詳解!ダイカスト鋳造とは?【寸法精度・表面の仕上がり・大量生産】

ダイカスト鋳造とは、アルミニウムやアルミ合金などの金属を圧力をかけて固める鋳造方法です。寸法精度の高い製品加工の一方で、金型の製造コストが高いため小ロットの製造には向かない特徴もあります。本記事では、ダイカスト鋳造の特徴や注意点、他鋳造方法との比較を紹介します。

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ダイカスト鋳造についてお調べでしょうか。

ダイカスト鋳造とは、アルミニウムやアルミ合金などの金属を圧力をかけて固める鋳造方法です。

圧力をかけるので、寸法精度の高い製品加工ができます。

一方で、金型の製造コストが高いため試作品段階など、小ロットの製造には向きません。

適切な鋳造方法を検討しなければ、回避できる不要なコストが増えるリスクがあります。

そこで本記事では、ダイカスト鋳造の特徴や注意点、他の鋳造方法との比較を紹介しました。

この記事を読むことで、適切な鋳造方法を選ぶことができるようになります。

ダイカスト鋳造の特徴を理解して精度の高い器物を製造しましょう。

鋳造方法!ダイカスト鋳造とは?

ダイカスト鋳造は、金型に圧力をかけて溶かした金属を注入し、成形する加工です。

圧力をかけて注入するので、ムラなく寸法精度の高い製品を作ることができます。

また、複雑な形状の金型も製作可能なので、自動車部品から日用品まで幅広い鋳造が可能です。

ここからはダイカスト鋳造の特徴について紹介します。

特徴を理解して、自分の目的に適した方法か検討しましょう。

寸法精度と生産性を兼ね備えた鋳造方法

ダイカスト鋳造は、寸法精度と生産性を兼ね備えた鋳造方法です。

耐久性のある金型に溶融金属を注入し、圧力を加えることで成形する鋳造方法になります。

金型に、ハンマーやプレス機などで高い圧力を掛けて流入して加工するので、鋳肌が平滑で高い寸法精度が特徴です。

金型を繰り返し使えるので、生産性が高いという利点もあります。

ダイカスト鋳造は、大量に精度の高い製品を作る事が可能な製造方法です。

ダイカスト製品の実例【自動車部品から日用品まで幅広く】

ダイカスト鋳造は優れた寸法精度の製品を短時間に大量生産できることから、自動車関連部品への活用が多いです。

ダイカスト鋳造ではアルミ合金・亜鉛合金・マグネシウム合金などJISに指定された金属が使用できます。

自動車へアルミニウムの部品を使用する流れが拡大していることから、これまで板金部品が大半であった車体へのダイカスト部品が使われることが多いです。

また、マグネシウム合金も使用できるので、パソコンや携帯など日用品の外装製作にも用いられています。

このように、ダイカスト鋳造は自車部品から日用品まで幅広い用途に使われる鋳造法です。

ダイカスト鋳造の一連の流れをわかりやすく解説

ダイカスト鋳造は以下の4つの工程で加工されます。
 

  • 金型設計・製造
  • 溶融金属を金型に圧入
  • 冷却と整形
  • 後工程

以下で、詳細を見ていきましょう。

STEP1:金型を設計・製造する

ダイカスト鋳造は、まず金型設計と製造を行います。

金型は2枚に分割されたものを合わせて使いますが、分割面にズレが生じると品質が落ちます。
なので、ズレが生じない平面である構造でなければなりません。

STEP2:溶融金属を金型に圧入する

続いての工程は、溶融金属を金型へ圧入する作業です。

溶解する際に水分がついていると水蒸気爆発の危険もあるので、十分に予熱・乾燥するよう注意してください。

圧入の際にも、金型に残った鋳バリや離型剤の残りかすがあると品質に影響するため、ブラシやエアブローでの清掃が必要です。

STEP3:冷却して整形した部品の取り出し

圧入の後は、部品を冷却・整形して金型から取り出します。

取り出し装置やロボットなどで金型からダイカストを取り出しましょう。

STEP4:バリ取り・検査

部品を取り出し、後工程としてバリ取りと検査を行います。

ロボットでバリ取りをした後に、非接触三次元測定器などを使って、高精度な寸法欠陥検査を実施。

検査に通れば製品は完成になります。

ダイカスト鋳造は加工精度が高いので、他の製造方法で発生する研磨や調整工程が不要です。

知っておこう!ダイカスト鋳造の利点

ここまで、ダイカスト鋳造の概要と工程について見てきました。

ここからは、自動車部品から日用品まで幅広く使われる、ダイカスト鋳造の利点を紹介します。
 

  • 鋳造の精度が高い
  • 入子や中子を用いた複雑な形状の鋳造が可能
  • 表面の仕上がりが綺麗

それぞれみていきましょう。

鋳造の精度が高い

ダイカスト鋳造は精度が高いというメリットがあります。

強度のある金型に溶融金属を圧入して製作するので、型に対して寸法のズレが少なく精度の高い鋳造が可能です。

例えば、金型を用いる鋳造でも圧入でなければ金型へ溶融金属の充填が不十分となる場合もあります。

圧入の割合や溶融に適した金属温度や金型自体の精度は影響しますが、鋳造の構造上高い寸法精度を築きやすい鋳造方法です。

入子や中子を用いた複雑な形状の鋳造が可能

