穴あけ加工とは?現場レベルの知識をわかりやすく解説

切削工具で穴をあける技術である穴あけ加工について詳しく解説。穴あけ加工では、母材の材質や開ける穴の要件により、適切な方法・工具を選ぶ必要があるのです。この記事を読むことで、穴あけ加工について正しい知識が身につき、正しく穴あけ加工を行うことができるようになります。

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穴あけ加工についてお調べでしょうか。

穴あけ加工は、加工対象の材質や穴の要件によって適切な方法が異なります。

加工の際は目的にあった加工材質の選定、加工材質に最適な工具の選定が必要です。

また、穴に合わせた加工方法の選択を誤ると、素材や工具を無駄にしてしまうリスクがあります。

さらに、目的にあった素材を選択できなった際に成果物が不具合をおこす危険性もあるのです。

そこで今回の記事では、穴あけ加工の方法や実際に行う際の注意点を解説します。

知識をつけて、正しく穴あけ加工を行いましょう。

穴あけ加工とは?

穴あけ加工とは、金属切削加工の1つです。

一般的には被削材を固定させ、ドリルで穴を開けます。

工作物に穴を開ける場合はドリルをボール盤につけて行う手法が一般的ですが、近年はマシニングセンタでの加工も多くなっているのです。

穴あけ加工とは、ドリルで穴を開ける金属加工と覚えておきましょう。

1ー1.切削条件

切削加工では切削条件というものがあり、切削速度(m/min)、切り込み量(mm)、送り量(mm/rev)を最適な値に調整する必要があるのです。

切削速度は”(ドリル径*3.14*主軸速度)/1000”で算出されます。

計算で用いる主軸速度は、”ドリルの回転速度”です。

切り込み量は、切り込みを入れる刃先の長さになります。

送り量は、”ドリル刃一枚あたりの送り量”です。

条件を表にまとめました。
 

切削速度 切削速度(Vc)=ドリル径*3.14*主軸速度/1000
主軸速度 ドリルの回転速度(スピンドル回転数)(rpm)
切り込み量 ドリル刃一枚当たりの送り量

穴あけ加工では工具の材質や素材の材質、工具と素材の取り付け方法、機械の能力によって適切な切削条件が変わるのです。

1ー2.シンニングを行うことで効率UP

シンニングを行うことで切削抵抗を軽減できるため、穴あけ効率があがります。

シンニングとは、ドリルの心厚部に切れ刃を形成する研磨のことです。

シンニングの加工方法はX形、XR形、S形、N形と種類があり、目的によって最適な加工方法が異なります。

以下にシンニング加工の形状と特徴、適した目的について表にまとめました。
 

形状 X形 XR形 S形 N形
特徴 食い付き性を向上させた形で、心厚が大きい場合に有効。 X形に比べやや食い付き性に劣るが切れ刃の強度が高く長寿命。 研削が容易であり、一般的に多い形。 心厚が大きい場合に有効な形。
目的 一般加工、深穴加工 一般加工、ステンレス鋼加工 鋼、鋳鉄、非鉄金属の一般加工 深穴加工

