ホーニング加工とは?利点・事例・注意点を解説!
精度の高い内面加工、ホーニング加工について解説しています。仕組みや特徴など基本的なことから、ホーニング加工の利点や注意点、ホーニング加工の事例まで詳しく解説しています。この記事を読むことで、ホーニング加工について理解でき、製造効率を向上させることが可能です。
目次
ホーニング加工についてお調べでしょうか?
ホーニング加工とは、穴内面の仕上げを行う加工方法のことです。
類似の内面研磨に比べて、精度が高いのが利点の一つですが、一方で業者の腕により仕上がりに影響が出るというデメリットも。
そこで本記事では、ホーニング加工の仕組みやメリット、注意点やホーニング加工の事例を紹介していきます。
本記事を読むことで、ホーニング加工がどのような製品に対して適しているのかがわかりますので、ぜひ参考にしてください。
ホーニング加工に適した製品を知り、生産性を高めましょう!
ホーニング加工とは?【精密仕上げを行う加工】
ホーニング加工とは、砥石をホーニングヘッドに取り付けた状態で、工作物の内側に強く当てて回転させる加工方法です。
以下で詳しく見ていきましょう。
1ー1.穴内面の仕上げに使われる加工【内面研磨との違いも解説】
ホーニング加工は、穴内面の仕上げに使われる加工方法です。
ホーニングヘッドに磁石を取り付け、工作物の内側に強く当てて回転させる動きを往復で行う動きで精密な仕上げができるようになっています。
内面研磨と異なるのは、穴を開ける精度の高さです。
ホーニング加工は穴の内面を磨く加工のため位置がずれることはありませんが、内面研磨は芯だしのやり方によってはずれてしまうことがあります。
また、真円度や面粗さ、円筒度についてはどれもホーニング加工の方が精度が高いです。
このように、高い精度で穴内面の仕上げに使われる加工方法がホーニング加工となります。
1ー2.ホーニング加工機の種類
こちらではホーニング加工機の種類について紹介します。
ホーニング加工機 | 特徴 |
平行平面ホーニング研削盤 | 工作物を2枚の円盤型砥石で挟み、平行な角度から砥石を往復回転させることで加工を行う。高い精度で平面度や平行度だしを行うことが可能なホーニング加工機。 |
CNC多軸ホーニング盤 | 上下の往復回転運動によって穴の内側の仕上げ加工を行う。 |
液体ホーニング | 微細な砥粒を含有する加工液を工作物表面に当て、つや消しや「なし地」仕上げを行う。 |
ホーニング加工機の各種類について、以下でさらに詳しく見ていきましょう。
1ー2ー1.平行平面ホーニング研削盤
平行平面ホーニング研削盤は、工作物を円盤型の砥石で挟み、平行角から砥石を往復回転させて加工するホーニング加工機です。
工作物の両面を同時に加工することができるため、平もの・角物のような工作物加工に向いています。
たとえば、プレート・ストッパーのような工作物を高精度で仕上げることが可能です。
工作物を両面で挟み高精度で加工するのが平行平面ホーニング研削盤の特徴となります。
1ー2ー2.CNC多軸ホーニング盤
CNC多軸ホーニング盤は、上下往復運動かつ回転運動で工作物の内面を仕上げるホーニング加工機です。
縦の動きで工作物の内面を加工することができるため、長尺の工作物加工に向いています。
たとえば長尺のシリンダーのような筒状工作物を高精度で仕上げることが可能です。
長尺の加工物を往復回転運動で加工できることが、CNC多軸ホーニング盤の特徴となります。
1ー2ー3.液体ホーニング
液体ホーニングは、微細な砥粒を含有する加工液を工作物表面に当てる湿式噴射加工のホーニング加工機です。
研磨剤と水の混合液を圧縮エアで噴射することによって、工作物の表面に準鏡面仕上げ・梨地仕上げを施すことができます。
主に酸洗の前処理やバリ取りに使用することが可能です。
研磨剤と水の混合液を圧縮エアで噴射し、準鏡面仕上げ・梨地仕上げを施せるのが、液体ホーニングの特徴となります。
ホーニング加工の利点を押さえよう!
