【CORSPACE】塗装周期延長鋼を紹介【LCCが1/3に?】
CORSPACEについて詳しく解説。そもそもCORSPACE結とは何か、メリットデメリットや製品事例まで網羅的にわかりやすく紹介しています。この記事を読むことでCORSPACEについての理解が深まり、良い製品を作るための鋼材選びができるようになります!
目次
CORSPACE(コルスペース)について調べていますね?
CORSPACEとはSnを微量添加した鋼材で、橋梁などに使用されています。
塩害に強いなど数々のメリットがありますが、一方でイニシャルコストがかかり予想外の金額になってしまうことも。
そこで本記事では、CORSPACEの特徴やメリット、使用コスト、適用事例を紹介しています。
本記事を読むことで、CORSPACEが製品に適しているのかわかりますので、ぜひ参考にしてください。
目的に合った材料を選び、理想の製品を実現しましょう!
CORSPACEとは?
CORSPACEは、塗装周期延長耐食鋼(COrrosion Resistance Steel for PAinting Cycle Extension)のことで、鋼材の腐食を抑制することを目的として開発された鋼材です。
橋梁や港湾構造物などの、インフラ維持管理の経済的コストを抑える効果が期待できるとして、注目されています。
以下で詳細を見ていきましょう。
1ー1.Snを微量添加した鋼材
CORSPACEは、Sn(スズ)を微量添加した鋼材です。
Snを添加することで、普通鋼に比べて耐食性をあげることができます。
Snイオンは、鉄イオンの溶出を抑えることでアノード反応を抑制し錆を予防する効果があり、塗膜欠損部や塗膜劣化部の腐食を抑えることが可能です。
特に沿岸部では、海水により腐食の進行が速いため、効果を発揮します。
CORSPACEの特徴【橋梁のみならず産業機械にも有効!】
CORSPACEの特徴は以下の通りです。
- 塗装周期を延長できる
- 塩害に強い
- 橋梁に必要なJIS規格にすべて適合
- 各種施工性は普通鋼と同等
特徴を知ることで、どのような製品に適しているのかがわかります。
では、1つずつ見ていきましょう。
2ー1.塗装周期を延長できる
CORSPACEは塗装周期を延長できます。
なぜなら、鋼材に添加されたSnによって腐食の進行を抑制することができるからです。
同一塗装・架設環境下でCORSPACEと普通鋼を比較すると、塗膜がはがれる期間が2倍延び、塗膜がはがれた部分の腐食の深さも普通鋼の30%以下に抑えられています。
そのため、塗装周期を2倍に延長できるのです。
2ー2.塩害に強い
CORSPACEは塩害に強い鋼材と言えます。
添加されたSnが、海水の塩化物イオンで発生する腐食を抑制してくれるからです。
橋梁や港湾構造物の中で、雨水によって海水が洗い流されない部分は、錆が発生しやすいという問題がありました。
鋼材そのものに錆を抑制するSnを添加することで、錆が発生しやすい部分の耐食性をあげることができるのです。
2ー3.橋梁に必要なJIS規格にすべて適合
CORSPACEは、橋梁に必要なJIS規格にすべて適合しています。
- JIS G3101 一般構造用圧延鋼材(SS)
- JIS G3106 溶接構造用圧延鋼材(SM)
- JIS G3140 橋梁用高降状点鋼板(SBHS)
上記のJIS規格化学成分の範囲内で微量のSnを添加することで、橋梁に必要なJIS規格に適合しています。
また、厚板製造可能範囲も普通鋼と同等です。
2ー4.各種施工性は普通鋼と同等
CORSPACEの各種施工性は普通鋼と同等です。
切断・曲げ・溶接等の施工を、普通鋼と同じように行うことができます。
専用溶接材料やボルトの用意もあり、鋼材の機械的性質も普通鋼と同等です。
CORSPACEのメリット・デメリットを押さえよう!
