ゴム型鋳造|貴金属キャストなど作り方を解説
ゴム型鋳造とは何か?貴金属の製造では、ほとんどがゴム型鋳造の方法で、手作り指輪でも、ロストワックスを削って指輪の原型を作っています。ゴム型鋳造の特徴や用途。貴金属キャストの作り方や貴金属キャストの作り方の注意点について解説していきます。
目次
ゴム型の鋳造とは
貴金属(ジュエリー)では、その製造過程でほとんどがゴム型による鋳造の方法を使っています。手作り指輪でもロストワックスを削って指輪の原型作りをします。ワックスは簡単に言うとロウソクの塊のようなものをいいます。
ゴム型鋳造の特徴
ゴム型鋳造には以下のような特徴があります。
- 品質が安定する。
- コストもあまり掛からないので小ロットの生産に向いている。
- 低融点合金の成形に適している。
- アクセサリーや貴金属の型取りに適している。
ゴム型鋳造の用途
ゴム型鋳造では、ゴムで金型を作ります。ゴム型には錫(すず)、亜鉛などを注いで成型をします。この方法のことをキャスト成型ともいいます。ゴム型鋳造は貴金属やアクセサリー・ベルトのバックルなどの製造に向いている成型方法です。
ゴム型鋳造!貴金属キャストの作り方
貴金属キャストの作り方は、地金でできた指輪などを複製する場合にゴム型をとります。
全く同じ商品に出来ますが、原型より少し小さめになります。ゴム型は一度作れば数百個分使うことができますが、デザインによって耐久性が変わります。
製品を量産する場合に、原型を製作した後、ゴム型を焼いて原型のコピーを製作します。これをワックスモデルといいます。
①原型に湯道を取り付ける
湯の注入口を作るために、原型に湯道を半田付けで取り付けます。
②シリコンで包み込む
シリコンで原型を包み込みます。
③焼き固め成型
原型を包んだシリコンに圧力をかけて、140度で焼き固を行います。
④焼成完了
焼き上がるとシリコンゴム型が固形になります。
⑤原型取り外し
シリコンゴム型から原型を切り出します
⑥完成
ワックスを試しに成形してゴム型の完成となります。
ゴム型鋳造・貴金属キャスト作り方の注意点
①ワックスモデルをきれいに作る
原型となるワックスモデルをきれいに作りましょう。ワックスモデルは原型の複製ですので、原型をきれいに作れば、ワックスモデルもきれいに仕上がります。面やエッジの部分が特に重要な製品では、その部分を強調するぐらいの気持ちで製作しましょう。
②収縮に注意
原型からゴム型を焼きワックスモデルを成型すると原型より全体5%収縮します。このことから、指輪サイズではリングサイズで約1号、石枠またはパーツをはめるものでも、5%以上大きめに作る必要があります。石をはめ込む製品では石が入らなくなる場合もあるので、サイズには注意しましょう。
③原型の厚みに注意
原型の厚みはゴム型の作成にはとても重要な項目です。表面積が小さいものは特に問題にはなりませんが、大きなメンズリング程度の大きさになると裏抜きした薄い部分でも厚みが最低1mmは必要となります。
また、幅が広くて表面積が大きいバングルなどは、厚さ・デザインが異なるとワックスが端まで行き届かない場合があり、ワックスモデルが取れない場合があります。
④ヒケに注意
ワックスを型に注入したあとで、冷やされて固まる時にワックスプレートの表面が内側に湾曲することを「ヒケ」といいます。表面積の大きなプレート状(板状)の物はワックスを取る時に「ヒケ」が生じてしまいます。
ですので、表面積の大きなプレート状(板状)の物の場合は、平面を余分に削る事が必要になります。プレート状の原型は希望の厚さより0.5mm程度厚めに作りましょう。
⑤ロゴや刻印などに注意
原型からワックスモデルを取り修正して成形後、製品を仕上げるために数種類の研磨工程があります。研磨をすることによって、完成品のロゴマーク・文字・絵柄や刻印などが薄くなってしまうことがあります。原型を製作する際には、ロゴや刻印などを深くする必要があります。
まとめ
この記事では以下の内容について説明しました。
- ゴム型の鋳造では、ほとんどがゴム型による鋳造の方法を使っています。
- ゴム型鋳造では品質が安定し、コストもあまり掛からないので小ロットの生産に向いており、アクセサリーや貴金属の型取りに適しています。
- ゴム型鋳造では貴金属やアクセサリー・ベルトのバックルなどの用途があります。
- 貴金属キャストは、地金でできた指輪などを複製する場合にゴム型をとります。
- 貴金属キャストの作り方の注意点として、原型となるワックスモデルをきれいに作ることがあります。