切断加工について解説!種類と特徴を抑えて適切な方法を選ぶ
切断加工は大きく分けて6つの方法があります。ウォータージェット切断、フライス加工、マシニングセンター、ワイヤーカット放電加工、レーザー加工の6つです。この記事は、6つの切断加工の方法と使用事例を解説です。この記事を読んで、最適な切断方法を選びましょう。
目次
切断加工についてお調べでしょうか。
切断加工は大きく分けて6つの方法があります。
それぞれの加工方法にはメリットデメリットがあり、適した方法を選ばないと不要な手間が増えたり、意図する加工ができない場合もあるのです。
本記事は、6つの切断加工の方法と使用事例を解説します。
この記事を読むことで、目的に合わせた最適な切断方法を選べるようになります。
わかりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
切断加工とは【対象物を切る】
切断加工とは、対象物を切断して成形する加工方法です。
対象の鋼材や目的に合わせて様々な方法があります。
適切な方法を選ぶと、高い精度で加工できるのです。
1-1.鋼材購入後に最初に行う加工
多くの場合、切断加工は鋼材購入後に最初に行う加工です。
製品を作る時には、製品の設計図や部品ひとつひとつの加工図面があり、図面を元に加工します。
最初の切断精度が高ければ、以降に行う切削や摩耗の工程で発生する工具摩耗も少なくすみます。
工数面やコスト面で切断加工における精度の高さは重要なのです。
切断加工の種類と特徴【目的に応じて最適な種類を選びましょう】
切断加工には6つの種類があります。
ウォータージェット切断加工、旋盤加工、フライス加工、マシニングセンター、ワイヤーカット放電加工、レーザー加工の6つです。
それぞれに相性の良い鋼材や特徴があり、万能なものはありません。
なので、目的に応じて最適な種類の選択が求められるのです。
ここからは、切断加工の種類や特徴、使用事例について紹介します。
2-1.ウォータージェット切断加工
ウォータージェット切断加工は、文字通り水圧による切断加工です。
高速・高密度な超高圧水のエネルギーを利用して、対象物を切断します。
特徴や事例について、見ていきましょう。
2-1-1.特徴
ウォータージェット加工は熱が発生しないことが特徴です。
ドリルなどの工具が対象物に触れない非接触加工のため、熱の発生がありません。
熱が発生しないので対象物の変質・変色などが発生しないのです。
また、非接触加工のため対象物の制限がないのも特徴と言えます。
微量の超高圧水で加工を行うため、切断加工面の湿潤はわずかです。
更に、2次元だけでなく、3次元の立体形状加工も可能です。
2-1-2.事例
熱伝導がないので、熱で変形しやすいゴムや強化プラスチックなどの加工に適しています。
また、加圧がないので、通常加工が困難である加工硬化の特質を持つステンレスや耐衝撃摩耗鋼材の加工などにも有用です。
このようにウォータージェット切断加工は、加工が難しい素材の加工時に使えます。
2-2.旋盤加工
旋盤加工とは、円筒形状の工作物を回転させながら、バイトという刃物状の工具に当てて加工する加工方法です。
旋盤加工の特徴や適用事例について、見ていきましょう。
2-2-1.特徴
旋盤加工の方法は2種類あります。
- コンピューター制御のNC自動旋盤
- 手動で加工を行う汎用旋盤です。
NC自動旋盤は、プログラムによる機械制御で加工します。
安定した精度での加工が可能なため、同種類の部品を複数加工する作業に適した切断加工です。
一方で、段取り時間がかかるので少数の加工を行いたい場合は適していません。
汎用旋盤は、固定した材料に向けて旋盤を手動で切削する手法です。
手動なので段取りが短く素早い制作が可能になります。
しかし、手で行う性質上技術が必要で均一なパーツの大量生産には適さないという反対の特徴もあるのです。
2-2-2.事例
旋盤加工は、旋盤を回して切削するので円筒系の制作物に適しています。
具体的には、シャフトなどの軸や軸受け、ネジなどの金属加工です。
2-3.フライス加工
フライス加工は、丸ノコのような多数の切れ刃を持つフライスで面加工を行う切削加工です。
材料をテーブルの上に固定し、切削工具を用いて加工します。
特徴や事例について、見ていきましょう。
2-3-1.特徴
フライス加工は、平面や側面、溝における加工がしやすい点が特徴です。
フライス加工では切削工具が上下に移動し、テーブルが平面に移動して切削するのです。
材料は直方体のような角ばった形状に切り出されたものを使用します。
フライス加工は平面上における加工のしやすさが特徴の加工法です。
2-3-2.事例
機械部品のスペーサーなどに使われる場合が多いです。
2-4.マシニングセンター
マシニングセンターは機械制御で異種の加工を一台で行える装置です。
