レーザー切断とは?利点・事例・注意点を専門家が分かりやすく解説!

レーザー光によって対象を切断するレーザー切断について解説しています。仕組みや特徴など基本的なことから、レーザー切断の利点や注意点、レーザー切断の事例まで詳しく解説しています。この記事を読むことで、レーザー切断について理解でき、より良い製品を作れるようになります。

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レーザー切断についてお調べでしょうか?

レーザー切断は、レーザー光によって対象を切断する方法のことです。

仕上がりが綺麗、自動化がしやすいなどの利点がレーザー切断にはあります。

一方で加工速度が遅いことや設備コストが高いことなどの注意点もありますので注意しましょう。

そこで本記事では、レーザー切断の仕組みやメリット、注意点やレーザー切断の導入事例について紹介していきます。

本記事を読むことで、レーザー切断がどのような切断方法なのかが分かり、スムーズに導入することができるようになりますので、ぜひご一読ください。

レーザー切断について詳しく知り、効率的で無駄のない製造をしていきましょう!

レーザー切断とは?【レーザー光により対象を切断】

レーザー切断は、レーザー光によって対象を切断する方法のことです。

仕上がりが綺麗、自動化がしやすいなどの利点がレーザー切断にはあります。

仕組みを理解してない状態でレーザー切断を導入しても、失敗して無駄にコストをかけてしまう恐れも。

そこで、レーザー切断について深く理解するため、以下の説明をします。

  • レーザー切断の原理
  • レーザー切断機の種類と仕組み
  • レーザー切断の種類

以下でレーザー切断の特徴について詳しく見ていきましょう。

1ー1.レーザー切断の原理

まずはレーザー切断の原理について説明します。

レーザー切断の流れは以下のとおりです。

  1. レーザー光を照射ユニットに出力
  2. 工作対象物にレーザー光を照射
  3. レーザー光により被照射箇所が融解
  4. 照射部分にガスを噴射して切断

上記の流れによって、レーザー切断による加工が行われます。

以下でレーザー光の特徴について、詳しく見ていきましょう。

1ー1ー1.レーザー光の特徴

レーザー光の特徴は、通常光と比べて直進的・波長が一定であるということです。

直進的・波長が一定である光が工作物に当たることにより、工作物を構成する原子が振動して発熱、そして融解現象が起こります。

レーザー光の出力をたとえるなら、口を細く絞ったホースから水を出すようなものです。

照射ユニットから出力されるレーザー光は細く絞られて、工作物に発熱現象を発生させることができます。

直進的・波長が一定であるというのがレーザー光の特徴です。

1ー2.レーザー切断機の種類と仕組み

次にレーザー切断機の仕組みと特徴について解説しましょう。

レーザー切断機には以下の3種類があります。

  • レーザー発振器系
  • 加工光学系
  • 加工物質系

それぞれのレーザー切断機について、仕組みと特徴を詳しく見ていきましょう。

1ー2ー1.レーザー発振器系

レーザー発振器系は、レーザー光をレーザー発振器に集光させて、工作対象物に照射することで加工をおこなうレーザー切断機です。

光を発振させることで媒体特有の波長を生じさせ、共振器によって波長を増幅させて強力なレーザー光を照射できる仕組みとなっています。

レーザー発振器系という名前だけあり、発振器を使用してレーザー切断をおこなう加工機です。

1ー2ー2.加工光学系

加工光学系は、レーザ発振器から出力されたレーザー光をさらに集光レンズやガルバノスキャナーで加工して、照射するレーザー切断機です。

加工に求められる精度や技術に合わせてレーザー光の加工をおこなうことができるため、よりニーズに合ったレーザー切断をおこなうことができます。

媒介を通じてレーザー光を加工するのが、加工光学系の特徴です。

1ー2ー3.加工物質系

加工物質系は、加工物を固定するためのテーブルや加工物そのもののことを指します。

加工物質系は照射位置を移動しながら加工する際に用いられ、加工光学系のレーザー切断機と駆動するテーブルの両方が必要です。

加工物が固定されたテーブル自体が駆動するため、加工物質系は精密な加工をおこなうことができます。

1ー3.レーザー切断の種類

次にレーザー切断の種類について解説します。

レーザー切断の種類は、以下の2種類です。

  • YAG
  • CO2

レーザー切断の種類について、詳しく見ていきましょう。

1ー3ー1.YAG

YAGは固体レーザーで、イットリウム、アルミニウム、ガーネットという素材が使用されています。

波長が1,064nmとなっており、プラスチックや金属のマーキングをおこなうのに最適なレーザー切断の種類です。

1ー3ー2.CO2

CO2は、炭酸ガスを用いた気体型レーザーで、内部分子の振動によってレーザー光が生成されます。

レーザー切断の際にもっとも使用されており、木材・アクリル・ガラスのように幅広い素材のマーキングをおこなうのに最適なレーザー切断の種類です。

レーザー切断の利点を押さえよう!

