【ハイテン材】自動車を中心に採用拡大中の鋼材について徹底解説

引張強度が490MPa以上の鋼材であるハイテン材について詳しく解説します。自動車分野への採用が近年拡大しており、軽くて丈夫というのが一番の特徴です。この記事を読むことで、ハイテン材に関しての知識が深まり、自動車製造などを行う上で適切な鋼材選びができるようになります。

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ハイテン材に関して、調べていますね?

ハイテン材は、普通自動車や産業車の製造目的に近年注目されている鋼材です。

自動車製造に適した鋼材を選ばないと、重量や燃費の面で不利になる恐れがあります。

本記事では、注目されているハイテン材に関して特徴や方法をまとめました。

この記事を読めば、ハイテン材に関しての知識が深まり、自動車製造などを行う上で適切な鋼材選びをすることが可能です。

それでは、確認していきましょう。

ハイテン材とは?【およそ490MPa以上の引張強度】

ハイテン材とは、硬くて磁性が無いという特徴のある鋼材です。

正式名称は「High Tensile Strength Steel(HTSS)」で、略してハイテンと呼ばれます。

JIS規格としては、JISG3106(溶接構造用圧延鋼板)が該当。

日本国内では、引張強度がおよそ490MPa以上のものがハイテン材に分類されます。

硬い鋼材のため、同じ強度を保った上で鋼材を薄くすることができ、自動車などに適用すると重量を軽くすることが可能です。

軽くすることで負荷が減り、燃費が向上します。

近年、自動車製造業界を中心に注目されている鋼材です。

1ー1.自動車分野での採用が拡大

ハイテン材は、自動車分野での採用が拡大しています。

ハイテン材を使用すると強度を保ったまま軽量化することができ、燃費が向上するからです。

近年重要視されている環境保護の観点からも、燃費性能の向上により排気ガスを抑えることができるので評価されています。

引張強度が高いため曲面に加工しやすく、車体に合わせて柔軟な形状に鋼材に加工することも特徴です。

鋼材メーカーは市場獲得のため、各社ハイテン材の品質改良を目指しています。

ハイテン材は燃費の高さと柔軟な形状に加工できることから、自動車分野での採用が拡大していると覚えておきましょう。

ハイテン材の特徴

ハイテン材の概要について、大まかに確認しました。

次に、ハイテン材の特徴について確認していきます。

2ー1.引張強度が高いので軽量化が可能

ハイテン材は、引張強度が高いので軽量化が可能です。

強度を保ったまま鋼材を薄くすることで、軽量化ができます。

従来の普通鋼と同じ強度であれば、ハイテン材の方が丈夫で軽量です。

ハイテン材の特徴として、強度を保ったまま軽量化できると覚えておきましょう。

2ー2.価格が経済的

ハイテン材は価格が経済的です。

理由としては、大量生産に向いていることから市場供給量が増え、価格低下に繋がるから。

ハイテン材の持つ高い強度の特徴を、低コストで大量に調達することが容易です。

ハイテン材の特徴として、採用すれば鋼材費を抑えることができると覚えておきましょう。

ハイテン材を加工する上での注意点

ハイテン材の特徴について、確認しました。

次に、ハイテン材を加工する上での注意点について確認していきます。

3ー1.スプリングバックを想定したプレス加工をする

ハイテン材は、スプリングバックを想定したプレス加工が必要です。

スプリングバックとは、鋼材をプレス圧から離すと一定量元の形状に戻ってしまう現象のこと。

この特性を考えずに設計してしまうと、予定と違う形状の加工品になってしまいます。

スプリングバックが起こることを想定して、設計をする必要があることを覚えておきましょう。

3ー2.軟鋼との溶接加工の際は溶接割れに注意する

ハイテン材は、軟鋼との溶接加工をする際は溶接割れに注意する必要があります。

なぜなら、軟鋼とハイテン材は強度が異なる鋼材であり、溶接の耐性が違うからです。

溶接割れとは、溶接部分にひび割れが生じて強度が著しく低下する現象。

しかし、適切な予熱を行えば溶接割れのリスクを低下させることが可能になります。

ハイテン材と軟鋼を溶接加工する際は、予熱が重要であることを覚えておきましょう。

ハイテン材の適用事例

ハイテン材を加工する上での注意点について、確認しました。

次に、ハイテン材の適用事例について確認していきます。

4ー1.軽自動車N-BOX【外板部品にも】

ハイテン材は、ホンダの軽自動車のN-BOXに適用されています。

車体だけでなく、外板材にも適用されて注目を集めました。

ハイテン材の特徴である、強度を保ったまま軽量化できることが採用の決め手です。

N-BOXは安全性が高く、燃費が良い車を実現することができました。

ハイテン材は自動車の鋼材として適しており実際の採用が拡大しているのです。

ハイテン材を購入するには?

