ELID研削とは?利点・事例・注意点を分かりやすく解説!

ELID研削とは、ナノレベルの鏡面創成を行うことができる研削法です。本記事では、ELID研削の仕組みや、利点、注意点について解説します。本記事を読めば、ELID研削とは何かを理解することができ、失敗しないための注意点も理解することが可能です。

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ELID研削についてお調べでしょうか?

ELID研削とは、電解インプロセスドレッシング研削法の略で、鏡面加工技術の1つです。

その他の研削法では難しかった、硬質なセラミックやシリコンを高品質かつ高能率で研削することを可能にしました。

便利で画期的なELID研削法ですが、知識がないと使いこなすのは難しく、注意点もあります。

そこで本記事では、ELID研削について利点から加工事例、注意点まで解説。

本記事を読むことで、ELID研削をするときに必要な知識がひと通り理解可能です。

知識をつけて、最高の製品を製作しましょう。

ELID研削とは?【究極の鏡面加工技術】

まずは、ELID研削がどんな加工技術なのかを見ていきましょう。

ELID研削がどんな加工技術なのかを理解することで、あらゆる加工技術の中から選定する際に、根拠を持って決断することができるようになります。

ELID研削とは、ドレッシング作業を常時行うことで、微粒砥石の研削性能を一定に保ちながら、効率的に鏡面創成を行うことができる研削法です。

より詳しくかつ分かりやすく、下記2つの点からから見ていきましょう。
 

  • そもそも研削加工って?
  • 【ELID研削】連続的に目立てを行うことで目詰まりを解決

以下で詳しく述べていきます。

1ー1.そもそも研削加工って?

研削加工とは、高速移動する砥石によって、加工物の表面を除去し切削加工より平滑な面を得る機械加工のひとつです。

研削する場所や加工対象の複雑さ、どれだけ精度の高い平滑面を得たいか、求める作業効率などの条件によって、適した研削技術は異なります。

高精度な平滑面かつ作業効率を求める場合には、本記事で紹介するELID研削が候補のひとつに挙がるのです。

1ー2.【ELID研削】連続的に目立てを行うことで目詰まりを解決

ELID研削では、連続的に砥粒の目立てを行うことで目詰まりを解消しています。

品位の高い鏡面加工を実現するためには突き出し量の少ない砥石が必要になりますが、一方で切れ味の確保がこれまで課題でした。

つまり、理論上は鏡面加工が可能ですが、切れ味の確保が難しいために、実用が困難だったのです。

そこでELID研削は、導電性結合の砥石表面を電解することによって常時、砥粒突出を維持することで、目詰まりの課題を解決しました。

連続的に目立てを行い常に一定の突き出し量を保つことで、現実的な効率で、最大限品位の高い鏡面加工を可能にしたのが、ELID研削と覚えておきましょう。

ELID研削の利点を押さえよう!

ここまで、ELID研削がどんな技術なのかについて見てきました。

次に、ELID研削の利点について紹介します。

利点を押さえることで、ELID研削の特徴を最大限に活かすことが可能です。

ELID研削の利点は、以下の3点になります。
 

  • 加工時間の大幅な短縮が可能
  • 鏡面加工と加工能率の両方を実現
  • 機械によって鏡面加工が可能なので職人依存がない

ELID研削には高精度な鏡面加工かつ効率的に仕上げられること以外にも、上記のような利点があります。

それぞれ、以下で詳しく見ていきましょう。

2ー1.加工時間の大幅な短縮が可能

ELID研削では、加工時間の大幅な短縮が可能です。

通常は粗い研削加工から仕上げまで、鏡面創生の実現に3回ほどのフローを必要としますが、ELID研削では、工程のカットや仕上げ加工にかかる時間の大幅なカットが見込めます。

