平面研削とは?利点欠点から仕組みまで分かりやすく解説
平面研削とは、平面研削盤と回転研石を用いて行う研削加工の一種です。応用性の高い研削加工ですが、加工に関する広い知識がなければ精度の高い加工は困難です。記事を読んで、平面研削に関する正しい知識をつけて最高の製品を作りましょう。
目次
平面研削についてお調べでしょうか。
平面研削とは、平面研削盤と回転研石を用いて行う研削加工の一種です。
応用性の高さから広く研削加工に用いられている平面研削ですが、加工に関する広い知識がなければ精度の高い加工は困難です。
そこで本記事は、平面加工について、用いる機材、加工の仕組み、起こりうる欠陥と対策についての紹介です。
本記事を読めば、平面研削の加工について広い知識が得られます。
加工に関する知識を得れば、精度が高い加工が可能です。
本記事を読んで、平面研削に関する正しい知識をつけて最高の製品を作りましょう。
平面研削とは?【工作物の平面を研ぐ】
工作物の平面部分に対し研削を施す加工を平面研削といいます。
平面研削の名の通り、回転砥石を用いて工作物を削りとって平面状に研ぐ加工です。
平面研削のポイントは以下の3つになります。
- 平面研磨との違い
- 平面研削に使う機械
- 平面研削が適した目的
それでは、詳細を見ていきましょう。
平面研磨との違い
平面研削と比較される加工に平面研磨という加工法があります。
平面研削と平面研磨は、両者とも工作物の表面に加工を加えて、高精度で仕上げる加工ですが、加工法と目的はそれぞれに異なるものです。
平面研削は表面を物理的に研削する方法で、その目的は平面度・平行精度の向上となります。
一方、平面研磨は表面を砥石で薄く研磨する加工法で、表面を滑らかにするのが目的です。
平面研削は物理的に削り取り形状を加工する方法、平面研磨は形状は大きく変えず面粗さを高める加工法といえます。
平面研削に使う機械のことを平面研削盤と言う
平面研削に用いられる機械を平面研削盤といいます。
工作物の運動と砥石の当て方によって様々な研削方法に利用可能です。
加工対象物を前後左右と上下に移動して、回転砥石に近づけることで研削を行います。
砥石のあて方によって様々な研削に対応できる平面研削盤は、広く研削加工で利用されているのです。
寸法精度や面粗さを要求される平面の研削に最適
平面研削は寸法精度や面粗さを要求される、平面の研削に最適な加工法です。
回転砥石によって工作物を平面上に研ぐため加工物は高い面粗さを実現できます。
また、磨くのではなく研ぎ削る加工法なので、寸法精度においても高い次元で実現可能です。
平面研削は、回転砥石による削りだし加工で、高い寸法精度と面粗さを両立できる加工法になります。
安心して使える!平面研削盤メーカー4選
平面研削の加工は、平面研削盤によって行われます。
そのため、平面研削の加工を行う際には平面研削盤の導入が必須です。
しかし、ひとくちに平面研削盤といっても、工作機械のメーカーは多く選択は困難です。
そこで、本記事では安心して使える平面研削盤を取り扱うメーカー4選を紹介します。
オススメの平面研削盤メーカーは以下の4社です。
- 株式会社岡本工作機械製作所
- 住友重機械株式会社
- 黒田精工株式会社
- 共立精機株式会社
それでは、各メーカーの特徴とオススメの製品について見ていきましょう。
株式会社岡本工作機械製作所
株式会社岡本工作機械製作所は設立以来80年、古くは歯車研削を原点に、「総合砥粒加工機メーカー」として高品質・高精度な製品づくりを行っている製作所です。
海外でも広く取り扱われる製品は、精密な加工精度で信頼できます。
それでは、特徴と詳細について見ていきましょう。
特徴
株式会社岡本工作機械製作所は、海外事業にいち早く対応しグローバルな展開を行って生きた製作会社です。
多言語に対応する展開の中で、言葉だけでなく直感で理解しやすい設定パネルの検討を日々考えています。
早くから言語の異なる海外へ展開してきた経緯から、NC機械の設定を文字レス対話型で設計するなど、直感的操作ができる製品が特徴です。
続いては、オススメの製品を見てみましょう。
製品例
(引用:株式会社岡本工作機械製作所)
株式会社岡本工作機械製作所のオススメ製品は、NC精密平面研削盤 PSG84CA-iQです。
世界へ向けてグローバルに展開する中で開発された、文字レス対話ソフトが最大の特徴になります。
