【WEL-TEN】引張り強さと強度がウリの鋼材です

引張り強さと強度に優れた、WEL-TENという鋼材について、わかりやすく解説しています。特徴から価格、適用事例まで網羅的に紹介。この記事を読むことで、WEL-TENの特徴がわかり、軽量化や強度を高めたい時にどの鋼材が適切か判断できる様になります。

【WEL-TEN】引張り強さと強度がウリの鋼材ですのイメージ

WEL-TENに関して、気になるようですね?

WEL-TENは高強度の鋼材の中として、著名な製品です。

原油タンクの製造などに使用すれば優れた軽量化、高強度化が実現可能。

そのため、普通鋼のメンテナンス性に悩まされている場合は、大きく問題を解決する余地があります。

歴史と実績のある鋼材なので、採用すれば失敗しない鋼材選びが出来るでしょう。

この記事を読めば、WEL-TENを検討するにあたり、特徴や注意点が理解可能です。

それでは、一緒に確認していきましょう。

WEL-TENとは【引張り強さと強度がウリです】

WEL-TENとは、溶接性に優れた高張力鋼材です。

日本では、高張力鋼材はハイテン、高抗張力鋼とも呼ばれることもあります。

JIS規格として対応しているのは、JISG3106(溶接構造用圧延鋼板)です。

WEL-TENの製造元は、鋼材トップメーカーである日本製鉄株式会社になります。

歴史ある鋼材で、2012年に新日本製鐵と住友金属工業が合併するまでは、SUMITENの規格名でも呼ばれていました。

引っ張り強さに応じた豊富な規格があるので、鋼材を用いて作成する加工品の性能要求に応じて調整が行い易いのも魅力。

普通鋼と比較して、加工難度に大差はないため、扱い易い鋼材です。

WEL-TENの特徴【丈夫な鋼を探している人、必見です】

ここまでWEL-TENの概要について見てきました。

次に、WEL-TENが鋼材としてどのような特徴があるか、確認していきましょう。

2ー1.引張強さが強く、高い切欠靱性

WEL-TENは、引張強さが強く、高い切欠靱性を持つ鋼材です。

引張強さが強いため、原油タンクをはじめとして幅広い用途に利用できます。

普通鋼に比べて、同じ性能を実現する場合は厚みを減らせるので、軽量化及び燃費向上に貢献し、経済性を高めることが可能。

切欠靱性が高いことにより、老朽化に強く、加工品の長寿命化に期待できます。

WEL-TENが、長年使用されてきた信頼性のある特徴なので、覚えておきましょう。

2ー2.冷間加工・曲げ加工が可能

WEL-TENは、加工時に冷間加工・曲げ加工が可能です。

冷間加工とは、常温もしくは材料の再結晶温度未満で行なう加工のこと。

曲げ加工とは、鋼材を曲げて曲面を持たせる加工です。

WEL-TENは、引張強さの特徴から、柔軟な加工方法が採用出来るので、様々な形状に変形可能になります。

普通鋼に比べて、加工難度に大差はないため、加工性や溶接性も良好です。

WEL-TENは、冷間加工・曲げ加工が可能で、曲面の形状に加工できると、覚えておきましょう。

2ー3.耐食性に優れている

WEL-TENは、耐食性に優れているのが特徴です。

耐食性が優れるため、風雨にさらされても錆びにくくなります。

そのため、野外に設置する石油タンクや、水を流すペンストック(水圧管)の用途にぴったりです。

河川や海上に建造する橋梁や、海に浮かぶ造船にも錆びにくい特徴が評価され、採用されています。

WEL-TENの耐食性に優れている特徴は、鋼材選びの際の強みなので、覚えておきましょう。

WEL-TENの注意点

WEL-TENは、引張強さが強く、高い切欠靱性を持つ優れた鋼材ですが、いくつかの注意点があります。

採用する際は以下の点に注意して使用しましょう。

3ー1.軟鋼との溶接の際、遅れ割れに注意する

WEL-TENは、軟鋼との溶接の際、遅れ割れ(溶接割れ)に注意する必要があります。

遅れ割れを引き起こしてしまうと、本来の性能を発揮できず、加工品として使用できません。

