バレル加工とは?利点・事例・注意点を分かりやすく解説!

バレル加工とは、相対摩擦による摩耗加工です。本記事では、バレル加工の仕組みや、利点、注意点について解説します。本記事を読めば、バレル加工とは何かを理解することができ、失敗しないための注意点も理解することが可能です。

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バレル加工についてお調べでしょうか?

バレル加工とは、加工対象と砥石と研削助剤の相互摩擦による研磨法です。

洗濯機のような機械の中で加工が行われるため、複数の製品を同時に加工できるほか、他の研磨方法では加工が難しい複雑な形状でも加工が可能という利点があります。

一方で、相互摩擦し合うものの選定方法を誤ると、思ったように研磨できず、同時に加工したもの全てがボツになるという注意点も。

そこで本記事では、バレル加工について利点から加工事例、注意点まで解説します。

本記事を読むことで、バレル加工をするときに必要な知識がひと通り理解可能です。

バレル加工の知識をつけて、最高の製品を製作しましょう!

バレル加工とは?【相対摩擦による研磨加工】

まずは、バレル加工がどんな技術なのかを見ていきましょう。

どんな技術なのかを理解することで、あらゆる研磨方法の中から選定する際に、根拠を持って決断することができるようになります。

バレル加工とは、タンク型機械の中で加工対象と砥石を相互摩擦させることで研磨を行う加工です。

より詳しく、下記3つの点から見ていきましょう。

  • 製品の仕上げ工程で用いられる研磨加工
  • バレル加工の仕組み【洗濯機のイメージ】
  • バレル加工の種類とそれぞれの特徴

以下で詳しく述べていきます。

1ー1.製品の仕上げ工程で用いられる研磨加工

バレル加工は、製品の仕上げ工程で用いられる研磨加工です。

バリ取りやR取り、平滑仕上げ、光沢仕上げといった、製品の仕上げ工程で使われることが多い研磨方法になります。

1ー2.バレル加工の仕組み【洗濯機のイメージ】

バレル加工の仕組みは洗濯機をイメージすると分かりやすいです。

バレルと呼ばれるタンク型機械の中に、加工対象・砥石・研削助剤・水が入れられ、それらの相互摩擦により加工対象が研磨されるという仕組みになります。

タンク型機械が動くことにより、機械の中で加工対象と砥石がぶつかり合い、徐々に研磨されていくということです。

1ー3.バレル加工の種類とそれぞれの特徴

バレル加工は、その回転方法によって大きく4種類に分けることができます。

それぞれの回転方法と、特徴を下記表にまとめました。

種類特徴利点欠点
流動式底部を洗濯機のように回転させることによりタンクの壁側に流動部分を作り出して研磨を行う。加工時間が短く、完全自動化も可能。少量の加工も可能。微小・長尺な加工対象には不向き。
回転式タンク自身を回転させることにより、中心部に位置するすべり層で研磨を行う。低価格で機械の故障が少ない。また、構造も単純でメンテナンスが容易。加工時間が長く、一度に加工できる量も少ない。
振動式振動によって加工対象と砥石が相互に摩擦運動する。一度に大量の加工が可能。長尺・大型の加工も可能。小さい加工対象には不向き。
遠心式4つのタンク型機械が、公転・自転を組み合わせた高速回転を行う。遠心力による高圧を加えて研磨する。加工時間が短い。多種少量の研磨加工に最適。研磨力がもっとも強力で、粗研削から精密仕上げまで可能。加工対象が変形したり、打痕が発生することがある。一度に加工できる量が少ない。

加工時の条件に合わせて、最適な種類のバレル加工を行えるようにしましょう。

バレル加工の利点を押さえよう!

ここまで、バレル加工がどんな技術なのかについて見てきました。

次に、バレル加工の利点について紹介します。

利点を押さえることで、バレル加工の特徴を最大限に活かすことが可能です。

利点は以下の3点になります。

  • 複数の製品を同時に研磨できるので効率が良い
  • 機械で加工が行われるので作業者の腕に品質が左右されない
  • 段付き面など他の研磨方法で研磨しにくい場所も加工可能

それぞれ見ていきましょう。

2ー1.作業効率が良い

バレル加工では複数の製品を同時に研磨できるので、効率が良いです。

タンク型機械の中で研磨が行われるため、例えばラップ加工のように一つ一つしか作業を行えないという制約がないのです。

例えば、人手で研磨を行うと大変である小さな加工対象などには適した研磨方法になります。

バレル加工を採用することにより、研磨加工にかかる時間を大幅に短縮することが可能です。

2ー2.作業者の腕に品質が左右されない

バレル加工は機械で加工が行われるため、作業者の腕に品質が左右されないという利点もあります。

装置の操作や経過チェックの必要はありますが、研磨作業自体は機械が行ってくれるのです。

高精度の研磨加工が必要だが、研磨に熟練した作業者がいない場合にはバレル加工を候補のひとつとして検討しましょう。

2ー3.段付き面など他の研磨方法で研磨しにくい場所も加工可能

バレル加工は、段附面など他の方法では研磨しにくい複雑な形状も研磨することが可能です。

タンク型機械の中で動かして相互摩擦により研磨していくので、砥石のサイズを変えることによって、他の研磨方法ではなかなか作業が困難な箇所も容易かつ効率的に実現できます。

