ロウ付けとは?アルミやステンレスなどの溶接方法・強度・道具・資格を解説

ロウ付けとは、ロウ接の技術のひとつであり、接合部分にろうを流して冷却することで強度の高い接合を得ることができる方法です。ロウ付けの方法やメリット、ロウ付けに必要な資格や、アルミ、ステンレス、真鍮といった素材のロウ付け方法について紹介します。

ロウ付けとは?アルミやステンレスなどの溶接方法・強度・道具・資格を解説のイメージ

目次

  1. 1ロウ付け(ろう付け)とは
  2. 2ろう付けの溶接方法
  3. 3素材ごとのロウ付けとコツ
  4. 4まとめ

ロウ付け(ろう付け)とは

ロウ付けはロウ接技術のひとつで、接合する2つの母材にその母材の融点よりも低い「ろう」を溶かして落とし、毛細管現象を起こさせることによって浸透させ、その後冷却凝固させて接合する方法です。

接合方法には、接着材を使用した接合方法や、ナットとボルトで固定する方法、溶かした金属によって接合する方法など、さまざまあります。

その中でも最古の冶金的接合方法だといわれている「ロウ付け」は、エジプト期の文化遺産の製造にも用いられていますし、奈良の大仏にもこの「ロウ付け」が使われています。

ロウ付けは、このように長い歴史を持っていてさまざまな進歩を遂げ、今でも多くの工業製品の製法に活用されていますし、最近のブームとなっているDIYなどでもよく用いられていることから、より身近な溶接方法として利用されています。

また、ロウ付けは、はんだ付けと同じ技法ですが、はんだ付けのほうはもともと認知度が高く広く知れ渡っていました。

しかし、DIYブームによってロウ付けの加工方法についても広く理解され、ロウ付けは比較的に簡単に取り組めることから、注目度も上がってきています。
 

ロウ付けのメリット

ロウ付けは、母材自体を溶融させることなく、ろう材を接着剤のようにして用いることで母材同士を接合させますから、母材を傷めることがありません。

ロウ付けの強度

ロウ付けは、強い熱によって溶ける「ろう」によって金属同士が強く接合されますから、接合強度の比較では、はんだ付けを上回ります。

ロウ付けが使われているもの

ロウ付けは、同じ金属同士だけでなく、異なった金属同士の接合にも使われる技法ですから、その用途は多種多様であり、小さいものではシルバーアクセサリーやパイプの接合などにも用いられています。

ロウ付けとはんだ付けの違いとは

ロウ付けとはんだ付けは、ともに溶接の一種であり同じ種類のものだと思われがちですが、実際は使用する材料も違うため、その用途や仕上がりに大きな異なりがあります。

文字通りロウ付けは、「ろう」を溶かして溶接する技法であり、はんだ付けは「はんだ」を溶かして溶接する技法です。

また、ロウ付けとはんだ付けの違いは加熱するときの道具に違いがあります。はんだ付けには「はんだごて」を使用し、ロウ付けには「ガスバーナーや工業炉」を使います。
 

ロウ付けに役立つ資格

ロウ付けは、工場などで製品作成のための職業に就く場合には、資格が必要になることがあります。仕事として溶接を行う場合に役立つ資格や講習には以下のようなものがあります。

ガス溶接技能講習

ガス溶接技能講習というのは、資格ではありませんが講習の終了者でなければ溶接業務に従事させないという事業者も少なくありません。

講習の内容は学科と実技で構成され、学科は8時間の講習で試験が1時間、実技が5時間あり、合計14時間という時間割となっていて、修了証はその日に交付されます。
 

ガス溶接作業主任者

この試験の受験資格は特にありません。また、試験は学科のみであり、事業者証明書があれば学科の中のいくつかは免除されます。また、免許申請の際、以下の条件を満たしていることがガス溶接作業主任者の認定条件となっています。

  • 18歳以上
  • ガス溶接技能講習修了者
  • 上記の二つの条件を満たし、且つ実務条件が3年以上あること
また、他にも学歴や専攻過程によって細かい条件があり、それを満たしていなければなりません。

