無電解めっきとは?電解めっきとの違い

無電解めっきとは、電気を使わずに科学的な力によって、金属イオンを還元させ、皮膜を作る方法です。今回は、無電解めっきの原理、歴史、メリット、デメリット、電解めっきとの違い、また無電解めっきの種類である置換めっきや化学還元めっきについても紹介していきます。

無電解めっきとは?電解めっきとの違いのイメージ

目次

  1. 1無電解めっきとは?
  2. 2無電解めっきの種類
  3. 3無電解めっきのメリット
  4. 4無電解めっきのデメリット
  5. 5無電解めっきと電解めっきの違い
  6. 6まとめ

無電解めっきとは?

電気めっきとは、導体(導通する物)に電気を流して、液中の金属イオンを還元させることで皮膜をつくることをいいます。以前は、そうした電気めっきのように導体のものにしかめっきを施すことができませんでした。

しかし、近年では直流電源を使わずに化学反応のみによって、金属イオンを還元させることができるようになりました。そうした電気を使わずにめっきする方法を無電解めっきといいます。

無電解めっきによって発生するめっき皮膜は、硬さや精密性などが加わることから、近年ではさまざまな分野で使用されています。
 

無電解めっきの原理

電解めっきでは、外部直流電源から供給された電子によって、電極面の金属イオンが還元されて金属を析出します。

これに対して無電解めっきは、ホルムアルデヒドなどの還元剤が触媒表面で酸化する時に放出される電子によって、金属イオンが還元され、皮膜を析出させることができます。

そんなことから、無電解めっきのことを化学めっきともいいます。無電解めっきの代表するものが、ニッケル-リンめっきで、多くの特徴を有していた広範囲の分野で用いられています。

 

無電解めっきの歴史

無電解めっきの始まりは、1930年代にガラスの表面に、銅が成膜するという銀鏡反応を発見したことが、始まりだとされています。

また、1944年にアメリカの国家標準局のブレンナーが大砲の砲身内部へのめっきの開発をしていたところ、偶然に自触媒反応によって無電解ニッケルめっき現象を発見し、1946年にそれを発表しています。

ブレンナーらが開発した無電解Ni-Pめっきは、耐摩耗性、耐食性、非磁性、安定性といった優れた性質を持ち、電気めっきには出来ない膜厚均一性といった特徴があるため、その後世界中に普及するようになりました。

日本では、1957年に無電解ニッケルめっきにおいて、工業化が進みました。

また、「無電解金めっき」という名前でめっき浴が発表されたのが1961年頃で、当初はそれまでに知られていた無電解ニッケルめっきを参考にし、電解金めっき液やそれに近い次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジンなどを還元剤として加えたものが無電解金めっきと呼ばれていました。

しかし、それらは金そのものを下地にしてその上に金めっきを施そうとしても、金は析出せず、ニッケルなどの卑金属を下地にした時にのみ、ある程度の厚さまでめっきが可能でした。

無電解めっきの用途

個性的な皮膜特性の豊富なバリエーションによって、さまざまな分野で活用されている無電解めっきですが、以下の6つの産業での用途について解説します。

①    自動車産業
②    電子工業
③    精密機器工業
④    航空・船舶
⑤    化学工業
⑥    その他
 

自動車産業

耐食性、耐摩耗性、硬さ、焼付き防止などを目的とし、ディスクブレーキ、ピストン、シリンダ、ベアリング、精密歯車、回転軸、カム、各種弁、エンジン内部などに使用されています。

電子工業

耐食性、寸法精度、硬さ、ハンダ付け性、溶接性などを目的とし、接点、、パッケージ、ボルト、ナット、マグネット、ばね、コンピュータ部品、電子部品、抵抗体、ステムなどで使用されています。

精密機器工業

寸法精度、耐食性、硬さ、耐摩耗性、電気特性、非磁性などを目的として、時計部品、カメラ部品、VTR部品、複写機、プリンター、光学機械部品、電顕部品、分析機器部品、電気部品などで使用されています。

航空・船舶

耐食性、耐摩耗性、硬さ、寸法精度などを目的とし、水圧系機器、電気系統部品、弁配管、エンジン、スクリュー部品などで使用されています。

化学工業

耐食性、汚染防止、酸化防止、耐摩耗性などを目的として、輸送管、バルブ類、ポンプ、揺動弁、反応槽、パイプ内部といったものに使用されています。

その他

耐食性、汚染防止、酸化防止、耐摩耗性などの理由で、ハードディスク、冷凍機、冷暖房器、工作機械部品、真空機器、各種金型、繊維機械部品、食器機械といったもので使用されています。

無電解めっきの種類

無電解めっきの種類には、置換めっきと化学還元めっきがありますが、それぞれについて解説します。

①    置換めっき
②    化学還元めっき
 

置換めっき

置換めっきはイオン化傾向が大きい金属において、めっき液の中に溶けることによって、電子を放出して金属イオンになります。

そして、めっき液の中のめっきしたい金属イオンが、その電子を受け取ることで金属として置換析出します。
 

化学還元めっき

化学薬品の中の還元能力を活用して、金属を析出させるめっき方法が化学還元めっきです。化学還元めっきには、非触媒型と自己触媒型がありますが、それぞれについて解説します。