ここまで、ホーニング加工の特徴や種類を見てきました。
次に、ホーニング加工の利点について紹介します。
ホーニング加工は高い精度で仕上げること以外にも利点があり、詳しく知ることで適切な工作物に導入することができます。
条件に合った加工方法を選ぶことによって、無駄のない生産を実現することが可能です。
それでは早速見ていきましょう。
2ー1.類似の加工の中でもっとも高精度
ホーニング加工は類似の加工の中でもっとも高精度な加工方法となります。
ホーニング加工ではゆっくりとした速度かつ大きな圧力をかけない加工を行うため、高い精度の仕上がりが可能なのです。
たとえば自動車のエンジンや部品などのように1ミクロンの公差が要求される精度の高い工作物を仕上げる際に類似の加工の中でもっとも高精度なホーニング加工が用いられます。
このように、高精度な加工がホーニング加工の利点の1つです。
2ー2.加工面がクロスハッチになるので潤滑溝の働きにもなる
ホーニング加工を行った際、加工面がクロスハッチになるので潤滑溝の働きにもなります。
ホーニング加工の往復回転運動が網状の筋を工作物に刻み込むことによって加工面にクロスハッチが生まれるのです。
部品同士が擦れ合う可動部品の場合、加工面がクロスハッチとなることによって、部品同士が滑らかに動くため、大きな摩擦が生じません。
このように、加工面がクロスハッチになるということもホーニング加工の利点です。
ホーニング加工の事例【動作効率アップに有効】
ここまで、ホーニング加工の利点について紹介しました。
次に、ホーニング加工の導入事例を見ていきます。
導入事例を知ることで、ホーニング加工に適している工作物が分かり、的確に技術を導入することが可能です。
それでは早速見ていきましょう。
3ー1.エンジンのシリンダー
ホーニング加工の導入事例として、エンジンのシリンダーについて紹介します。
ホーニング加工はエンジンのシリンダーを仕上げる際に適した加工方法です。
シリンダーの内部はエンジンが作動することにより熱が発生し、高温の環境になってしまいます。
また、ピストンとピストンリングが互いに擦れ合うことで壁面が傷つきやすくなってしまうのです。
壁面が傷ついてしまうとシリンダーピストンの上下運動に抵抗が増し、エンジン性能が低下してしまいます。
ホーニング加工によって生まれるクロスハッチが、エンジン性能低下の原因となる摩擦発生を抑えてくれるのです。
このような事情から、ホーニング加工はエンジンのシリンダーを仕上げる際に適した加工方法だと言えます。
3ー2.自動車の動力伝達用歯車
次にホーニング加工の導入事例として、自動車の動力伝達用歯車について紹介します。
近年、自動車のハイブリット化やEV化によって、トランスミッションから発生する異音が問題視されてきました。
トランスミッションからの異音は、歯車が噛み合うときに、歯車同士がぶつかり合ったり、うねったりする際の騒音です。
上記の問題に対し自動車メーカーは、熱処理歪みを抑制したり、噛み合う歯車の組み合わせを最適なものにしたりすることで解決を図りましたが、うまくいきませんでした。
そこで導入されたのがホーニング加工によって高い精度で仕上げられた歯車です。
ホーニング加工で仕上げられた歯車は熱処理歪みをコントロールし、歯車同士の噛み合わせをよくするだけでなく、累積ピッチ精度の向上にも貢献しました。
結果として、歯車が噛み合うときに、歯車同士がぶつかり合ったり、うねったりする際の騒音が改善されたのです。
このような事情から、ホーニング加工は自動車の動力伝達用歯車を仕上げる際に適した加工方法だと言えます。
気をつけて!ホーニング加工の注意点
ホーニング加工は、高い精度が求められる工作物の仕上げに向いています。
しかし高精度な仕上げが可能だからといって、注意点がないということではありません。
注意点を守らなければ加工に失敗して無駄なコストをかけてしまう可能性もあります。
ホーニング加工の注意点について詳細を見ていきましょう。
4ー1.作業の熟練度で仕上がりに差が出る場合がある
ホーニング加工は作業の熟練度で仕上がりに差が出る場合があります。
なぜなら多数の項目における数値管理をした上で細かい加工を行わなければならず、熟練した腕を持っていなければ満足に操作することも難しいからです。
たとえば、ホーニング加工を行う前に加工方法や適した砥石の選択、工作物に求められる精度や表面粗さ、ワーク膨張率などを考慮する必要があります。
作業の熟練度で仕上がりに差が出るため、慣れていない人には扱うことができないという点がホーニング加工の注意点です。
ホーニング加工にお困りの場合は鋼の専門商社へ相談もアリ!
ホーニング加工についてのお悩みは、プロに相談してみましょう。
ホーニング加工は、求められる作業技術が仕上がりに大きく影響を与える加工方法です。
質の高い製品に仕上げるためにも、実績と技術のある会社への相談をおすすめします。
5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社
クマガイ特殊鋼株式会社は、ホーニング加工も含めてさまざまな加工技術が可能なため、ニーズに合わせた提案ができます。
創業から100年以上の歴史を持っているクマガイ特殊鋼株式会社は、ホーニング加工に関する技術も高いです。
これまでの長い歴史の中でホーニング加工に対応可能なノウハウと技術力を保有しています。
選定精度の高い設計や目的に合わせた素材選定に不安な場合はクマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。
まとめ
ホーニング加工とは、穴内面の仕上げを行う加工方法のこととなります。
類似の内面研磨に比べて、精度が高いのが利点です。
また、加工面がクロスハッチになることから、潤滑溝の働きとしての働きがあることも特徴の1つとなります。
一方、ホーニング加工は作業者の腕により仕上がりに影響が出るという注意点もあるので、覚えておきましょう。
もしもホーニング加工にお困りでしたら、ぜひクマガイ特殊鋼株式会社にご相談ください。
プロとしてきめ細かいサポートを約束します。