銀ろう付け技能者

銀ろう付け技能者は、扱う材料によって資格の種類も違っていますが、下記のような種類があります。

  • FA-Cu(銅板/薄板)
  • FA-S(炭素鋼板/薄板)
  • FA-SUS(ステンレス鋼板/薄板)
  • PA-Cu(銅管/薄肉管)

また、銀ろう付け技能者の受験資格は、15歳以上の人で、さらに以下のいずれかを満たしている必要があります。
  • ガス溶接技能講習を修了している。
  • 在学中の高校生、または職業訓練で「ガス溶接技能講習」と同等の教育・講習を修了している。
  • ガス溶接作業主任免許を取得している。

ろう付けの溶接方法

ロウ付けによって金属を接合させる場合、ろう材は母材の金属の種類などによって使い分けされています。ろう材には以下のような種類がありますが、それぞれについて解説します。

  • 銀ろう
  • 銅、黄銅
  • りん銅ろう
  • アルミろう

銀ろう

銀ろうとは、「銀」「亜鉛」「銅」が混じったものであり、ろう材としてもっとも多く使われている素材です。母材がアルミやマグネシウム以外であれば、銀ろうによって溶接することができます。

銀ろうは、棒状のものが一般的ですが、板型やペースト型の種類のものもあります。ロウ付けしたときの色は文字どおり銀色であり、DIYで使用する初心者にも使いやすい素材です。
 

銅、黄銅

銅、黄銅は、「銅」と「亜鉛」が混ざったものであり、真鍮の色になるため、銅や真鍮製品などのロウ付けに使用されていますが、鉄と銅といった異種の金属間でのロウ付けにもよく使われる素材です。

りん銅ろう

りん銅ろうは、「銅」と「リン」が混ざった素材であり、リンの含有率は5~8%ほどです。銅管のロウ付けに使用されることが多く、ロウ付けにはフラックスといわれる促進剤を使用します。

しかし、りん銅ろうには還元作用(酸化物を還元する)があるため、単独で使用することも可能です。
 

アルミろう

アルミろうは、融点が低く簡単に溶けてしまうため、難易度の高い素材だといえます。しかし、コツをつかむことで一般の人でも接合することができます。

基本的には、アルミ専用の素材であり、母材がアルミ以外のロウ付けには使用できません。また、技術をマスターすることでDIYにも適応できます。
 

ロウ付けに必要な道具

ロウ付けに必要な道具には、ろうを溶かすためのガスバーナーがあります。ガスバーナーは火勢がありますからロウ付けには多く使用され、家庭用ガス管を使って気軽に使用できる点がメリットといえます。

また、ロウ付けに必要な道具は、ガスバーナーの他に耐熱レンガやセラミックボードがあります。ガスバーナーを使用してロウ付けする場合、通常のレンガだと高熱によって割れてしまうことがあります。

特に小さいものの加熱には、セラミックボードや耐熱レンガの上に置いてから作業を行います。その際、ガスバーナーなどの火勢が周囲に広がらないように小さな囲いを設けることが望ましいです。

手順①母材を固定する

ロウ付けをする際、まずは母材が動かないようにするため、しっかりと固定します。小さい母材ならペンチやプライヤーに母材を挟んで作業するといった方法もあります。

ただ、母材の固定がしっかりしていないと、ロウ付けの位置が定まらないといったデメリットもあります。
 

手順②サンドペーパーをかける

母材の表面にサビや油がついていると失敗することもありますから、ロウ付けする前に表面をサンドペーパーでならしておきます。

手順③フラックス添加

サンドペーパーで母材の接合面をならしたあと、フラックス(ヤニ)を添加します。フラックスは多すぎるとろうが流れてしまいますが、少なすぎるとろうが流れません。

ですから、適度な「ぬれ」を得るためには、フラックスをやや多めに添加するようにします。
 

手順④ロウ棒を差し込む

母材の接合面に添加したフラックスが溶けて加熱状態が整ったところで、ろう棒を差し込みます。ろうを流し込んだらガスバーナーでさらに重点的に、接合部分にろう材を広げます。