文字レス対話ソフトによって、簡単操作を実現し画面上のアイコンをみながらタッチ入力で操作が可能です。
複雑な入力を必要とされる設定入力作業を、文字レスで実現したPSG84CA-iQは、平面研削を助けるオススメの製品になります。
住友重機械株式会社
住友重機械株式会社は、機械・器具の製作と修理の工作会社として1888年から長きに渡り活躍している重機製作会社です。
顧客第一、変化への挑戦、技術重視、人間尊重をモットーに、一流の商品とサービスを世界に提供し続けています。
それでは、住友重機械株式会社の特徴とオススメの商品を見ていきましょう。
特徴
住友重機械株式会社の特徴は、幅広い総合グループとして培った技術によるナノテクノロジーの精密な技術です。
住友重機械グループは、一般産業機械から最先端の精密機械、さらに建設機械、船舶、環境・プラント機器までをカバーする総合機械メーカーとなっています。
宇宙開発や医療などの分野でも活躍しており、異なる分野で培ったナノテクノロジーのノウハウを活かした精密機がウリです。
続いては、ナノテクノロジーの技術を活かした住友重機オススメの製品を紹介します。
製品例
(引用:住友重機械株式会社)
住友重機械株式会社オススメの製品は、CNC門形平面研削盤KSLSeriesです。
住友重機械グループで培った、「キサゲ」と言われる精密技術を用いたKSLSerisは高い精度をウリにした平面研削盤になります。
工作機械・産業機械の摺動面・金型・各種治工具・一般精密機械の部品等の平面を効率良く、高精度に研削できます。
また、パレットチェンジャー・といし自動交換装置等を付加すれば無人運転も可能です。
住友重機株式会社のKSLSeriesは高精度かつ無人化可能な平面研削盤としてオススメの製品と言えます。
黒田精工株式会社
黒田精工株式会社は、Challenge & Create の行動理念に則り常に進化を目指す会社です。
駆動システム事業、金型システム事業、機工・計測システム事業の3事業部で形成されており、製作機械に特化した会社になります。
黒田精工株式会社の特徴とオススメの商品を見ていきましょう。
特徴
黒田精工株式会社は、操作性や使いやすいさを意識した技術を追求している会社です。
精密技術を通じて世界の産業高度化をサポートするという使命のもと、計測から加工までの幅広い要素技術を用いた事業展開をしています。
工作機械全般に通じた独自のソリューションで、製作者が求める操作性を意識した商品作りがウリです。
製品例
(引用:黒田精工株式会社)
黒田精工株式会社のオススメ製品は、精密成形平面研削盤GS-45シリーズです。
ユーザー目線で製作されたシンプルな設定画面により、操作熟練度を問わない再現性の高い操作性を実現しています。
また、錆にくいステンレスの起用や、潤滑油や作動油の効率化によりエコ&ロングライフもウリの一つです。
工作機械全般の製作で培ったユーザー目線の作りと環境とランニングコストを意識したエコ&ロングライフな作りが精密成形平面研削盤GS-45のウリとなっています。
共立精機株式会社
共立精機株式会社は、航空機・船舶・自動車部品および治具・工具の製造からスタートした会社です。
1958年、初の自社商品として工作機械用ツーリングの製造販売を開始しました。
半世紀を超えて伝統と信頼の技術を提供しています。
共立精機株式会社の、特徴とオススメの商品を見ていきましょう。
特徴
共立精機株式会社の特徴は、光学レンズ加工で培った球面加工技術です。
繊細な加工技術を求められる、光学レンズの加工で培った精密技術を金属加工にも転用しています。
精密な加工技術により、共立精機の研削盤は高い精度の加工が可能です。
光学レンズ加工で培った技術を活かした、共立精機のオススメの研削盤を紹介します。
製品例
(引用:共立精機株式会社)
MZ1-30Aは、共立精機のレンズ加工ノウハウをすべて結集して製作した、小径金属部品向けの球面・平面研削盤です。
レンズ加工で培った球面加工技術を応用し、一台で平面・球面の研削工程を一括で実施できます。
培った高精度研削技術を駆使し、自動車部品など高精度金属部品加工を一台の工程で製造可能です。
MZ1-30Aは、球面と平面の高精度精密研削を一台でこなせるハイエンドマシンとなっています。
【画像あり】平面研削の仕組み
