金属加工は個人でできる?特徴/種類/DIY

金属の加工は個人でDIYできるのか?ご自宅で、キッチン周りなどの修理や改装をしたいと思ったことはありませんでしょうか?金属を加工するとなると、個人では難しいと思うかもしれません。この記事では基本的な金属の加工方法などについて解説していきます。

金属加工は個人でできる?特徴/種類/DIYのイメージ

金属加工とは

金属の加工は個人で出来るのか? DIYできるのか?
ご自宅で、キッチン周りなどの修理や改装をしたいと思ったことはありませんでしょうか?
金属を加工するとなると、個人では難しいと思うかもしれません。
この記事では基本的な金属の加工方法などについて解説していきます

金属加工は大きく分けて、以下のように4つに分類されます。

  • 機械加工:専用機械で金属を加工する。
  • 表面処理:金属の表面に特性を付加する。
  • 熱処理加工:金属そのものを加熱や冷却をして金属の性質を変化させる。
  • 3Dプリンター:金属3Dプリンターにより造形する。

金属加工の特徴

私たちの身の回りには、金属を加工した製品がたくさんあります。身近なもので言うと、冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなど、身の回りにはたくさんあります。

もちろん、金属だけでなく、プラスチックや木材・布などあらゆる材料を使って、一つの製品が出来ています。製品内部に使われている金属の板やねじも、その製品になくてはならない金属加工された部品の一つです。
 
このように、私たちの生活にはなくてはならない材料であり、金属加工の目的とは、私たちの生活をより便利に、より豊かにするためにあるといえます。金属は固いので、加工は大変と思うかもしれません。しかし金属は溶かすことや切断、結合させたり、変形したりできるので、加工しやすい材料というのが特徴です。

金属加工のメリット

これまでも説明しましたように、金属加工のメリットとしては加工のしやすさがあげられます。溶かしたり削ったりが容易で、目的の形状にすることができます。また、比較的入手がしやすいことも特徴です。

強度面ではプラスチックなどの材料より丈夫で、表面処理を付加することにより長持ちします。

金属加工の分野は歴史が長く、様々な加工方法が存在しています。比較的柔らかい材料から硬い材料、耐食性に優れた材料など材質そのものにも様々な選択肢があります。

金属加工のデメリット

プラスチックの材料と比較して、金属は固いので工作機械などで加工をする時に送り速度を早くすることはできません。刃物についても材料に合ったものを選択する必要があります。

プラスチックの材料では錆が発生することはないですが、金属材料はそのままの状態ですと腐食が進んでしまいます。錆びにくいといわれているアルミやステンレスでも、腐食が進んでしまうことがあります。

腐食を防ぐには、金属には表面処理(メッキや塗装、表面改質など)を行います。プラスチックに比べて重いのもデメリットかもしれません。重量が重いということは、それだけ部品などの重量が増えることになるので、動力によるエネルギーや搬送コストがかかります。

プラスチックに比べて、ケガをしやすいのもデメリットです。プラスチックより鋭利で、現場での切削加工においては、プラスチックに比べて、重さと硬さのある金属の方が切り傷などのリスクが大きいです。使う側でも同じようにケガのリスクがあるので、鋭利な箇所は面取りやバリ処理を行うようにしましょう。

金属加工の素材

金属加工の素材には代表的なものとして以下のようなものがあります。それぞれの加工方法について解説していきます。

  • SPCC・鋼
  • アルミニウム
  • ステンレス
  • チタン
  • ZAM材
  • 真鍮

金属加工の種類

金属加工は、機械加工・表面処理・熱処理加工・3Dプリンターがあるとお話しました。ここでは機械加工の代表的な切削加工について解説します。

切削加工

切削加工とは金属などの材料を削る、穴を開けるなどする加工技術で、一般的には工作機械を使います。

ボール盤・旋盤・汎用フライス盤・NCフライス(CNCフライス)・複合旋盤・マシニングセンタ・ブローチ盤・研削盤・NC歯車加工機などがあり、用途によって使い分けます。

単純に穴あけ作業をするだけならボール盤で十分ですが、加工する素材によってドリルを選択する必要がありますので注意してください。ドリルには木材用・金属用・コンクリート用などの種類があります。

