表面焼き入れの種類と方法を解説

焼き入れとは鋼を800℃以上に加熱し、炭素を十分に溶かしてから油や水で急速に冷やすことをいい、炭素鋼や合金鋼などで適応されています。表面焼き入れの種類には炎焼入れ、高周波焼入れ、電子ビーム焼入れ、レーザー焼入れの4種類があり、それぞれについて以下に解説します。

表面焼き入れの種類と方法を解説のイメージ

目次

  1. 1表面焼き入れとは?
  2. 2表面焼き入れの種類と方法
  3. 3最も多く使われている焼き入れは?
  4. 4まとめ

表面焼き入れとは?

機械部品の多くは、熱処理によって機械的な性質が変化します。また、表面処理を行うことで、その部品の性能や寿命を伸ばすことになりますから、付加価値も高くなります。

表面焼き入れは、鋼を800℃以上(オーステナイト領域)に加熱して、鉄の中に炭素を十分に溶かしてから焼入れ用の油や水などで急激に冷やします。また、炭素が過飽和で溶けた状態から常温にするための熱処理をいいます。

表面焼き入れは、一般的には炭素鋼や合金鋼などの、機械構造用鋼において適応されています。また、従来での焼き入れは、加熱炉で800℃に加熱後、急速に冷却しますが、その冷却速度によって仕上がりの硬さが決まります。

従来の焼入れに対し、表面焼き入れでは表面温度を800℃以上に加熱し、内部の温度が上昇する前に急速に冷却することで、鋼の表面だけを硬化させる熱処理を行います。

 

表面焼き入れの種類と方法

表面焼き入れには、以下のように炎焼入れ、高周波焼入れ、電子ビーム焼入れ、レーザ焼入れの4種類がありますが、それぞれについて詳しくみていきます。
①    炎焼入れ
②    高周波焼入れ
③    電子ビーム焼入れ
④    レーザ焼入れ
 

炎焼入れ

炎焼入れは、フレームハードニングとも呼ばれ、ガスバーナーから噴き出される燃焼炎によって鋼の表面を急速に加熱し、焼入れ硬化させる方法です。熱源はアセチレンガスと酸素を用い、冷却には水や水溶性冷却剤を使います。

炎を発生させる燃料には、アセチレン、プロピレン、プロパンなどが使用され、発熱量が大きく、燃焼速度が速いという利点があります。

炎焼入れは、加熱に要する熱量が小さくてすみ、加熱されていない内部方向への熱が逃げるため、冷却速度が速く、焼入れ性が悪い材料でも適応できます。

しかし、表面の温度制御が難しいため、量産品においてはあまり採用されていません。

 

高周波焼入れ

高周波焼入れは、円筒状に巻いた高周波コイルに通電させ、鋼の表面を急速加熱する方法で、高周波によって加熱し、熱源は1~500kHzの周波数を用います。

鋼の表面のみを硬化させて硬さを増し、内部はじん性(材料の粘り強さ)を保ったまま柔軟性に富んだ材料にすることが可能で、冷却には水や水溶性冷却剤を使います。

鋼の種類にもよりますが、一般的な焼入れと比べると表面はHRC(ロックウェル硬さ)で1~2程度上昇します。

焼入れ後、そのままでは靭性が低下しますから、一般的に約150~200℃の低温で焼戻しを行います。また、高周波焼入れは過電流が鋼の表面にだけ流れるため、通常は表面処理に使われる手法であり、内部まで熱処理することはほとんどありません。

その理由は、鋼の中心部分には過電流がほとんど流れず、金属内部まで加熱する場合はかなり時間がかかるためです。
 

レーザー焼入れ

レーザー焼入れは、レーザー光を金属表面に当てて焼入れする工法です。CO2レーザーやYAGレーザーを熱源とし、冷却は自己冷却によって冷却しますから、冷却剤を必要としません。

レーザー焼入れは、従来の表面熱処理では困難だった仕上げ加工を済ませた状態の製品にも、熱影響を与えることなく焼入れすることができますから、工程の大幅な短縮ができ、それによってトータルコストを抑えることが可能になりました。

超急速加熱と自己冷却が可能で、超微細白色マルテンサイトを形成することができ、耐摩耗性に優れています。

また、レーザー焼入れは、従来の表面熱処理と比べて焼入れ時の消費エネルギーが少ないため、環境に優しい熱処理といえます。
 

電子ビーム焼入れ

電子ビーム焼入れは、真空中で電子ビームによって対象物の表面を加熱する焼入れ方法です。真空を用いるという不便さはありますが、自己冷却ができますから冷却剤は必要としません。

また、自動車関連でも使用されていて、加工工程のインライン化が可能であり、トランスミッションのドグ歯焼入れなどに使用されています。

電子ビーム焼入れは、比較的に熱効率が良く、今後は機械部品の局所表面の焼入れ硬化に多く用いられることが予想されます。
 

最も多く使われている焼き入れは?

表面焼き入れの中で最も多く用いられる方法は高周波焼入れで、主にS45CやSCM435などの機械構造用鋼のシャフトや歯車などで利用されています。

高周波焼入れは、高周波コイルによって鋼の表面を急激に加熱することによって焼入硬化させる方法で、一般的に1~500kHzの周波数によって焼入れされます。

高周波振動によって発生する表面付近に流れる渦電流は、周波数が高いほど表層を流れます。ですから加熱の方法は、硬化層の深さを浅くしたいときや、対象物が小さい場合は、高い周波数を用い、逆に内部まで硬化させたいときには低い周波数を用います。

 

まとめ

今回は、表面焼き入れとはどんなものなのか、その種類や使い方についてまとめました。
 

  • 表面焼き入れは、鋼を800℃以上に加熱したあと、焼入れ用の油や水などで急激に冷やし、炭素が過飽和で溶けた状態において、常温にするための熱処理方法をいいます。
  • 表面焼き入れには、炎焼入れ、高周波焼入れ、電子ビーム焼入れ、レーザ焼入れの4種類があります。

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