ハイテン材の適用事例について確認しました。

次に、ハイテン材を購入する際にはどのような製品があるか確認していきます。

5ー1.WEL-TEN

WEL-TENとは、日本製鉄が製造しているハイテン材です。

日本製鉄は、日本に本社を持つ世界的な鋼材メーカーの一つになります。

5ー1ー1.特徴

WEL-TENの特徴としては、溶接性や耐食性、靭性に優れた点が挙げられます。

WEL-TENを採用すると製品寿命や低音割れ、サビ等の問題を楽に解決可能。

引張強度に応じた豊富な製品規格があるため、予定する製品の性能に応じて鋼材を調達しやすいのも魅力です。

WEL-TENはハイテン材として十分な性能を持ち、溶接性の良い鋼材として覚えておきましょう。

5ー1ー2.価格

WEL-TENの価格は専門分野向けの商品であるため、明確な価格が公開されていません。

購入を検討する際は、メーカーである日本製鉄や鋼材問屋に問い合わせてみましょう。

ここでは、WEL-TENに関して豊富な取り扱い実績のある鋼材問屋、クマガイ特殊鋼株式会社をご紹介します。

5ー2.JFE-HITEN

JFE-HITENとは、JFEスチールが製造しているハイテン材です。

JFEスチールは、日本に本社を持つ世界的な鋼材メーカーの一つになります。

5ー2ー1.特徴

JFE-HITENの特徴としては、延性が良く加工性が良好な点が挙げられます。

JFE-HITENを採用すると、曲げ加工、穴あけ、切削などの機械加工が行いやすいです。

高度な技術管理の元で製造されていることから、材質が均一で表面が美麗な点も特徴と言えます。

JFE-HITENは、ハイテン材として十分な性能を持ち、加工性の良い鋼材として覚えておきましょう。

5ー2ー2.価格

JFE-HITENの価格に関しては、専門分野向けの商品であるため、明確な価格が公開されていません。

購入を検討する際は、メーカーである日本製鉄や鋼材問屋に問い合わせてみましょう。

ハイテン材の利用を検討する方は鋼材のプロへ相談

ハイテン材を購入するにはどのような製品があるか紹介しました。

ハイテン材は、特殊鋼として専門の用途を持つ鋼材です。

鋼材メーカーにより、それぞれ特徴のあるハイテン材が販売されています。

ハイテン材で失敗しない鋼材調達を行うには、特徴を知り尽くした鋼材のプロに相談するのも手です。

そこで、実績のあるハイテン材取り扱いメーカーを紹介します。

6ー1.クマガイ特殊鋼株式会社【購入から加工までサポート】

ハイテン材を購入可能な鋼材メーカーである、クマガイ特殊鋼株式会社を紹介します。

クマガイ特殊鋼株式会社は、創業100年以上の歴史を持つ実績のある特殊鋼専門商社です。

特殊鋼専門商社として世界的な特殊鋼メーカーである日本製鉄に対して、東海エリア唯一の特殊鋼厚板取扱店。

特殊鋼板取り扱いに関しては高い技術を有しており、加工の難しい特殊鋼を自社で加工可能です。

ハイテン材の購入を検討している場合は、クマガイ特殊鋼株式会社に問い合わせてみましょう。

まとめ

本記事ではハイテン材についてまとめてきました。

ハイテン材とは、引張強度が490MPa以上の鋼材です。

自動車部品への採用が近年加速しており、”軽くて丈夫”というのが一番の特徴。

価格が経済的であることも特徴としてあげました。

加工する際は、スプリングバックと溶接割れに注意しましょう。

どちらも強度を普通以上に高めたハイテン材特有の注意点です。

ハイテン材を購入する際は、加工までトータルでサポート可能なクマガイ特殊鋼株式会社をオススメします。

この記事で紹介した、ハイテン材の特徴や方法などを今後、鋼板加工を行う際の参考にしてください。