設定性、精密性、効率性、操作性など各社の平面研削盤に特徴があることは理解いただけたと思います。
優秀なマシンがあれば精度の高い加工に役立ちますが、研削の仕組みを理解していなければ十分に活かすことはできません。
そこで、平面研削で一般的に用いられる研削の仕組みを紹介します。
平面研削で用いられる仕組みは以下の3つです。
- トラバース研削
- プランジ研削
- クリープフィード研削
それぞれ見ていきましょう。
トラバース研削
(出典:図解入門よくわかる最新金属加工の基本と仕組み: 金属素材、塑性加工、機械加工の基礎知識)
テーブルを左右、サドルを前後に動かして平面を削る研削法をトラバース研削といいます。
加工物を前後・左右に送って研削するため精度のよい平面が得られるのが特徴です。
テーブルとサドルで異なる動きができるので、切込が異なる複雑な形状の研削に適しています。
トラバース研削は、テーブルを左右、サドルを前後に動かしておこなう、複雑な形状の研削に適した研削法です。
プランジ研削
(出典:図解入門よくわかる最新金属加工の基本と仕組み: 金属素材、塑性加工、機械加工の基礎知識)
サドルを前後に送らないで,左右送りだけの場合をプランジ研削といいます。
プランジ研削は,砥石の接触面が全て同じ切込みになるため、作業能率がよいのが特徴です。
平面で切込角が単一の加工時は、トラバース研削よりもプランジ研削が適しています。
プランジ研削は、サドルを左右に動かして研削する能率性に優れた研削法です。
クリープフィード研削
(出典:図解入門よくわかる最新金属加工の基本と仕組み: 金属素材、塑性加工、機械加工の基礎知識)
深切込み、低送り速度で行なう研削法をクリープフィード研削といいます。
砥粒のあたる回数を減らし力を最大限発揮させるのが特徴です。
砥粒のあたる回数が少なく済むので、砥石の寿命を伸ばしたい際に適しています。
クリープフィード研削は、低速で切込深い研削により、砥石の摩耗を少なく研削できる加工法です。
気をつけて!平面研削で起こり得る欠陥と対策
トラバース研削、プランジ研削、クリープフィード研削といった3つの加工方法について解説しました。
目的通りの工作物を作るには、適切な加工方法の選定が必要ですが注意点はそれだけではありません。
加工の際、セッティングや砥石の選択など注意点をおさえた加工をしなければ、欠陥が発生するリスクもあるのです。
そこで本記事では、平面研削を行う上で起こりうる3つの欠陥について、それぞれ原因と対策を紹介します。
平面研削で注意すべき欠陥は以下の3つです。
- びびり
- きず・送りマーク
- ワーク精度不良
欠陥の原因と対策について、詳細を見ていきましょう。
びびり
平面研削において、もっとも多い欠陥はびびりと呼ばれるものです。
びびりとは、砥石の動きが転写されることで発生します。
要因は様々なものがありますが、よく発生するものを以下で表にまとめました。
現象 | 原因 | 対策 |
一定間隔で発生したびびり | 砥石やワークの振動 | 電動機や砥石のバランスを調査する。 |
短く密接したびびり模様 | 砥石軸受に遊びがあり、しっかりとセッティングされていない。 |
軸受の調整。見た目上遊びがないように見える際は、温度が適当になるまで空運転をして推力軸受を調べてみる。 |
間隔一定で狭いびびり | 砥石軸のブーリーが緩んでいる | 砥石軸のブーリーを締める |
床の振動と同調 | 砥石の粒度選択が不適当 | 砥石面の油分を除去した上で、バランスをとり、再度ドレスする。 |
広い分布の斑点状のびびり | 砥石の目つぶれ | ワークの軸と砥石の軸がズレていないか確認し、再度丁寧に合わせる。 |
砥石の振動により、模様のように傷がつくびびりは、主に振動が原因で発生します。
振動原因の多くは、軸のセッティングのゆるみや、砥石目の粗さが不適当といった理由です。
事前に工作物に合わせて使用する砥石の検討と、入念なセッティングをして対策しましょう。
きず・送りマーク
きず・送りマークは、平面研削において発生の多い欠陥です。
欠陥の現象から逆引きした原因と対策を紹介します。
以下で表にまとめたので見ていきましょう。
平面研削において、もっとも多い欠陥はびびりと呼ばれるものです。
びびりとは、砥石の動きが転写されることで発生します。
