接合加工とは?利点・事例・注意点を専門家が分かりやすく解説!
接合加工について解説しています。仕組みや特徴など基本的なことから、接合加工の利点や注意点、実際の導入事例まで詳しく解説しています。この記事を読むことで、接合加工について理解でき、より良い製品を作れるようになります。
目次
接合加工についてお調べでしょうか?
接合加工とは、シンプルに言えば物と物をくっつける加工です。
しかし、例えば金属同士をくっつけたいとなった際には、ひとくちに接合加工といっても複数の方法があり、それぞれに利点と注意点があります。
そこで本記事では、接合加工について、種類ごとの利点から加工事例、注意点まで解説。
本記事を読むことで、金属の接合加工をするときに必要な知識がひと通り理解可能です。
知識をつけて、最高の製品を製作しましょう!
接合加工とは?【つなぎ合わせる加工】
まずは接合加工がどんな加工なのか、概要を見ていきましょう。
接合加工とは、文字通り「もの同士をつなぎ合わせる加工」です。
産業機械の制作過程において、複数のパーツからなら複雑や部品をつくるときや、それぞれの部品をつなぎ合わせて一つの製を作り上げる時に必要な加工になります。
ほとんどの金属製品において、必要な加工なのです。
また、接合加工にはその加工方法によって複数の種類があります。
以下で詳しく見ていきましょう。
1ー1.接合加工の種類
接合加工には、大きく分けて3つの種類があります。
- 機械的接合:母材間をネジやカシメなどで機械的に固定する
- 材料的接合:溶接やロウ付け・ハンダ付け
- 接着接合:ファン・デル・ワールス力やくさび効果による接合加工
それぞれに利点と注意点があり、詳細については後述の章で詳しく解説しています。
1ー2.種類ごとの利点欠点を理解して選ぶ必要がある
接合加工を実施する際には、種類ごとの利点と注意点をしっかり理解した上で選定する必要があります。
適切でない種類の接合加工を行ってしまうと製品がダメになってしまう恐れも。
具体例でいうと、「加工後に分離が可能かどうか」があります。
そのほかにも考慮すべき点が多くあり、後述の章で1つずつ詳しく見ていきましょう。
機械的接合について詳しく見てみよう!
まずは機械的接合について、詳しく見ていきましょう。
3つの観点から解説します。
- 機械的接合とは
- 機械的接合の利点
- 機械的接合の注意点
上記4つの観点から機械的接合について詳しく知ることで、機械的接合についてのまとまった知識を理解することができます。
それでは見ていきましょう。
2ー1.機械的接合とは
機械的接合とは、リベットやボルトなどの接合金具を用いて接合する方法です。
母材の加熱が不要で、高度な作業も必要としません。
機械的接合の代表的な例としては、下記があります。
種類 | 特徴 |
ボルト・ナット固定 | ボルトとナットで2部品を締め付けることで接合。一般的でコストが低い。分解も容易なのでメンテナンス性能が高い。パイプのフランジ接続などに用いられる。 |
リベットカシメ | 塑性変形を使用した接合方法。リベットを複数固定することで信頼性を高めることも可能。橋梁構造物などに使われている。 |
2ー2.機械的接合の利点
機械的接合の利点は、損傷が起きても広がるのを防げるという点です。
以下で詳しく見ていきましょう。
2ー2ー1.損傷が起きても広がるのを防げる
機械的接合では、損傷が起きてもその広がりを防ぐことができます。
接合部で切り離すことで、損傷の広がりを防ぐことができるのです。
部品単位で交換することを想定する場合には、機械的接合は選択肢のひとつとして最適と言えます。
2ー3.機械的接合の注意点
機械的接合の注意点は2つあります。
- 母材に穴を開ける必要がある
- 接合金具の分だけ重量が増える
どのように対策すれば良いか、以下で見ていきましょう。
2ー4ー1.母材に穴を開ける必要がある
機械的接合をする際には、母材に穴を開ける必要があります。
リベットやボルトを挿入するための下穴が必要です。
その為、母材が難削材の場合には、コストが高くなってしまう恐れがあります。
下穴を空けるコストも考慮し、場合によっては他種の接合加工も検討しましょう。
2ー4ー2.接合金具の分だけ重量が増える
機械的接合をする場合には、接合金具の分だけ重量が増えるということを覚えておきましょう。
そのため、軽量化が第一目的の製造においては不適切な接合方法になることも。
製造の目的によっては、重量がさほど増えない、材料的接合や接着接合なども併せて検討しましょう。
材料的接合について詳しく見てみよう!
