【COR-TEN】サビをサビで防ぐ!?耐候性に優れた鋼材
サビをサビで防ぎ美的効果も期待できる、日本製鉄株式会社のCOR-TENという鋼材について、わかりやすく解説しています。特徴から価格、適用事例まで網羅的に紹介。この記事を読むことで、COR-TENの特徴がわかり、どの部品に使うのが適切か判断できる様になります。
目次
COR-TENの特徴を調べていますね?
鉄にサビが発生すると脆くなり、色が変色して汚くボロボロに見えてしまいます。
「サビを防ぎつつ、見た目や強度も保てる素材を探している。」
「高価ではなく、購入しやすい鋼を探している。」
そんな中注目されているのが、サビをサビで防ぐというCOR-TENです。
今回はそんなCOR-TENについて、特徴から注意点、価格まで詳しく紹介していきます。
この記事を読み終えればCOR-TENの特徴がわかり、どの部品に使うのが適切か判断できる様になりますよ。
ぜひ参考にしてくださいね。
COR-TENとは
COR-TENとは、鋼の最大の弱点であるサビをサビで防ぐという鋼の一種です。
耐候性に優れているため、無塗装の゙使用が可能になります。
また、塗装塗替え等の維持回数が少なく済むため、管理コストを軽減することも可能です。
サビ自体の落ち着いた色調(”さ美®”)による美的効果も期待することができます。
コストを抑えつつもサビを防ぎ、見た目の美しさを期待できるのかCOR-TENなのです。
1ー1.色調に配慮したVINCOR
VINCORは、 千曲鋼材(株)(TEL 047-354-5721)が製造・販売する製品です。
お客様への出荷の時点で、経年変化した状態とすることで、初期段階の色調に配慮したCOR-TENになります。
- VINCORは色彩と相関
- が高い指数を用いて、色合いを数値化し再現します。
そして色合いの数値化をすることで、出荷時の色合い選択を可能にするのです。
1ー2.鋳物製品CORQ
CORQは、岡山鋳物センター(TEL 086-277-5588)が製造・販売する製品です。
COR-TENのサビでサビを防ぐ特徴を受け継ぐ鋳物製品になります。
主に、床材として使用されているのです。
COR-TENの特徴
COR-TENの特徴は3つあります。
- サビをサビそのもので防ぐ
- 権利コストが少ない
- 普通鋼と同様の塗装/溶接/加工性を持ち合わせる
以下で詳しく説明していきます。
2ー1.サビをサビそのもので防ぐ
COR-TENは、サビをサビそのもので防ぐという特徴を持っています。
普通鋼と同様、サビが表面に発生しますが、添加する合金の働きによって、できたサビは時間とともに保護性の高いサビに変化します。
サビが保護性を持っていることにより、材料本体へサビの侵入を抑えることが可能です。
上記の特性により、通常の鋼に比べ4〜8倍の耐久性を持っており、無塗装でも長期的に使うことが可能になります。
なので、COR-TENはサビをサビで防げるのです。
2ー2.管理コストが少ない
COR-TENは管理コストが少ないです。
通常の鋼に比べ4〜8倍の耐久性を持っているので、管理頻度を少なくすることができます。
長期的に使用できるのが、管理コストを下げられる理由です。
2ー3.普通鋼と同様の塗装・溶接・加工性を持ち合わせる
COR-TENは、普通鋼と同様の塗装・溶接・加工性を持ち合わせています。
普通鋼と同様の工程で済むので、COR-TENだからと言って特別なスキルが必要なわけではないのです。
なので、鋼を検討しているけどCOR-TENは利用したことがないから不安という心配をする必要性はありません。
普通鋼と同様の作用を持ち合わせている上、管理コストも下げられるのは嬉しいですよね。
COR-TENの価格
ここまで、COR-TENの特徴など基本的な情報についてみてきました。
しかし、「便利な特徴があるのはわかったけど、価格が気になる」という人もいると思います。
以下でCOR-TENの価格をみていきましょう。質の良さや長期的な目で見た時にお得なのです。