目的に合わせてフライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの加工を1台で行えます。
また、自動で工具を交換する機能も備えられています。
特徴や事例について、見ていきましょう。
2-4-1.特徴
マシニングセンターの特徴は、機械制御による制作品質の安定性です
機械で制御しているので複雑な形状の大量生産に適しています。
ただし、複数の刃の段取りやプログラム開発が発生するなどのコストがかかるデメリットもあるのです。
したがって、マシニングセンターはコストがかかるものの安定した供給が可能になります。
2-4-2.事例
マシニングセンターは、機械部品やギアなど汎用的な制作が可能です。
しかし、マシニングを使うにはプログラムが必要になります。
マシニングを使うには、制作物やマシニングの構造、プログラミングなど幅広いが知識が必要となります。
2-5.ワイヤーカット放電加工
ワイヤーカット放電加工とは、工作物を走行するワイヤーでカットする加工法です。
極細のワイヤー電極と加工対象の間に発生する放電現象によって、対象物をカットします。
特徴や事例について、見ていきましょう。
2-5-1.特徴
ワイヤーカット放電加工は、素材の厚みや硬さに影響されず加工ができます。
導電性のある素材であれば、薄板から超硬合金まで、素材の厚み・大きさ・硬さに関係なく加工が可能です。
一方で、通電しない素材は加工できず、ノコギリ状にカットを行うので底のある加工はできません。
ワイヤーカット放電加工は、導電性のある素材の切断と切り抜きに特化した加工法なのです。
2-5-2.事例
ワイヤーカット放電加工は、タングステンやセラミックなどの硬い物質の切り抜きなどに用いられます。
導電性があり、硬度が要因で加工が難しい金属加工に用いるのです。
2-6.レーザー加工
レーザー加工は、レーザー光によって切断を行う加工法です。
レーザー照射によって対象物を融解・蒸発させて切断を行います。
特徴や事例について、見ていきましょう。
2-6-1.特徴
レーザー加工は、精密加工しやすいのが特徴です。
レーザーの光が細いので、細かく小さな場所や曲線を辿った切断でも安定して加工できます。
一方でレーザー照射という構造上、切削やプレス加工に比べて加工速度が劣り、厚板の加工が苦手という特徴もあるのです。
レーザー加工は、厚みのない素材への繊細な加工に適しています。
2-6-1.事例
レーザー加工は、彫刻やマーキングに適しています。
板金や鋼板、ステンレスなど薄い素材の加工に用いられるのです。
事故に注意!切断加工を行うときの注意点
切断加工は事故に対する注意が必要です。
切断加工では、金属を切断するために大きなエネルギーが発生します。
万が一エネルギーが人や対象物以外のものに向けば大きな事故に繋がるのです。
ここからは、切断加工を行うときの注意点を見ていきましょう。
3-1.適切な方法を選択する
効率よく切断加工を行うには適切な加工方法の選択が重要です。
例えば、反射率の高い金属に対してレーザー加工を行うのは、素材の特徴に反しているので適切ではありません。
素材の特徴に適さない方法を選ぶと、必要以上の手間がかかった上に思ったような制作物が完成しないリスクも発生します。
加工を行う際は、金属と加工の両方の特徴を把握する必要があるのです。
3-2.切断機械の扱いは安全第一を意識【不安な場合はプロに任せる】
切断機械の扱いは、危険と隣り合わせです。
切断作業では、一歩間違えば自分の指や腕を切り落としてしまうという事故が発生します。
機械は簡単に大きな力を産み出せますが、その扱いには細心の注意が必要です。
経験がなく作業内容に不安がある場合は、安全のためにも加工のプロに任せましょう。
切断加工が不安な人は鋼のプロに相談
切断加工に自信がない人は、加工まで対応可能な専門商社への依頼も検討しましょう。
専門業者であれば、加工対応だけでなく、専門知識に沿った適切な鋼材の選択も可能です。
4-1.クマガイ特殊鋼株式会社
クマガイ特殊鋼株式会社は創業から100年以上の歴史があり、切断加工に対する経験や知識が豊富です。
加工だけでなく、素材の選定・仕入れ・設計・加工・検査まで一括で依頼ができます。
切断加工に自信がない場合は、クマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。
まとめ
切断加工は製品の製造にあたり、鋼材購入後最初に行う加工になります。
切断加工では対象物の性質や求める精度、作業環境によって適切な方法は異なるのです。
例えば、機械によるマシニングセンター加工は大量生産に向いていますが、少量ロットなら手作業による旋盤加工やフライス加工の方が低コストで早く行えます。
また、対象の金属の種類や目標とする制作物の形状によっても最適な方法は異なるのです。
作業工程や最適な方法に悩む場合は、クマガイ特殊鋼株式会社への委託も検討しましょう。
本記事を参考に、適切な方法で切断加工を行いましょう。