金属に穴を開けるときには、ボール盤や電動ドリルなどの電動工具を使って穴を開けます。
作業する前に、材料にあらかじめセンターポンチなどで穴を開けたい場所にポンチを打っておきましょう。

特に電動工具で金属に穴あけ加工をする時には、ドリルの先端が滑ってしまい、目的の場所とはずれたところに穴が開いてしまう場合がありますので、ポンチを打っておくことで目的の位置に穴を開けることができます。

また、大きな穴を開けるときには、ドリルの太さを変えて段階的に穴を広げていくようにしましょう。
例えばφ8mmの穴を開けたいときには、最初にφ4mmで穴を開けてから、φ8mmに穴を広げるように加工すると、きれいに仕上がります。

金属を切断するには、高速切断機やグラインダーなどの電動工具が一般的です。切断用のディスクを付け、切断します。
手やバイス(万力)などを使って切断する材料をしっかり固定します。

高速切断機やグラインダーは、非常に高速で回転するので、切断時に材料がしっかり固定されていないと大変危険ですので注意が必要です。

まっすぐに切断するためには、事前にマジックなどでケガキを入れたり、固定する際には当て材を添えるなどしてしっかり固定する必要があります。

切断中や切断後は材料に熱が伝わり、材料そのものが高温になります。やけどにも注意が必要です。

また、保護具を使用してケガなどの予防をすることが大事です。
保護メガネ、マスク、手袋などを使用して肌の露出を防止して安全に作業しましょう。

金属に穴を開けたり切断した後には、必ずといって良いほど「バリ」が出ます。バリは鋭利な状態なので引っかけてケガをする可能性が高いものです。
必ずグラインダーやヤスリなどで「バリ取り」をしましょう。

塑性(そせい)加工(非切削加工)

塑性加工とは一般的にプレス加工と呼ばれます。加工物に型を押しつけて目的とする形状をつくる技術のことをいいます。

プレス加工では、素材の塑性変形を利用した、塑性加工の一種です。材料を金型に当てて、さらに加工機で圧力を加えて、材料を金型の形にする加工方法です。

プレス加工には、以下の3種類があります。

  • 切る(せん断加工)
  • 曲げる(曲げ加工)
  • 絞る(絞り加工)

プレス加工は、低コスト大量生産に向いています。

金属加工を個人でDIYする方法

金属をDIYで加工や仕上げをすることは自分でも出来ないわけではありませんが、個人で専用の加工工具などを用意するのは難しいと考えます。
ホームセンターでも電動工具のレンタルをしていることころもあるので、必要な場合は相談してみると良いでしょう。金属加工する場合には以下の点に注意しましょう。

・十分な作業場所があるか
・騒音が問題ないか
・効率的に作業ができるか
・図面を用意し、正しく計測する
・粉塵などの問題

個人で金属をDIYで加工する際の手順を解説します。 

①まずは切断加工

一般的に金属を切断する場合には旋盤や高速切断機・グラインダーなどの電動工具を使って切断します。DIYで金属を切断する場合は、金属専用ののこぎりを用意する必要があります。

先ほども説明しましたが、材料をしっかり固定して安全に作業しましょう。
材料が不安定な状態で作業をすると、思わぬ事故やけがのもとになりますので作業前に十分注意が必要です。

木材をのこぎりでカットするよりも、金属の方が切断時に大きな音がでますので、騒音には十分注意しましょう。

ネットでも金属用ののこぎりなどは手に入りますが、まっすぐに切れないことも多いので、プロに任せた方が良いかもしれません。

又、金属は加工した直後は高温になっていることがあります。やけどなどに十分注意しましょう。
先ほども説明しましたが、加工後は「バリ取り」を忘れずに行いましょう。 

②接着する

金属同士を接着する場合は、金属専用の接着剤を使用しましょう。金属の材質によって接着剤も異なりますので、素材を確認して接着剤を選びましょう。

ホームセンターには、金属専用のエポキシ樹脂系接着剤や、瞬間接着剤が販売されていますので、それを使います。衝撃の多い場所などは溶接が必要かもしれません。

③穴あけをする

金属に穴あけをする場合は、一般的にドリルを使います。工業用のボール盤とバイス(万力)があれば、材料も固定できるので作業性は向上しますが、DIYでやるとなると電動ドリルを使用します。