ここまで、レーザー切断の特徴を確認してきました。

次にレーザー切断の利点について紹介します。

利点を押さえることで、レーザー切断を最大限に活かした加工が可能です。

レーザー切断の利点は以下の3点になります。

  • 仕上がりが早くて綺麗
  • 他の熱切断に比べてエネルギー密度が高い
  • 熱源の制御が容易なので自動化しやすい

レーザー切断には、仕上がりが綺麗だということ以外にもさまざまな利点があります。

それでは早速見ていきましょう。

2ー1.作業に手間が掛からない

レーザー切断は、作業に手間が掛からないことが特徴となります。

なぜならレーザー切断には、ほかの金属加工時に使用する金型が必要ないからです。

レーザー切断の加工では、金型を使用せず、あらかじめ型をプログラムした上で製造に取り掛かります。

ですので、金型をセットしたり、メンテナンスをしたりする必要がありません。

上記のように作業に手間が掛からないことがレーザー切断の利点です。

2ー2.他の熱切断に比べてエネルギー密度が高い

レーザー切断は、他の熱切断に比べてエネルギー密度が高いです。

以下は、熱切断のエネルギー密度をまとめた表となります。
 

種類エネルギー密度
ガス切断10³
プラズマ切断10⁵
レーザー切断10⁵^⁷

(引用:切断加工の最新技術

エネルギー密度が高いことで、熱切断の影響部が少なく、熱による歪みが少ないという利点が挙げられます。

上記のように他の熱切断に比べてエネルギー密度が高いのがレーザー切断の利点です。

2ー3.熱源の制御が容易なので自動化しやすい

レーザー切断は、熱源の制御が容易です。

レーザ発振器が熱源としてコントロールしやすいため、自動化が容易におこなえるという点が利点だと言えます。

熱切断の過程を自動化に繋げていきたいのであれば、熱源の制御が容易なレーザー切断がおすすめです。

レーザー切断の事例【大型から小型まであらゆる対象を加工できる】

ここまで、レーザー切断の利点を紹介しました。

次に以下の導入事例を見ていきます。

  • S-TENの切断
  • 少量多品種な鋼板の切断

レーザー切断の導入事例を詳しく知ることで、レーザー切断の導入に適切な製造過程を理解することができ、製造時に無駄なコストをかけることを避けることが可能です。

それでは早速見ていきましょう。

3ー1.S-TENの切断

レーザー切断の導入事例として、S-TENについて紹介します。

レーザー切断はS-TENに適した加工方法です。

S-TENとは、溶接構造用として開発された鋼材で、ガス切断はできません。

一方、レーザー切断ならS-TENにダレやカエリを生じさせず、綺麗に切断することが可能なのです。

S-TENを切断するのに適している熱切断がレーザー切断となります。

S-TENについて詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

3ー2.少量多品種な鋼板の切断

(引用元;特殊鋼のクマガイ

レーザー切断は少量多品種な鋼板の切断にも適しています。

レーザー切断をおこなう際、テーブルの大きさを広く取ることによって、幅広い形状の鋼板を少しずつ切断することができるのです。

設備の揃え方によっては、小回りの利く生産をおこなうことができるのがレーザー切断の特徴だと言えます。

気をつけて!レーザー切断の注意点

ここまでレーザー切断の利点や、実際の導入事例について紹介してきました。

レーザー切断の利点には、仕上がりが綺麗、自動化がしやすいなどがあります。

ただし、とても便利な加工技術だからと言っても、万能だというわけではありません。

レーザー切断について、知っておくべき注意点があります。

レーザー切断の注意点は、以下の3点です。

  • 加工速度が遅い
  • 中/厚板では工夫が必要
  • 設備コストが高い
  • 対象の材質に対策するべきことがある

注意点をしっかり理解することで、無駄にコストをかけることを避けることができます。

