製缶とは?意味や溶接などの加工方法を解説

製缶って何のこと?そんな疑問が頭に浮かんだのであればこの記事がすべて解決してくれます。製缶の意味や溶接、製缶加工一連の流れについて解説します。製缶加工は金属加工の技術が網羅的、かつ高度な技術力が必要です。製缶加工を依頼するべき会社の選び方も紹介します。

製缶とは?意味や溶接などの加工方法を解説のイメージ

目次

  1. 1製缶の意味とは
  2. 2溶接など製缶加工の流れ
  3. 3製缶の溶接加工などを依頼する会社の選び方
  4. 4まとめ

製缶の意味とは

製缶加工における鉄骨

製缶とは金属板を加工し、立体的な容器や鉄骨部品などを形成する事を意味します。

金属板で立体形状?と思う方もいるかもしれません。しかし、あらゆる場面で製缶技術は使われています。

その製品例として挙げられるのは、鉄骨部品、タンク、クレーン(ボックスガーダ等)、圧力容器、船の部品であり、これらを製造するために使われる技術です。通常の板金加工と比べ、より複雑な形状を作り上げる事も可能となります。

製缶には優れた溶接技術が必要

製缶加工の精度は、溶接技術者の技量に大きく左右されます。

なぜなら、素材や製品に応じた溶接を行い、製缶加工品がその機能を十分に発揮できるのかは溶接技術の高さに依存するからです。

製缶加工における代表的な製品例である「タンク」で考えてみましょう。

タンクは水や薬品などを保管する容器です。そこから液体が漏れ出しては話になりません。経験の浅い溶接工が対応した場合、十分な気密性を確保する事は困難です。それほど、溶接技術は難しいのです。同じ製品を大量生産、といった事はほとんどないので、毎回違う製品を製造していると考えてよいでしょう。その為、長年の経験と培ってきた技術力が必要となるのが製缶加工なのです。

製缶と板金加工の違い

製缶と板金加工、一番の違いは「扱う金属板の厚み」です。

鈑金加工は1㎜~7㎜程度の比較的薄い鋼板を使用する事が一般的です。鈑金加工の方法にはプレス加工、精密板金金型、手加工がありますが、代表的なものは鈑金金型を用いた加工法です。

金型は同じ製品を大量生産する事が可能であり、厚みの薄い鋼板材(コイル材)を使用する事が多いです。切断、曲げ、絞り加工など、金型技術も日々進歩しているので、精密で複雑な形状の製品に対応する事も可能です。強度の向上とコストの削減に大きな効果が見込める加工方法となります。

板金加工は精密で小型の大量生産品が多い。一方、製缶加工は強度、気密性など高い信頼性が必要とされる構造物に使われます。

製缶加工と板金加工の一番の違いは、やはり加工する金属の厚みであり、その扱う金属の厚みによって製品や使用用途が違うと言えます。

製缶加工品の一例

製缶加工が必要な具体例を紹介してみようと思います。製造現場において大規模な設備の移設が行われる際を想定します。

設備が移設されるという事は、設備を新たに設置するための頑丈な架台(チャンネルベースなど)が必要となる事を意味します。この架台を加工・製造する事も製缶加工にあてはまります。

また設備の配置が今までと異なる事で、設備間のパイプラインの接続に問題が生じます。これに対応する為に、独自のオリジナル配管・架台を製造。これも製缶加工となります。

溶接など製缶加工の流れ

製缶加工における溶接工程

ここまでの解説で「製缶とはなんなのか」わかって頂けたと思います。

ここからは製缶加工を行うまでの一連の流れについてご紹介します。

・設計
・切断、抜き加工
・曲げ加工
・溶接加工
・穴あけ加工
・機械加工
・研磨、表面処理

という流れで解説します。

①製品の図面などを設計

まず必要なのは「設計」です。この設計を確実に行わなければ、最終的には全く役に立たないガラクタになってしまう事だってありえます。しかし、多くの場合は発注者側がすでに設計図面を書き上げ、製缶加工業者に依頼されることがほとんどです。発注担当者がそれなりに知識と経験があるのであれば良いのですが、自信がなければ製缶加工業者に設計段階から相談に乗ってもらう事で、最適な材質、加工方法、コスト削減においてアドバイスを頂く事が出来るでしょう。