穴あけ加工の種類【種類によって工具など適切に選ぶ必要あり】

穴あけ加工は、目的に合わせて3つの種類があります。

ソリッドドリリング加工、トレパニング加工、カウンターボウリングの3種類です。

以下で、詳細を解説します。

2ー1.ソリッドドリリング加工【浅穴あけ加工で一般的な方法】

ソリッドドリング加工は、浅穴あけ加工で一般的に使われる加工方法です。

浅穴あけ加工とは、ドリル直径の3倍以下の長さで行う加工を指します。

ドリルで切削し、切削された素材はボーリングの中を通って排出されるという仕組みです。

ソリッドドリング加工は、主に未加工の材料に穴をあける際に使われます。

2ー2.トレパニング加工【大きな穴向け】

トレパニング加工は、大きな穴向けの加工方法です。

穴の芯材を残して芯材の周りに穴を掘る加工法なので、少ない動力で深い穴を掘ることができます。

芯材を残す加工方法なので、素材を貫通させる場合に用いられる加工方法です。

2ー3.カウンターボウリング【穴を拡張したいとき向け】

カウンターボウリングは、既に空いている穴に対してドリルをいれて穴を拡張する手法です。

主に仕上がり面の調整や、加工精度が求められる場合に使われます。

穴を開けてから拡張加工するので、いきなり大きな穴をあけるよりも少ない動力で
済むことが特徴です。

穴あけ加工の方法【3STEP】

ここまで、穴あけ加工の種類を紹介しました。

以下では、穴あけ加工の方法をSTEPごとに紹介します。

1つずつみていきましょう。

3ー1.【STEP1】穴をあける・広げる

最初のSTEPは穴をあける・広げる作業です。

加工対象をボール盤に固定して、ドリルで穴あけ加工します。

大きな穴をあける際は、通常小さな穴をあけてから、穴を大きくするカウンターボウリングという手法が一般的です。

3ー2.【STEP2】あけた穴の精度を高める

次の手順は、リーマー加工という穴の精度を高めるSTEPです。

リーマー加工は、ドリルの先にリーマーと呼ばれる精度の高い切削を行うための器具をとりつけて行います。

目の細かい加工器具は繊細なので、切削量が大きい作業は粗いドリルで行い、仕上げを行うイメージです。

なので、拡張の量が少ない場合は、STEP1の拡張作業もかねて精度作業をする場合もあります。

3ー3.【STEP3】メスネジをつくる

最後のSTEPはメスネジ加工になります。

ポール盤では、ネジ切り加工はできませんが、タップというネジ切り用の工具を使うことでメスネジ加工ができるのです。

具体的には、加工したいサイズのタップとハンドルを用意して、下穴にタップをあてこみ、タップハンドルを回してねじ穴を削ります。

加工の際に過度に力を入れ過ぎると、ねじが潰れたり工具が折れてしまうので注意しましょう。

ねじ切りをするときは、切削油などをつかって負荷をなるべくかけずに加工するのがポイントです。

穴あけ加工の注意点とは?

穴あけ加工の手段と実際の加工手順を紹介しました。

しかし、穴あけ加工における注意点について気になる人もいるでしょう。

こちらでは、実際に穴あけ加工をする際の注意点を紹介します。

4ー1.油量と油圧を適切に準備する

穴あけ加工は、切削油量と油圧が重要です。

穴あけでは切りくずが次から次へと生成されます。

切削油で切りくずをなめらかに生成して、切りくずがドリル本体のチャンネルを通りスムーズに排出される必要があるのです。

なめらかな加工を行うための切削油量は、以下の式で算出されます。

作業1分に必要な切削油量=ドリル径(mm)*1リットル

例えば20mmのドリル径で1分作業する場合は、20リットルの切削油が必要です。

事前に必要な切削油量を計算しておきましょう。

4ー2.抵抗力というものを理解する

穴あけ加工をする上で、抵抗力への理解が必要です。

抵抗力とは、金属を加工するとき刃が素材に当たることで、互いが摩擦し合って生じる力になります。

素材と工具の相性や適切な回転速度を把握しないと、道具が必要以上に消耗されてしまうのです。

道具を長持ちさせるためにも、加工する素材と工具、適切な回転速度は事前に調べておきましょう。

4ー3.摩擦による熱変形に注意する

素材を削る際、生じた熱で素材や工具が熱変形を起こすことがあります。

熱変形は素材の面積が大きく、削る速度が速いほど摩擦が激しくなるので生じやすいです。

加工に時間が掛かりそうなときは休憩をしたり、切削油やエンジンオイルを使って工具を冷やすことで温度が上がりすぎないように気をつけましょう。

切削加工では素材や工具の管理、そして室内の温度管理に注意を払う必要があるのです。

穴あけ加工にお困りの際はプロへ相談!

ここまで、穴あけ加工の方法について紹介してきました。

穴あけ加工は目的にあった素材の選定や素材に合わせた工具の選定をしないと、失敗して素材を無駄にするだけでなく、工具を壊してしまうリスクもあります。

知識や設備が豊富な専門業者に依頼することは、失敗するリスクを減らすという意味で有効です。

そこで、実績のあるプロの業者を紹介します。

5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社

5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社

クマガイ特殊鋼株式会社は、創業100年以上の歴史を持つ特殊鋼の専門商社で、穴あけ加工の豊富な実績があります。

特殊鋼専門商社としてトップシェアを誇る、日本製鉄の東海エリア唯一の特殊鋼厚板取扱店に認定されているのです。

鋼盤の取り扱い業者なので、目的に合わせた最適な素材と、手順を相談できるのが強みになります。

特殊鋼板の穴あけ加工を検討している場合は、クマガイ特殊鋼株式会社に問い合わせてみましょう。

まとめ

穴あけ加工について解説しました。

穴あけ加工は、切削工具で金属に穴をあける加工方法です。

素材に合わせて、最適な工具と加工方法を選ぶ必要があります。

素材に合わせた加工の注意点を知らずに行ってしまうと、購入した鋼材が無駄になる恐れもあるのです。

穴あけ加工を行う際は、素材に合わせた加工方法や使用工具の種類を事前に確認しましょう。

もし、自分で穴あけ加工を行うのが困難な場合は、実績多数の専門商社、クマガイ特殊鋼株式会社までお問い合わせください。