手順⑤フラックスを除去する

④までの工程が終わったら、母材が冷めないうちにフラックスを取り除いて作業は終了です。

素材ごとのロウ付けとコツ

ロウ付けの素材には、アルミやステンレス、真鍮といったものがありますが、それぞれのロウ付け方法について紹介します。

アルミのロウ付け

アルミのロウ付けは、簡単な作業とはいえず熟練した高度な技術が必要になりますが、アルミのロウ付けをマスターすることで優れた強度のある溶接が行えるようになります。また、アルミ溶接を習得することで幅広い趣味に応用できます。

アルミのロウ付けは、もろいように見えても一つのアルミ素材のような強度を得ることができます。また、接合部分の隙間にろう材を流し込む方法ですから、必然的に気密性も向上します。

ただ、アルミをロウ付けするときに一定の条件を満たしていなければなりません。たとえば、溶接部分の素材を溶かさないで接合でき、ろう材の温度が450℃を超える温度にすることができるという条件が必要です。

この条件を満たさないと、強度が極端に低くなってしまい、見た目には溶接できたように感じても、強度が足りないために弱い力でも折れが発生する可能性があります。

それらを踏まえて、アルミのロウ付けのコツを以下に紹介します。アルミのロウ付けは、基本的には半田コテを使うのと同じ感覚です。

半田コテを使ったことがある人だと、何度か行うことでコツがつかめてきます。アルミのロウ付けの重要なコツは、適当なろうの量と温度とタイミングです。ろうは多すぎても少なすぎてもよくありません。

大切なのは、加熱温度を変えずに、ろうの量やタイミングをつかむために経験を重ねることです。一定の温度で練習できる環境において、コツをつかみながら上達していきます。

慣れないうちは、ロウ付けしやすいと思って高温に設定しまいがちですが、高温に設定すると、母材が溶けてしまうという失敗の恐れがあります。

大切な母材を溶かしてしまわないように、慣れるまでは捨ててもよい材料で練習するようにします。時間がかかっても、適当な温度を把握することでアルミのロウ付けのコツがつかめるようになります。
 

ステンレスのロウ付け

ステンレスのロウ付けも、アルミのロウ付け同様に簡単な作業ではありませんが、ろうの量や温度設定をしっかり把握してコツをつかむことでスムーズに溶接できるようになります。

ステンレスのロウ付けは、まず接合する断面をペーパーでならし、クリーナーなどで洗浄します。

次に断面やその周辺にフラックス(ヤニ)を添付していきます。断面だけでなくその周辺にもフレックスをつけることで、ろうが流れやすくなります。

ガスバーナーで接合面を加熱すると、フラックスが茶色に変色してきますから、直後にろうを流し込んでいきます。この辺は最初はタイミングが難しく、なかなかうまくいきませんが、何度となく練習することでコツがつかめるようになります。

最後に、フラックスを洗い流します。フラックスは強酸性ですからそのまま放置すると錆の発生の原因となります。
 

真鍮のロウ付け

真鍮のロウ付けは、溶接加工を専門にしている業者でも断られるケースもあるほどで、素人ではかなり難しいと言われています。

真鍮の溶接には、抵抗溶接、ロウ付け接合、TIG溶接といった3つの種類があります。ロウ付け溶接は、ガスバーナーなどで素材を加熱し、加熱された場所にろう材を流しこんで冷却することで接合する方法です。

真鍮と銀ろうなどのろう材はとても相性が良く、他の溶接方法では難しい接合ではこのロウ付けがよく使われます。
 

まとめ

今回は、ロウ付けとはどんな接合技術なのか、その方法やメリット、ロウ付けに必要な資格などを紹介しました。

  • ロウ付けはロウ接の技術のひとつで、接合する2つの母材に、その母材の融点よりも低い「ろう」を溶かして浸透させ、その後冷却凝固させて接合する方法です。
  • ロウ付けは、母材自体は溶融させることなく母材同士を接合させる技法ですから、母材を傷めることなく接合できるというメリットがあります。
  • ロウ付けとはんだ付けの違いは、文字通りロウ付けは、「ろう」を溶かして溶接するものであり、はんだ付けは「はんだ」を溶かして溶接します。
  • 仕事として溶接を行う場合に役立つ資格や講習には、ガス溶接技能講習、ガス溶接作業主任者、銀ろう付け技能者といったものがあります。
  • ロウ付けによって接合させるろうには、銀ろう、銅、黄銅、りん銅ろう、アルミろうなどの種類があります。

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