製缶に限らず、何かものをつくる事において設計は非常に重要です。

設計図が無ければ製品が作れないという当たり前の話もありますが、少し目線を変えてみましょう。

設計者のさじ加減により、現場で加工する技術者たちの作業効率や材料の歩留まり(材料の無駄を抑える事)に大きな影響を与える為、納期、コストに大きな影響を与えます。

例えば

・必要以上に高い精度を要求する図面。作業効率の悪化。
・図面ミスにより、二次的加工(手直し)が必要になる。
・材料の歩留まりが悪く、大きな無駄が発生。切断、抜き加工の手間も増える。

などです。工程や人的要素が大きい製缶加工では、コストを抑えつつ、その価値を最大限発揮できるよう設計を行う事が必要となります。

設計段階で加工方法に疑問が生まれれば、加工技術者に「このような加工を行いたいのですが、何か問題はありますか?もっと良い方法はありますか?」といったように現場の声に耳を傾ける事でそのヒントが掴めるかもしれません。

低コストで必要な性能・機能を確実に達成(VA・VE提案)するためには、この設計の工程が何より大切です。

②切断・抜き加工をおこなう

切断・抜き加工の意味合いは、設計図をもとに、鋼材から必要な形状を切り取る工程になります。

この材料取りとも言われるこの工程で使用される機器や設備には様々なものがありますが、代表的なものにはレーザー加工機、シャーリングマシン、高速切断機、プレス加工などがあります。

最近の主流はやはりレーザー加工機となります。精密かつスピーディーに鋼材の切断、穴あけ作業が可能になります。また切断中の熱による変形が発生しにくい為、加工時のゆがみやクラックなどが発生するリスクを抑える事が出来ます。製缶加工会社には絶対に置いておきたい加工機の一つです。

③製缶の曲げ加工をおこなう

製缶加工における曲げ加工、主流なのはプレスブレーキです。

ダイと呼ばれる金属の型を使用します。このダイの上に金属板を設置し、プレス機を作動させることで、任意の形状に金属板を曲げ加工する事ができます。

大きくわけると「一定の角度に曲げる」「円形に丸めるように曲げる」といった加工が可能になります。

曲げ加工は簡単に聞こえますが、実際のところかなり繊細な作業となります。ダイの状態により板材に加わる摩擦抵抗値に変化があれば、微妙に曲げ位置に変化が出る場合もあります。曲げ位置や角度が狂えば、その後の溶接工程の難易度が上がります。最悪の場合、材料の切断からやり直しになってしまう場合もあるのです。

他にも曲げ加工の種類において、型曲げ、フランジ成型など様々な方法があるので、材質や曲げ加工に応じて最適な方法を選びましょう。

④製缶の溶接をおこなう

製缶加工における要の工程がこの溶接工程です。

溶接の目的は金属を強固に接合する事です。使用する鋼材や製品の用途にあわせて溶接の種類を選ぶことが重要です。使用される代表的な溶接機は「MIG溶接」と「TIG溶接」です。簡単にこの二点の概要を解説しておきます。

MIG溶接とは

アーク溶接における半自動タイプの1種です。シールドガスに不活性ガスのみを使用します。溶接中、金属の電極棒(溶加材)が自動的に送りこまれ、それを溶融させて溶接を行う方法です。通常の溶接機のように、いちいち電極棒を交換する必要はありません。作業性が高く、シールドガスによって加工物が大気中の酸素と結合することを防ぎます。局所的に熱を加えるので、歪の発生は少なくなります。

TIG溶接とは

あらゆる金属の溶接が行えるアーク溶接の一種です。こちらは電極棒にタングステンを使用しています。その為、電極として使用しても消耗する事はありません。電極にタングステン、その周囲から不活性ガスを噴出する事で大気中の酸素を遮断しつつ、別の溶加材を加える事で溶接を行います。電極が消耗しない為、アーク長を一定に保ちやすく安定性に優れています。その為、複雑な形状、薄板など溶接の精密さが要求される場合に活躍します。