以下で詳しく見ていきましょう。

4ー1.加工速度が遅い

レーザー切断は、ほかの加工方法と比べて加工速度が遅いのが難点となります。

なぜならレーザー切断は非接触加工のため、工作物を融解しながら徐々に切断していく加工方法だからです。

ただ速度が遅い分、精度が高いため、レーザー切断は高精度が求められる工作物の加工に向いていると言えます。

上記のように、ほかの加工方法と比べて加工速度が遅いのがレーザー切断の注意点です。

4ー2.中/厚板では工夫が必要

レーザー切断は、中/厚板の加工では工夫が必要となります。

なぜなら、レーザー切断特有の現象として、切断面がテーパー状になるからです。

レーザー切断では、切断面がすり鉢状になってしまうため、工作物が厚ければ厚いほど、加工入口から加工出口にかけての広さが異なります。

ただし、リーマーやドリルを使用し、工作物の切断面に追加工をおこなうことで改善が可能です。

中/厚板の加工では上記の現象に注意しましょう。

4ー3.設備コストが高い

レーザー切断は、ほかの熱切断と比べて設備コストが高いです。

以下は熱切断機の費用です。
 

種類切断機値段
ガス切断中型切断機Zノバック 日酸TANAKA11,900円〜
プラズマ切断エアプラズマ切断機15PCEco アサダ199,000円〜
レーザー切断PE-F700-3015 PERFECT LASER274,000円〜

上記の表のとおり、熱切断機の中で設備コストがもっとも高いのはレーザー切断となります。

レーザー切断は、ほかの熱切断と比べて設備コストが高いという点に注意しましょう。

4ー4.対象の材質に対策するべきことがある

レーザー切断では、対象の材質ごとに対策するべきことがあります。

以下は、各対象の材質ごとに必要な対策です。
 

材質対策
加工時にテーパー状になる傾向あり。リーマー・ドリルを使用して追加工をおこなうことで、すり鉢状の加工面を整えることが可能。
レーザー照射が反射することで切断機が故障する恐れあり。レーザー光の出力・加工速度を控えめにすることで、故障を防ぐことが可能。
アルミニウム反射率が高い素材のため、そもそもレーザー切断には不向き。切断後に裏面のバリを取り除くことで、綺麗に整えることが可能。
ステンレス加工時にテーパー状になる傾向あり。鉄と同じく、追加工をおこなう必要あり。また変形や反りが出やすいが、加工速度を控えめにすることで抑えられる。

上記の表に記載された対策をもとに、レーザー切断時には材質に合わせて加工をしていきましょう。

レーザー切断にお困りの場合は鋼の専門商社へ相談もアリ!

レーザー切断の導入に不安があれば、加工技術のプロフェッショナルに相談することをおすすめします。

レーザー切断は、加工速度が遅いことや設備コストが高いことなど、さまざまな注意点があるため、何も知らない状態で導入すれば失敗する可能性があるからです。

レーザー切断を使って、より緻密な作業がしたいということであれば、実績と技術のある会社へ相談しましょう。

5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社

クマガイ特殊鋼株式会社は、レーザー切断のように高い技術力が求められる加工技術を保有している会社です。

創業はすでに100年を超えており、その長い歴史に裏づけられた実績が、クマガイ特殊鋼株式会社の信頼の証でもあります。

レーザー切断を用いて、よりクオリティの高い製品を製造したいということであれば、クマガイ特殊鋼株式会社に相談することがおすすめです。

まとめ

レーザー切断は、レーザー光によって対象を切断する方法のことです。

仕上がりが綺麗、自動化がしやすいなどの利点がレーザー切断にはあります。

一方で加工速度が遅いことや設備コストが高いことなどの注意点もありますので注意しましょう。

もしレーザー切断の導入にお困りであれば、クマガイ特殊鋼株式会社にご相談ください。

プロとしてきめ細かいサポートを約束します。