ドリルそのもの加工する材料に合ったものを必ず使用しましょう。電動ドリルで穴をあける際もしっかり材料を固定するようにしましょう。

穴をあけるときも、金属の材料が高温になることがありますので注意しましょう。
大きい穴をあける場合には、いきなり太いサイズのドリルで一気にあけるのではなく、センターポンチを打って小さい穴をあけ、そして少しずつ太いドリルを使って穴を大きくしていきましょう。

機械油をさすこともきれいに仕上げるポイントです。

また、穴を開ける時には特に注意してほしいことがあります。
先ほど、保護具を使用して肌の露出を防止することを説明しました。

ドリルの刃は回転しているので、軍手をしたまま作業をすると、材料が回転方向に引っ張られたり、ドリルの刃に軍手が巻き付いてしまったりして大けがをする危険性があります。

しつこく言うようですが、材料はバイスなどでしっかり固定することが重要な安全ポイントです。
特に電動ドリルやボール盤を使って穴あけをする際には十分注意しましょう。

④面取りをする

金属の材料は切断しても、穴あけしても、必ず「バリ」は出ます。
「バリ」はそのままにすると指を引っかけて、けがをすることがありますので、必ずバリ取りや面取りをしましょう。

ホームセンターなどでバリ取り工具やヤスリを入手することができますので、必ずバリ取りをしましょう。

また、グラインダーを使うときれいに仕上がります。グラインダーを使うときも巻き込まれないように注意しましょう。

⑤仕上げをする

仕上げに塗装などをします。塗装することで、錆や腐食の防止がある程度は出来ます。
塗装する面は、よく脱脂して、サンドペーパーなどで表面をきれいにすることで塗装もきれいに仕上がります。

メッキなどはDIYでは難しいので、必要な時はプロに頼みましょう。

個人で金属加工するときの注意点

個人でもDIYで金属を加工する方法を説明しましたが、道具をそろえるのは大変かと思います。

これまでにも説明しましたが、ホームセンターで道具を用意したり、レンタルもできますのである程度の金属の加工はできるかと思います。

DIYで金属を加工する時には、以下の対策をしっかり行いましょう。
・十分な作業場所はありますか?
・騒音が問題ありませんか?
・効率的に作業ができますか?(工具などは十分ですか?)
・図面を用意し、正しく計測しましたか?
・粉塵などの対策はしましたか?

金属を使ってDIYする時は、結果的にプロに頼んだ方がきれいに仕上がるし、安全かもしれません。

ある程度のことはできるかもしれませんが、けがなどしないように十分注意して作業するようにしましょう。

まとめ

この記事では

◆金属加工とは
機械加工・・・・専用機械で金属を加工する。
表面処理・・・・金属の表面に特性を付加する。
熱処理加工・・・・金属そのものを加熱や冷却をして金属の性質を変化させる。
3Dプリンター・・金属3Dプリンターにより造形する。

◆金属加工の素材
SPCC・鋼
アルミニウム
ステンレス
チタンなど

◆金属加工の種類
・切削加工
・塑性(そせい)加工(非切削加工)

◆金属加工を個人でDIYする方法
ホームセンターでも電動工具のレンタルをしていることころもあるので、必要な場合は相談してみると良いでしょう。
①切断加工
②接着
③穴あけ加工
④面取り加工
⑤仕上げ加工

◆個人で金属加工するときの注意点
DIYで金属を加工する時には、以下の対策をしっかり行いましょう。
・十分な作業場所はありますか?
・騒音が問題ありませんか?
・効率的に作業ができますか?(工具などは十分ですか?)
・図面を用意し、正しく計測しましたか?
・粉塵などの対策はしましたか?

金属を使ってDIYする時は、結果的にプロに頼んだ方がきれいに仕上がるし、安全かもしれません。

ある程度のことはできるかもしれませんが、けがなどしないように十分注意して作業するようにしましょう。

個人でもDIYはある程度できますが、設備や技術の関係で、自分ではどうしても出来ないこともあります、無理せずにプロに頼むことも安全な選択です。 

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