋外利用による変形、変色劣化に強い特性です。

3-5-1.COR-TEN

COR-TENはサビをサビで防ぐという独特の特性をもった耐候性鋼です。

合金元素の働きにより表面に緻密な保護性サビを形成し、以降のサビ進展を抑制します。

見た目はサビて変色しますが、内部までサビが進行しないので耐久性の劣化が少なく、屋外使用に強いのが特徴です。

硬い鉄の購入は加工まで対応可能な専門商社へ

硬い鉄の選定に自信がない人は、加工まで対応可能な専門商社への依頼も検討しましょう。

専門業者であれば、目的に合わせた適切な鋼材の選定だけでなく、加工対応も可能です。

4-1.クマガイ特殊鋼株式会社

クマガイ特殊鋼株式会社は、創業100年以上の長い歴史を持つ特殊鋼専門商社です。

特殊鋼を専門として多くの販売・加工実績を上げており、国内最大手の特殊鋼メーカーになります。

鋼材では全国有数の商品ラインナップを誇り、顧客の要望に柔軟に応えられることが特徴です。

加工の難しい特殊鋼の販売だけでなく加工にも対応できる強みがあります。

まとめ

今回の記事では硬い鉄について解説しました。

鉄と言えば硬いイメージですが、Fe100%の純粋な鉄のままでは非常に脆くなっています。

そのため、硬度をあげる目的で市場に出回っているほとんどの鉄は炭素を含んだ鋼材です。

素材として鉄を選ぶ際は、”とにかく硬さ重視”、”硬さと割れにくさどちらも重要”など硬さと割れにくさのバランスが大切になります。

また実際に使う際には硬さだけでなく、耐候性や耐硫酸性など使用環境に適した特性の検討も必要です。

本記事を参考に、目的にあった適切な硬い鉄を選びましょう。

鋼板・鋼材の加工・専門商社|クマガイ特殊鋼株式会社

創業100年以上の歴史を持つ、特殊鋼材・一般鋼材の加工・販売を手がけるクマガイ特殊鋼株式会社です。

中部地区で唯一の日本製鉄指定特約店であることを活かし、新鋼種の開発やお客さまのものづくりに最適な鋼板・鋼材をご提供しています。