遅れ割れ防止するためには、低水素系の溶接材料を選択することが最適ですので、覚えておきましょう。

WEL-TENの価格【まずはクマガイでお見積を!】

WEL-TENの価格に関しては、専門分野向け商品であるため、明確な価格が公開されていません。

購入を検討する際は、メーカーや鋼材問屋に問い合わせる必要が有ります。

WEL-TENにおける参考価格の例は、以下通りです。
 

参考商品大きさ価格
WEL-TEN590RE板厚6mm×450mm×100mm×5枚14,580円/5枚セット
WEL-TEN590RE板厚6mm×450mm×300mm×5枚22,680円/5枚セット

WEL-TENは、歴史ある鋼材のため、日本各地にある鋼材メーカーで取り扱い例があります。

購入を検討する際は、WEL-TENの取り扱い実績が豊富にある、クマガイ特殊鋼株式会社に問い合わせてみましょう。

WEL-TENの適用事例【豊富な実績】

ここまで、WEL-TENに関する特徴や、注意点をまとめてきました。

では、WEL-TENはどのような適用事例があるのか気になるかと思います。

WEL-TENの長所を簡単にまとめると以下の通り。 

  • 引張強さが強い
  • 高い切欠靱性がある
  • 耐食性が高く、錆に強い
  • 長寿命で、経済性が高い

この長所を活かして、様々な分野で加工品に採用されていますので、確認していきましょう。

5ー1.原油タンク

WEL-TENは、原油タンクの鋼材として採用されています。

原油タンクは、原油を貯蔵する球状や円柱形の建造物です。

加工物が曲線を描いているので、WEL-TENの曲げ加工可能な特徴が採用の決め手になっています。

引っ張り強度の高さから、原油を貯蔵するタンクの内圧に耐えられるのです。

野外に露天し、雨ざらしとなっているため、耐腐食性の強さが求められますが、WEL-TENは性能要求を達成できます。

原油タンクを建造する際は、強度が強く、曲げ加工しやすい、WEL-TENを検討すると良いです。

5ー2.クレーン車

WEL-TENは、大型クレーン車の鋼材として採用されています。大型クレーンは、主に湾岸施設で船舶に積み込みを行う際に利用。

WEL-TENの、鋼材としての強さと耐食性の高さから、長寿命化が期待できるため、メンテナンスコストを抑えるために採用されています。

大型クレーン車の建造を検討する場合は、WEL-TENを採用することがオススメです。

5ー3.ジャッキアップリング海洋構造物

WEL-TENは、ジャッキアップリング海洋構造物の鋼材として採用されています。

ジャッキアップリング海洋構造物とは、海上で運搬作業を行う施設です。

建造物が海上にありますが、WEL-TENの耐食性に優れた特徴により、錆びを抑えることができます。

メンテナンスが大変な場所にあるため、頑丈なWEL-TENを採用することで、メンテナンス回数を減らすことができ、経済的です。

ジャッキアップリング海洋構造物の建造を検討する場合は、WEL-TENを選択肢の一つとして覚えておきましょう。

5ー4.ペンストック

WEL-TENは、ペンストックの鋼材として採用されています。ペンストックとは、液体を流すための水圧管のことです。

筒状の形状のため、WEL-TENの曲げ加工可能な特徴が活かせます。

引っ張り強度の高さから、管の直径の大きなペンストックを建造しても、十分な性能を発揮可能です。

ペンストックの建造を検討する場合は、WEL-TENが有効ですので、覚えておきましょう。

まとめ

本記事では、引っ張り強さと強度が特徴の鋼材である、WEL-TENに関して紹介しました。

WEL-TENは、溶接性に優れた高張力鋼材です。

原油タンクやクレーン車など適用事例も豊富で、WEL-TENは、幅広い用途に使用できます。

WEL-TENを採用するにあたり、扱う上での注意点や価格など、購入前に気になる事項をまとめました。

ぜひ、本記事の内容を鋼材選びの一材料として参考にしてください。