2つの販売例を紹介します。
COR-TEN鋼 | 価格 |
1.2mm×900mm×2,040mm=2枚 | 64,800円/2枚セット |
1.2mm×1,200mm×1,800mm=3枚 | 97,200円/3枚セット |
上記は参考価格ですので、詳細な見積もりが必要な人はメーカーに問い合わせてみてくださいね。
COR-TENの注意点
ここまで、COR-TENの値段や特徴、価格について述べてきました。
しかし、「使ってみたいけど、注意点も知っておきたい」という人もいると思います。
ここではCOR-TENの注意点について述べていきますね。
COR-TENの注意点は4つです。
- 層上剥離サビを発生させないようにする
- 海岸地区ではわずかに浸食が進む
- 保護性サビを発生させるには乾湿の繰り返しが必要
- 溶接時の温度は800度以下に保つ
以下で詳しく説明します。
4ー1.層上剥離サビを発生させないようにする
COR-TENを利用する際には、層上剥離サビを発生させないようにしましょう。
層上剥離は保護性を持たないサビで、できてしまうと本体がもろくなってしまいます。
構造上では、漏水を防ぎ通風性をよくするなどの注意が必要です。
なので、層上剥離は発生させないようにしましょう。
4ー2.海岸地区ではわずかに浸食が進む
COR-TENは海岸地区ではわずかに浸食が進んでしまいます。
海岸地域は海風により塩分が含まれていますよね。
塩分の影響を受けると、保護性の高いサビを作ることができず、わずかに侵食が進んでしまいます。
4ー3.保護性サビを発生させるには乾湿の繰り返しが必要
耐候性鋼が保護性サビを発生させるには、大気中で乾湿の繰り返しが必要です。
水中・土中で、常時鋼表面が湿潤状態にある場合には、保護性サビは生成されないのです。
保護性サビが生産されないと、COR-TENの特徴を十分活かすことができなくなってしまいます。
環境の影響は鋼材を素地のまま曝露すると明瞭に現れるので、耐候性鋼を使用する場合は鋼材の選択とともに、用途、使用場所の選択にも十分注意しましょう。
4ー4.溶接時の温度は800度以下に保つ
溶接時の温度は800度以下に保ちましょう。
加熱温度が約800°Cをこえて高温になると、材料の強度や表面硬度が上昇してしまい、靭性が減少するので、温度管理に注意しましょう。
普通鋼と同様に加熱して、ひずみ取りを行えば材質の劣化はありません。
COR-TENの適用事例
上記ではCOR-TENの注意点について述べました。
次に、COR-TENの適用事例を3つ紹介します。
- 北海道百年記念塔
- 第二保津川橋梁
- 泊大橋
以下で述べていきますね。
5ー1.無塗装仕様(裸仕様)
北海道百年記念塔は、裸仕様でCOR-TENを使用しています。
裸仕様とは、耐候性鋼を素地のまま使用する方法です。
裸仕様だと、経済的であるばかりではなく、COR-TENにつく保護性のサビの色調や、経年変化でより美しくなります。
上記の特性を生かし、北海道百年記念塔のようなモニュメントにも使用されているのです
5ー2.無塗装仕様(サビ安定化補助処理仕様)
第二保津川橋梁は、COR-TENをサビ安定化補助処理仕様で使用しています。
上記で述べた裸仕様は、表面にサビ層が積層されるまで2年ほどかかり、その間黄色がかった初期のサビによる景観性の問題や、流れサビの問題があるのです。
この問題を解決するために開発されたのがサビ安定化補助処理仕様です。
サビ安定化補助処理をすることで、今後サビに置き換わることを前提に、サビに近い色調を実現することができるのです。
5ー3.塗装仕様
泊大橋(沖縄)はCOR-TENを塗装仕様で使用しています。
COR-TENを塗装すると、塗膜の疵やピンホールから素地の腐食が始まっても、サビをサビで防いでくれるため、サビの進行が遅いです。
ふくれや剥離が少ないため、再塗装の回数を減らすことが可能になります。
上記の特徴を活かして、建築物・海上コンテナ・タンク・産業機械・橋梁など鉄のあらゆる分野において使用されているのです。