非触媒型

銀鏡反応は、非触媒型に属していて、薬品の還元能力によって金属の析出を進めることになりますが、めっき処理だけでなく槽の内側や治具などにめっきを施しています。

そのような理由から、めっき液は劣化の進行が早くなり、厚いめっきはできないというデメリットがあります。

主にガラスの製造で用いられていて、素地がガラスであるため、金属熔解に伴う電子の放出が起こりませんので化学還元剤を必要とします。

銀とアンモニアの液中に、糖類やホルムアルデヒドを加え、溶液中にガラスを漬けると、反応を起こして電子のやりとりが行われますが、これを銀鏡反応といいます。

めっき反応は被めっき体のガラス表面に特定されず、めっき反応と同時に溶液全体で反応が起き、その反応が終わるとめっき反応も終わるため、めっき厚は限定されます。
 

自己触媒型

自己触媒型は、非触媒型と同じく、化学薬品の還元能力によってめっき金属を析出することができます。

ただ、自己触媒型は、析出しためっき金属が触媒として作用することから、金属の析出はめっき処理品に限られます。

一般的な自己触媒型では、無電解ニッケル一リンめっきと、無電解銅めっきがありますが、めっきできる対象物は金属だけでなく、プラスチックやセラミックなど多くの素材で可能です。

無電解銅めっきの反応は、製品の表面に限定されるという特徴があります。

その理由は、めっきされた金属が、還元剤の酸化反応の触媒となり、めっき金属自体が触媒となるからで、この反応のことを自己触媒反応といいます。

この反応は持続性がありますから、厚いめっきを施すことができます。
 

無電解めっきのメリット

無電解めっきは、直流電源を必要とせず、また金属素材の種類や形状に関係なく、素材をめっき液の中に浸すことで、均一性のある被膜を作ることができるというメリットがあります。

また、プラスチックやセラミックなどの不導体にもめっきすることができ、複雑な形状の部品にもめっきすることができます。

電解めっきでは、アノードとカソードを平行に設置しなければなりませんが、無電解めっきではその必要がありませんから、多角形でも簡単にめっきすることができます。

また、電解めっきの製品に比べ、薬品耐性が高く、また一度に大量の処理が可能であり、めっき治具を作製する必要がないといったメリットがあります。
 

無電解めっきのデメリット

一方、デメリットとしては、析出の速度を上げるためには液中の高温を維持しなくてはなりません。

電解めっきと比べて、めっき液の組成変化が大きく、また必要な添加物も多いことから管理が難しくなります。

電解めっきでは40℃前後の温度でめっきできますが、無電解めっきでは90℃前後にまで温度を上げる必要があり、そのことにより、熱の影響を受けるような素材はめっきできません。

電解めっきに比べると材料費が高く、析出速度が遅いため、コストが高くなります。

また、無電解めっきではめっきできる色の種類が少ないことと、皮膜が薄い場合に耐食性が劣るというデメリットがあります。
 

無電解めっきと電解めっきの違い

めっきには、電解めっきと無電解めっきがありますが、この2種類のめっき方法にはどんな違いがあるのかを紹介します。

電解めっきは、電気を流した時に電気分解が起こり、化学反応によって皮膜を作る方法です。

一方、無電解めっきは、電気は使用せずに薬品によって化学変化を起こさせ皮膜を作るという方法です。

電解めっきは、めっき治具による被めっき物の配置、めっき皮膜が厚いこと、薄くなる部分への補助極の配置などで、多くの工夫や技術が必要になります。

一方無電解めっきは、めっきしたい物質を含ませた水溶液に、被めっき物を浸し、表面で還元反応を起こさせて、めっき皮膜を成長させます。

無電解めっきは電気を使わないため、電気の流れに左右されず、表面に均一的にめっきすることが可能です。ですから、無電解めっきは複雑な形状のものへのめっきに適しています。

また、無電解めっきは、PH調整剤や添加剤など、めっき槽へ投入する薬品と、めっき槽の温度調整だけでめっきしたい物質と、被めっき物が化学反応させる必要があります。

ですから、電解めっきと比べると、無電解めっきの種類は少ないのが特徴です。

 

まとめ

今回は、無電解めっきについてその原理や歴史、素材の種類などをまとめました。また、電解めっきと無電解めっきの違い、無電解めっきのメリットとデメリットも併せて紹介しました。
 

  • 無電解めっきとは、直流電源を使わずに化学反応によって、めっき液中の金属イオンを還元させることができるめっき方法を指します。
  • 無電解めっきの原理とは、溶液中に含まれる還元剤の酸化反応で遊離する電子によって金属イオンを還元し、皮膜を析出させられることです。
  • 無電解めっきの歴史は、1930年代に銀鏡反応によってガラスの表面に、銅が成膜したのを発見したことが始まりだとされています。
  • 無電解めっきは、皮膜特性の豊富なバリエーションによってさまざまな分野で活用されています。
  • 無電解めっきの種類には、置換めっきと化学還元めっきがあります。
  • 無電解めっきのメリットは、直流電源を必要とせず、また金属素材の種類や形状に関係なく、均一性のある被膜を発生させることができます。
  • 電解めっきのデメリットは、析出の速度を上げるために液中の高温を維持しなくてはならないことなどがあります。

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