要因は様々なものがありますが、よく発生するものを以下で表にまとめました。
現象 | 原因 | 対策 |
深い傷 | 砥石フランジのゆるみ | フランジのゆるみをしっかり締める。すきまをパッキンで埋めるなどゆるみを失くす。 |
粗な粒度の砥粒あるいは異物の混入 | 砥石の交換か、砥石に再度鋭いドレッシングを行う。 | |
不規則な傷 | 研削液の不純物 | タンクや砥石カバーの内側など、ゴミやほこりがたまって不純物が混じる要因となっていないか点検をする。 |
送りマーク | 砥石の粒度選択が不適当 | 工程毎に砥石を変える。最初は細かい粒度の砥石を使い、仕上げ工程では粗い砥石に変えてゆき、スパークアウトまで行う。 |
センター合わせ不良 | ワークの軸と砥石の軸がズレていないか確認し、再度丁寧に合わせる。 |
きず・送りマークの原因は、フランジのゆるみによる砥石の乱れや、センター合わせ不良によるズレなどセッティングによって発生します。
セッティングミスによる、欠陥は事前の確認で防げるものが多いのでしっかりとチェックしましょう。
セッティングミス以外にも不純物や不適当な砥石の選択によっても起こりますがこの点も事前のチェックと、設定段階の検討で未然に対策可能です。
ワーク精度不良
研削の割れなど、ワーク精度不良に対する原因と対策について紹介します。
以下の表をご覧ください。
現象 | 原因 | 対策 |
研削焼け・研削割れなどのワーク精度不良 | 砥石の不適合 | 柔らかいもの、あるいは粗いものなど違うタイプの砥石を使う。 |
研削液の潤滑性不足 | 潤滑性の研削液を使用する。 研削液の散布量を増やす。 |
|
研削作業の調整ミス | 砥石切込み量を小さく、送り大きくし適した加減に調整する。 |
ワーク精度不良の原因は、砥石の不適合や作業量の設定ミスが原因で発生します。
研削焼けや研削割れなどが発生した際は、砥石が工作物に適した硬度だったか、切込量は大きすぎなかったかを改めて確認しましょう。
また、研削液の潤滑性が不足した場合も、割れや焼けの原因となります。
散布量、潤滑性に問題がないか事前に必ず確認しましょう。
砥石の破損
砥石の破損も、平面研削を行う上で発生する欠陥です。
原因を以下に表にまとめたので紹介します。
現象 | 原因 | 対策 |
欠けなどの欠損 | 砥石フランジのセッティングミス | 砥石セッティング時にフランジとの径をチェックし、きつすぎるものは使用しない。 |
割れた個数が2つ | 研削速度の超過や過熱。 | 研削周速度をチェックして規定の速度を越えないように管理。 |
割れた個数が3つ | 過剰に砥石側面を使用する研削。 | 砥石側面を過剰に使用しないようにする。 |
砥石の破損については、破損した際に状態が欠けなのか割れなのかによって判断されます。
通常利用で3つ以上に割れることはあまりなく、3つ以上に割れる原因は砥石側面への過剰な負荷を疑いましょう。
平面研削にお困りの場合は鋼の専門商社へ相談もアリ!
平面研削にお困りの場合は、プロへの依頼も検討しましょう。
設計と加工のプロである鋼材専門業者ならば、経験豊富な技術を元に精度の高い加工対応が可能です。
クマガイ特殊鋼株式会社
クマガイ特殊鋼株式会社は100年以上の歴史があり、平面研削に対する経験や知識も豊富です。
業界の長い歴史で培われた基盤と幅広い知識を元に、鋼材加工に対応可能な素材知識と加工技術を有しています。
対象となる工作物に合わせた最適な工具の検討、精度の高い設計や機材のセッティングに自信がない場合はクマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。
まとめ
平面研削とは、工作物の表面を物理的に研削し、平面度・平行精度の向上をはかる加工法になります。
平面研削の実施には、平面研削盤が必要ですが、メーカーによって各種特徴があり選択肢は多様です。
機材導入の選定に悩んだ際は、是非本記事のオススメを参考に選定してください。
また、加工に関しても工作物に適した砥石の選択、適切なセッティングなど知識や経験が必要となる場面は少なくありません。
頻出する欠陥の原因と対策は本記事にまとめておきましたが、もし、平面研削についてお困りや不安のある際はクマガイ特殊鋼までお気軽にご相談ください。
鋼のプロとしてきめ細かいサポートをお約束します。