ダイカスト鋳造は入子や中子を用いた複雑な形状の鋳造が可能です。

入れ子は溶融金属が直接触れる金型で、中子は金型の中に入れる金型になります。

金型に中子を入れて溶融金属を注入することで、複雑な形の空洞をもった部品も製作可能です。

中子を用いた設計による汎用性の高さはダイカスト鋳造の利点になります。

表面の仕上がりが綺麗

ダイカスト鋳造は表面の仕上がりが綺麗です。

表面を清掃した金型に圧力を掛けて金属を圧入するので、部品が綺麗に仕上がります。

通常であればバリ取りや研磨などの仕上げ作業が必要ですが、そのままでも使用できるほど仕上がりが綺麗です。

ダイカスト鋳造の注意点

高い寸法精度を誇るダイカスト鋳造ですが注意点もあります。

圧力を加えるため強度が低くなりやすく、金型が高コストなので小ロット生産向きできないのです。

以下で注意点の詳細を紹介します。

圧力を加えるため強度が低くなりやすい

ダイカスト鋳造は圧力を加えるため、強度が低くなりやすいという注意点があります。

溶けた金属を金型に流し込む際に、周囲の空気や蒸発した離型剤が製品に取り込まれるため、鋳巣と呼ばれる小さな気泡が内部に生じるからです。

また、圧力を加える際のガスも比重に含まれるので密度は下がってしまいます。

なので、強度を必要とする製品や部品作りには向かない傾向があるのです。

金型が高コストなので小ロット生産向きでない

ダイカストに必要な金型は、高コストなので小ロット生産向きではありません。

鋳造に不可欠な金型の素材が高価です。

製作する構造や金属素材によりまちまちですが、10万から場合によっては100万単位の価格になります。

大量生産に向くダイカストですが、少量ではコストに見合わないのです。

ダイカスト鋳造とその他の鋳造方法を徹底比較

ダイカスト鋳造以外の鋳造方法にも、それぞれに特徴があります。

特徴に合わない製作方法をとると、不要なコストが掛かってしまうことも。

品質と価格を両立させるために、鋳造方法は目的に合せて最適な方法を選ぶ必要があります。

一般的な鋳造方法は下記の3つです。
 

  • 砂型鋳造
  • 金型鋳造
  • ロストワックス

それぞれの鋳造方法との比較を見ていきましょう。

砂型鋳造との比較

砂型鋳造は、砂でつくった鋳型に溶融金属を流し込む製造法です。

金型は砂を用いて作るため安価で、ダイカスト鋳造と比較して小ロットの製作に向いています。

また、ダイカストには使えない融点の高い鉄や銅などを使えるのも利点です。

一方で、砂型なのでダイカスト鋳造のような高い寸法精度を実現できません。

制作物が小ロットかつ寸法精度が求められない場合には、砂型鋳造が適しています。

金型鋳造との比較

金型鋳造は、金型に溶融金属を重力で流し込む製造法です。

ダイカスト鋳造と同じ金型式ですが、圧力をかけないのが特徴になります。

ダイカスト鋳造と比較して構造が簡単なので、製造コストが安いです。

しかし、重力に依存して流入を行うため溶融金属が湯漏れしやすく、肉厚の薄いものには適していません。

圧力を加えないので空気の混入が少なく、強度が求められる製造に向いた鋳造方法です。

ロストワックスとの比較

ロストワックス鋳造は、ワックスで作った原型の周りにセラミックの型を固着して型を作る鋳造方法です。

ダイカスト鋳造と比較すると、原型から型を作れるので複雑な形状に対応しやすく、高融点の金属を使えるのが最大の利点になります。

一方で、型を毎回破壊して製作を行うのでランニングコストが高いです。

ダイカスト鋳造と比較すると、製品の素材が高融点の金属である場合にロストワックス鋳造を選択するのが適しています。

鋳造方法にお困りの人はプロに相談

鋳造方法に自信がない人は、プロへの依頼も検討しましょう。

プロである鋳造の専門業者であれば、経験豊富な技術を元に精度の高い加工対応が可能です。

クマガイ特殊鋼株式会社【図面があればどんな加工にも対応】

クマガイ特殊鋼株式会社【図面があればどんな加工にも対応】

クマガイ特殊鋼株式会社は100年以上の歴史があり、鋳造に対する経験や知識も豊富です。

幅広い知識を元に、図面があればどんな加工にも対応できます。

目的にあった素材や鋳造方法の選定や、加工精度に自信がない場合はクマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。

まとめ

ダイカスト鋳造は、”寸法精度が高い”、”金型の再利用による生産性の高さ”、”入れ子と中子の組み合わせで複雑な構造を再現可能”といった特徴をもつ鋳造方法です。

一方で、金型の製造コストが高いため、試作品段階など小ロットの製造には向きません。

鋳造方法には、砂型・金型・ロストワックスなど他の種類もあります。

それぞれに利点と弱点がありますので、用途に合せた鋳造方法の選択が必要です。

ダイカスト鋳造におけるメリット・デメリットを理解した上で、目的に合わせた最適な鋳造方法を選択しましょう。

もし、鋳造を用いた加工にお困りの場合は、実績多数の専門商社であるクマガイ特殊鋼株式会社までお問い合わせください。

最適な鋳造方法を選択して、あなたのニーズに合った製品を製造致します。