CORSPACEの腐食を抑える仕組みと、特徴を見てきました。
次にCORSPACEのメリット・デメリットを紹介します。
CORSPACEは、特性上普通鋼はないメリットがある一方で、コスト的なデメリットもある鋼材です。
メリットとデメリットの両方を知ることで、使用目的に対して利点の方が大きいのかそうでないかがわかります。
両方を確認して、使用を検討しましょう。
3ー1.メリット
CORSPACEのメリットは以下の3つです。
- ライフサイクルコストを低減できる
- 環境負荷を削減できる
- 完成後評価の加点要素である
耐食性の高いCORSPACEには、他の鋼材にはないメリットがありますので、1つずつ見ていきましょう。
3ー1ー1.ライフサイクルコストを低減できる
CORSPACEはライフサイクルコストを低減できるメリットがあります。
耐食性が高く塗装周期を2倍に延長できるため、100年間で3回必要な橋梁の塗装を1回に減らすことができるのです。
主な管理維持の項目は、塗膜劣化部分から発生する錆の進行です。
定期的な塗替えが必要となり、維持管理費用の中で塗装は大きな割合を占めています。
CORSPACEは、塗装維持管理費用を大幅に抑えることが可能で、ライフサイクルコストを1/3まで低減することができるのです。
3ー1ー2.環境負荷を削減できる
CORSPACEは、環境負荷の削減ができます。
鋼材の塗料に含まれるトルエン、キシレン、酢酸エチルなどのVOC(揮発性有機化合物)は、作業者の健康阻害や、太陽光の作用を受け光化学スモッグや浮遊粒子状物質の発生原因です。
CORSPACEは塗装回数が少なくすむため、大気中にVOCが排出されるのを抑制することが可能なのです。
3ー1ー3.完成後評価の加点要素である
CORSPACEは、工事成績評定の加点要素になります。
NETIS登録技術のため、公共工事で活用した場合、技術提案や完成後評価の加点要素になるのです。
国土交通省は、工事の入札に技術力を考慮して受注者を決める総合評価入札方式をとっており、工事成績評定の点数が高いと優位になるメリットがあります。
3ー2.デメリット
他の鋼材にないメリットがあるCORSPACEですが、一方でイニシャルコストが追加でかかるデメリットがあります。
詳しく見ていきましょう。
3ー2ー1.イニシャルコストが追加でかかる
CORSPACEは、イニシャルコストが追加でかかるデメリットがあります。
腐食を抑える特殊鋼材であるため、普通鋼に1トンにつき2万円上乗せされた価格で販売されており、イニシャルコストは普通鋼よりも割高です。
しかし、1トンにつき10万円程度かかる塗装コストが削減できるため、長期使用の場合は普通鋼よりもCORSPACEの方がコスト利点は大きくなります。
CORSPACEの適用事例【橋梁のみならず産業用機械にも最適!】
CORSPACEの特徴やメリット・デメリットを見てきました。
次に、CORSPACEの適用事例を2つご紹介します。
・阪神高速三宝JCT
・アンローダー
CORSPACEは橋梁のみならず、産業用機械等にも適した鋼材です。
適用事例を知ることで、CORSPACEの具体的な使用先がわかり、本当に使うべきか判断できるようになります。
1つずつ見ていきましょう。
4ー1.阪神高速三宝JCT
1つ目は、阪神高速三宝JCTです。
阪神高速三宝JCTは大阪湾に面しているため、塩害防止のためにCORSPACEが使用されました。
他にも、首都高速道路株式会社の橋梁構造物設計施工要項の使用材料に「スズ添加鋼」として記載されており、使用が拡がっています。
4ー2.アンローダー
CORSPACEは湾岸荷役機械であるアンローダーにも使用されており、海水に対する耐食性を発揮しています。
塩害によって腐食の進行が速い地域には、橋梁に限らずCORSPACEがオススメです。
CORSPACEの適用でお困りなら鋼のプロへの相談もアリ!
CORSPACEが製品に適しているか知りたい方は、鋼のプロに相談しましょう。
CORSPACEは耐食性が高くライフサイクルコストを削減できる鋼材ですが、イニシャルコストがかかるデメリットも。
プロに相談することで、製品の目的やコスト的にCORSPACEの使用が可能か、他にもっと適した鋼材があるかなどを聞くことができます。
まずは、製品への適正やコスト面の相談を鋼のプロにしましょう。
5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社
クマガイ特殊鋼株式会社は、豊富な加工技術により、製品の用途や目的に合った加工方法と鋼材の提案や設計&加工をしてくれます。
CORSPACEだけでなく、S-TEN、COR-TENなどの耐候性鋼板も取り扱っているため、塩害のある地域で製品を製造する際はクマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。
まとめ
CORSPACEとは、微量のSnを添加した鋼材です。
Snを加えることにより耐食性がまし、塗装周期が2倍に延びるメリットがあります。
イニシャルコストは多少かさみますが、長期的な視点で見るとライフサイクルコストが普通鋼よりかからない場合も。
適用事例として、橋梁に使われており、近年では海沿で使う産業用機械への応用も進んでいます。
CORSPACEについてのお悩みがありましたら、ぜひクマガイ特殊鋼株式会社までご相談ください!
鋼のプロとして徹底サポート致します。