次に材料的接合について、詳しく見ていきましょう。
同じく、3つの観点から解説します。
- 材料的接合とは
- 材料的接合の利点
- 材料的接合の注意点
3種類全ての接合加工についてひと通り理解することで、製作の際に適切な接合加工を選択できるようになります。
それでは見ていきましょう。
3ー1.材料的接合とは
材料的接合とは、金属の特性を利用した方法です。
冶金的接合と呼ばれることもあります。
機械的接合の代表的な例は、下記です。
種類 | 特徴 |
アーク溶接 | 電極間と溶接物の間に発生するアーク熱によって接合する。自動化しやすい一方で、変形が生じ易い点には注意が必要。電子機器の筐体などに利用される。 溶接加工について、詳しくはこちらの記事でも解説しています。 |
ロウ付け | 母材を熱し、その間に母材よりも融点の低いロウを流し込むことにより接合する方法。母材自体を溶融させることなく接合することが可能。接合強度は他の方法に比べると弱いが、隙間までロウが入り込むので、複雑な形状の接合などには適している。 |
3ー2.材料的接合の利点
材料的接合の利点は2つあります。
- 気密性や水密性に優れている
- 接合の自由度が高い
以下で詳しく見ていきましょう。
3ー2ー1.気密性や水密性に優れている
材料的接合には、気密性や水密性に優れているという利点があります。
金属同士を金属で隙間なく接合するため、気密性を高めることが可能です。
3ー2ー2.接合の自由度が高い
2つ目の利点は、接合の自由度が高いということです。
継手の構造が簡単なため、リベット構造では不可能な構造も製作できます。
3ー3.材料的接合の注意点
材料的接合の注意点は、解体が困難であるという点です。
どのように対策すれば良いか、以下で見ていきましょう。
3ー4ー1.解体が困難
材料的接合では、解体が困難という点に注意が必要です。
金属を溶融して接合を行うので、一度接合を行うと解体がそもそも難しく、また元どおり綺麗な状態に戻すことはさらに困難になります。
メンテナンスなどで解体が必要になる箇所には、機械的接合を検討しましょう。
化学的接合について詳しく見てみよう!
最後に接着接合について、詳しく見ていきましょう。
同じく、3つの観点から解説します。
- 接着接合とは
- 接着接合の利点
- 接着接合の注意点
上記4つの観点から化学的接合について詳しく知ることで、化学的接合についてのまとまった知識を理解することができます。
それでは見ていきましょう。
4ー1.化学的接合とは
接着接合とは、主にファンデルワールス力を利用した接合方法です。
古くから使われている漆なども含めると、接着剤の種類は膨大にあり、特徴を理解した選定が重要になります。
接着接合に使われる代表的な接着剤は、下記です。
種類 | 特徴 |
嫌気性接着剤 | 空気の遮断と金属の接触により硬化する。金属の種類により強度や硬化速度が異なるが、ほとんどの種類の金属を接着可能。ネジの緩み止めなどに使われる。 |
紫外線硬化型接着剤 | 紫外線エネルギーを照射することにより、短時間で硬化する。対ガラスの接合でよく用いられる。 |
エポキシ系接着剤 | 機械的強度が高く、耐熱性・耐薬品性に優れる。精密機械や工業用途によく使われる。 |
4ー2.化学的接合の利点
接着接合の利点は、異素材間の接合がし易いという点です。
以下で詳しく見ていきましょう。
4ー2ー1.異素材間の接合がし易い
接着接合では、異素材間の接合がし易いです。
金属・プラスチック・ガラス・セラミックスなど、あらゆる素材同士を接合することができます。
適材適所の材料設計が可能になり、軽量化や材料費削減などを実現することができるのです。
4ー3.化学的接合の注意点
接着接合の注意点は2つあります。
- 点での耐久性に乏しい
- 接着剤の種類が多く選定には知識が必要
どのように対策すれば良いか、以下で見ていきましょう。
4ー3ー1.点での耐久性に乏しい
接着接合を実施する際は、点での耐久に乏しいという注意点を覚えておきましょう。
面での耐久性に大きな劣りはありませんが、局所的な負荷には弱いのです。
局所的な負荷がかかることが考えられる母材には、他種の接合方法も検討しましょう。
4ー3ー2.接着剤の種類が多く選定には知識が必要
接着剤の種類が多く、選定には知識が必要という点にも注意が必要です。
選定を間違えると、理想の接合が得られないという恐れもあります。
選定の際には、必要な強度や硬化条件、母材の材料などを総合的に考慮しましょう。
少しでも不安がある場合には、専門家への相談もオススメします。
接合加工にお困りの場合は鋼の専門商社へ相談もアリ!
接合加工についてお悩みの場合は、プロへの相談も検討しましょう。
種類が多くて、それぞれの特徴は押さえたけど自社で加工をする設備が無いという場合もあると思います。
そんな時には高品質な製品にするためにも、実績と技術のある会社へ相談するべきです。
5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社
クマガイ特殊鋼株式会社は、接合加工をはじめとする様々な鋼材加工をおこなっている鋼材専門の商社なので、製品完成までを考慮したニーズに適した提案が可能です。
クマガイ特殊鋼株式会社は創業100年を超える歴史を持っており、接合加工に対する高い技術と知見を保有しています。
より質の高い製品を生産するために接合加工を導入したいという場合には、クマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。
まとめ
接合加工とは、物同士をつなぎ合わせる加工です。
機械的・材料的・接着、と大きく3つの種類に分けることができ、それぞれに利点欠点があります。
例えば、機械的接合の1種である、カシメ加工では低コストかつスピーディーな加工が強みです。
一方で塑性変形を利用していることから、接合後に分解の可能性がある製品には適しません。
上記のような利点や注意点がそれぞれの種類にあるので、本記事を参考に理解を深めましょう。
もし接合加工についてお困りであれば、ぜひクマガイ特殊鋼株式会社にご相談ください。
プロとしてきめ細かいサポートを約束します。