バレル加工の事例【バリ取りに強い加工方法】

ここまで、バレル加工の利点を紹介しました。

次に、バレル加工の事例を見ていきます。

加工事例を知ることで、バレル加工にあった工作物を理解することができ、適切に用いることが可能です。

それでは見ていきましょう。

3ー1.ダイカスト品のバリ取り

バレル加工がもっともよく使われる場面はバリ取りです。

製品によって、回転式にするか振動式にするか、砥石は何を使うかなどの選定は必要ですが、鉄やステンレスなどほとんどの鋼製品のバリ取りが可能です。

3ー2.鋳物の表面仕上げ

バレル加工は鋳物の表面仕上げの事例もあります。

タンク型機械の中で相互摩擦により研磨加工を行うので、形状が複雑な鋳物にも適用が可能なのです。

気をつけて!バレル加工の注意点

ここまで、バレル加工の利点や事例について紹介してきました。

バレル加工は、熟練した作業者が不要で複雑な形状にも対応可能ですが、注意点もあります。

注意点をしっかり理解することで、失敗の数を減らすことが可能です。

バレル加工の注意点は下記2つになります。

  • メディアやコンパウンドなど事前の条件選定が重要
  • 加工に失敗した場合は複数の製品全てがボツになる

以下で詳しく見ていきましょう。

4ー1.メディアやコンパウンドなど事前の条件選定が重要

バレル加工では、砥石や研削助剤、回転方式など事前の条件選定が重要になります。

作業に熟練が不要なバレル加工ですが、適切な条件選定により初めて理想通りの研磨が実現できるのです。

砥石、研削助剤、それぞれ下記表のような特徴があるので、目的に応じて適した条件選定をしましょう。
 

条件説明
砥石角ばった砥石は丸みを帯びた砥石に比べて積極的に研磨を行う。重く大きい砥石は丸みを帯びた形状を、軽く小さい砥石は平滑表面を生み出す。
研削助剤液体コンパウンドを利用するのが最近の主流。粉末コンパウンドは砥石の洗浄など特別な用途に利用される。加工対象と砥石を清浄に保つ役割がある。

4ー2.加工に失敗した場合は複数の製品全てがボツになる

バレル加工は、加工に失敗した場合は複数の製品全てが商品化できなくなる恐れがあるという注意点があります。

タンク型機械に複数入れて加工が可能な反面、前述した条件選定を誤ると、そのときに入れたロットのほぼ全てがボツになってしまうのです。

砥石や研削助剤の条件設定を慎重に行うことを前提に、まずは少量でうまくいくかをテストしてから大量ロットの研磨加工を行うなど、リスクへの対策をしましょう。

バレル加工にお困りの場合は鋼の専門商社へ相談もアリ!

もしもバレル加工についてお悩みの場合は、プロへの相談も検討しましょう。

作業に熟練が不要で複雑な形状にも対応可能と、利点が多い研磨方法ですが、事前の条件選定が成果物に直に影響するため、知識と経験が必要な面もあります。

精度の高い製品にするためにも、不安な場合は実績と技術のある会社への相談がおすすめです。

5ー1.クマガイ特殊鋼株式会社

クマガイ特殊鋼株式会社は、バレル加工をはじめとする様々な鋼材加工もおこなっている鋼材専門の商社なので、製品完成までを考慮したニーズに適した提案が可能です。

クマガイ特殊鋼株式会社は創業100年を超える歴史を持っており、バレル加工に対する高い技術を保有しています。

より質の高い製品を生産するためにバレル加工を導入したいという場合には、クマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。

まとめ

バレル加工は、タンク型機械の中で加工対象と砥石の相互摩擦によって研磨される加工です。

複数の加工対象を同時に研磨できることや、複雑な形状も対応可能などの利点がありました。

一方、砥石・研削助剤・回転方式など、事前の条件設定が重要なことは注意点として覚えておきましょう。

事前の条件設定を誤ってしまうと、その時にロット単位で加工した全てのものが商品化できないという事態にもなります。

もしもバレル加工について不安があれば、ぜひクマガイ特殊鋼株式会社に一度ご相談ください。

鋼のプロとしてきめ細かいサポートを約束します。