また、難削材を一定量以上研削する際にも、常時ドレッシングをすることで連続的に加工が可能なELID研削が有効です。

2ー2.鏡面加工と加工能率の両方を実現

ELID研削では、鏡面加工と加工能率の両方を実現することが可能です。

自動的にドレッシングが行われるため、突き出し量を小さくして品位の高い鏡面加工を実現しつつ、目詰まりなどによる作業の中断が起こらないのです。

高品位の鏡面加工を実現するなら、ELID研削と覚えておきましょう。

2ー3.機械によって鏡面加工が可能なので職人依存がない

ELID研削は、機械によってほとんどの作業を行うので、職人依存がありません。

通常の研削盤に、砥石や電極、研削液を取り付けることで加工が可能です。

ラップ加工では、職人による手作業で行われることもありますが、ELID研削は機械によって加工が施されるので、職人の確保が必要ありません。

また、職人依存せず、機械により加工を行うので、品質の均一化もしやすくなります。

ELID研削の事例【高品位な鏡面を実現】

ここまで、ELID研削の利点を紹介しました。

次に、ELID研削の加工事例を見ていきます。

加工事例を知ることで、ELID研削にあった工作物を理解することができ、適切に用いることが可能です。

それでは早速見ていきましょう。

3ー1.内視鏡レンズ

ELID研削の導入事例として、内視鏡レンズについて紹介します。

内視鏡レンズには、超微細な鏡面加工が必要です。

従来の研削方法では、微細砥粒を用いると砥石の目詰まりが起こりやすく、ドレッシングが幾度も必要で作業効率が課題でした。

ELID研削ではドレッシングが自動化されているので、効率的かつ高品位な鏡面加工が可能で、内視鏡レンズの研削工程には最適なのです。

気をつけて!ELID研削の注意点

ここまで、ELID研削の利点や事例について紹介してきました。

ELID研削は、作業効率の観点からも、高品位の鏡面加工に向いています。

しかし、注意点もあるのです。

注意点をしっかり理解することで、失敗の数を減らすことが可能です。

ELID研削の注意点は、下記3つになります。
 

  • 砥石のメンテナンス
  • 電極のメンテナンス
  • 研削液のメンテナンス

以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

4ー1.砥石のメンテナンス

ELID研削をする際には、砥石のメンテナンスに注意する必要があります。

砥石が濡れていると、わずかな時間でも錆びてしまうことがあるので、使用後は電源を落とす前に空回転して乾燥させるようにしましょう。

また長期保管する場合は、乾燥をさせた上で表面に防錆剤を塗布する必要があります。

防錆剤を塗布する際に乾燥ができていないと、水分を閉じ込めてしまい逆効果なので、いずれにしても使用後は乾燥させることは忘れずに覚えておきましょう。

4ー2.電極のメンテナンス

ELID研削をする際には、電極のメンテナンスに注意する必要があります。

砥石の電解により、酸化物が電極に付着してしまうので、定期的に清掃する必要があるのです。

放置していると電気の流れが悪くなり、ELID研削の肝であるドレッシングに支障が出ます。

ELID研削を採用する場合は、定期的に電極の清掃を行う必要があることを覚えておきましょう。

4ー3.研削液のメンテナンス

ELID研削をする際には、研削液のメンテナンスに注意する必要があります。

ELID研削では、研削液に砥石から電解された砥粒が流入しており、そのまま循環させてしまうと製品の品質に影響を及ぼしてしまうのです。

フィルターを通してろ過するなどして、対策をしましょう。

ELID研削にお困りの場合は鋼の専門商社へ相談もアリ!

ELID研削についてお悩みの場合は、プロへの相談も検討しましょう。

加工技術自体は素晴らしいELID研削ですが、砥石や電極のメンテナンスなど、注意点もある加工です。

精度が高い製品にするためにも、不安な場合は実績と技術のある会社への相談をおすすめします。

5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社

5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社

クマガイ特殊鋼株式会社は、ELID研削をはじめとする様々な鋼材加工もおこなっている鋼材専門の商社なので、製品完成までを考慮したニーズに適した提案が可能です。

クマガイ特殊鋼株式会社は創業100年を超える歴史を持っており、ELID研削に対する高い技術を保有しています。

より質の高い製品を生産するためにELID研削を導入したいという場合には、クマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。

まとめ

ELID研削は、精度の高い鏡面加工と作業効率を、電極による常時ドレッシングによる実現する加工技術です。

その他の研削加工と比較して、高品位かつ効率的に鏡面仕上げを施せることが利点となります。

また、機械により行われるので、技術者の腕に品質が左右されない点も特徴の1つとなります。

一方で、砥石や電極など、ELID研削に必要な物のメンテナンスには注意が必要です。

もしELID研削についてお困りであれば、ぜひクマガイ特殊鋼株式会社にご相談ください。

鋼のプロとして、きめ細かいサポートを約束します。