⑤製缶の穴あけ加工をする

部品を取り付けたり、はめ込んだりするための穴をあける(タッピングなども含む)工程です。

この工程は大きく前後する場合が多いです。というのも、溶接を行う大きな部材の場合は、金属板の切断・抜き工程であらかじめ穴をあけておく場合がほとんどだからです。溶接後に穴をあける事が困難な場合はあらかじめ加工しておくことが一般的です。

⑥製缶の機械加工をする

旋盤、フライス盤、マシニングセンタといった工作機械を使用し、精密な加工を施します。

製缶加工の場合はほとんど活躍の場はありませんが、表面粗さや部品の厚みに精密さが必要になる場合は研磨機を使用する場合もあります。

機械加工においては設計で寸法公差が明確に決められていると思うので、その寸法公差に応じて最適な工作機械、工作方法を選定しましょう。

⑦製缶の研磨加工と表面処理

製缶加工の最終工程です。

製缶品の表面(配管が含まれれば内部も)を磨く事で、溶接跡や機械加工の跡などを処理し、皮膜を形成する事で耐熱性や耐食性を高める工程です。

表面処理の前に、まずは加工時についた傷を消す事や、溶接時に酸化した部位があるのであれば酸洗いを行います。

その後、バレル研磨やバフ研磨を行い、表面を磨き上げ、皮膜処理を行っていきます。

この皮膜の種類によって、付与できる効果は様々です。屋外なのか屋内なのか。使用用途とその環境はどういったところなのか。そういった使用環境を考慮し、表面処理を行いましょう。

完成後の機能確認はお忘れなく。気密性が必要な製品の場合、確実な気密チェックを行ってください。

製缶の溶接加工などを依頼する会社の選び方

製缶加工会社の選び方

製缶加工を依頼する業者を選ぶ際に、何をどのように判断するべきなのかわかりませんよね。

見るべきポイントは沢山ありますが、製品の仕上がりに大きく影響する大きな要素は

・技術者の熟練度
・加工に必要な機械の網羅性 

の二点だと考えます。

冒頭で解説したように高い溶接技術を習得するには経験値が不可欠です。複雑な形状の製缶を行う場合には、材料取り、機械加工においても熟練工の技術力が大いに活躍します。

そして、その技術力を最大限に発揮するには、最先端の機械であったり、多様な加工に自社で対応できるよう様々な機械を揃えている必要があります。

これまで、「自社で一貫して製缶加工をおこなってきた」という会社であれば、技術者のレベルが高い傾向にあります。同時に、外注依頼の必要性が無くなるので、コストも安く抑える事ができる可能性が高くなります。

加工依頼を検討中の会社が近辺にあるのであれば、一度見学させて頂くのも一つの良い方法ではないでしょうか。

まとめ

製缶まとめ

今回は製缶とは何なのか、意味や溶接など、加工方法について詳しく解説させて頂きました。この記事で解説した内容を簡単にまとめます。

製缶とは金属板を加工し、立体的な容器や鉄骨部品などを形成する事を意味します。その用途は様々ですが、強度、安全性、気密性など高い信頼性が必要な場所で多く活躍しています。

その製缶加工の一連の流れについても解説しました。すべての工程が大切なのはもちろんなのですが、製缶加工では金属加工における技術が網羅的に必要となります。

プレス加工、機械加工、溶接技術など幅広い技術力が必要だという事が本記事でわかって頂けたはずです。

その為、製缶加工を依頼する会社は、一貫して製造している会社を選ぶのも一つです。高い技術力と加工機械の網羅性が高まる可能性が高くなります。

一番良いのは実際に自分の目で、その技術力や環境を確認してくることです。実際に足を運ぶことで、これまで製造した製品を直接拝見させて頂く事も可能ですね。遠方の会社の場合は難しいですが、訪問可能な距離であれば、検討してみる価値はあると思います。

関連するまとめ