腐食しない金属一覧と目的別の選び方をわかりやすく解説

腐食しない金属は大きく分けて3種類あります。金属そのものが腐食しないもの、不動態皮膜と表面に作る金属、サビが表面に作られ本体の腐食を防ぐ金属です。この記事では腐食しない金属の一覧と目的別の選び方を解説します。記事を参考に、適切な金属を見つけましょう。

腐食しない金属一覧と目的別の選び方をわかりやすく解説のイメージ

目次

  1. 1腐食しない金属にはどんな種類がある?
  2. 2腐食しない金属一覧
  3. 3金属が腐食してしまうことで起きる弊害
  4. 4腐食しない金属の選び方【使用環境やコストを考慮する】
  5. 5【目的別】腐食しない金属の商標
  6. 6腐食しない金属選びが不安な人は専門商社に相談
  7. 7まとめ

腐食しない金属をお探しですね。

腐食しない金属は大きく分けて3種類があります。

金属そのものが腐食しないもの、不動態皮膜と表面に作る金属、サビが表面に作られ本体の腐食を防ぐ金属の3つです。

金属そのものがサビないものとして有名なのは金ですが、純金の使用は費用面などから現実的ではありません。

環境やコスト面の配慮など、目的に合わせて適切な金属を選ぶ必要があります。

そこで今回の記事では、腐食しにくい金属一覧を紹介するとともに、選び方も解説しています。

記事を参考に、自分の目的にあった腐食しない金属を見つけましょう。

腐食しない金属にはどんな種類がある?

腐食しない金属にはどんな種類がある?

腐食しない金属は大きく分けて3種類あります。

金属そのものが腐食しないもの、不動態皮膜を表面に作りサビを防ぐ金属、サビが表面に作られ本体の腐食を防ぐ金属の3つです。

以下で詳しく解説します。

1-1.金属そのものが腐食しない

1-1.金属そのものが腐食しない

金属そのものが腐食しない金属は、貴金属と呼ばれるものです。

腐食の多くは、金属の表面に発生するアノード反応が原因で、金属イオンが溶け出して進行していきます。

金やプラチナなどの貴金属は、金属イオンが溶けにくい性質を持っているので腐食に強い金属なのです。

貴金属という名称の通り、希少な金属なので価格が高い特徴があります。

1-2.不動態皮膜を表面に作る金属

1-2.不動態皮膜を表面に作る金属

不動態皮膜を表面に作る金属も腐食に強い特徴を持ちます。

不動態皮膜と呼ばれる極薄の膜により、腐食やサビを防ぐのです。

代表的な金属には、ステンレス鋼、アルミ合金、チタン合金、ニッケル合金があります。

膜によって金属が直接酸化原因に触れないので腐食しにくいのです。

1-3.サビが表面に作られ本体の腐食を防ぐ金属

1-3.サビが表面に作られ本体の腐食を防ぐ金属

表面に作られたサビが本体の腐食を防ぐ金属もあります。

腐食の進行を食い止め保護膜のように機能する特殊なサビを作り、サビをサビで防ぐのです。

銅、亜鉛の他に耐候性鋼と呼ばれる鉄鋼材料がサビによる腐食防止の性質を持ちます。

サビが破損しても、新たなサビが被膜となるので内部浸食しにくいのです。

腐食しない金属一覧

腐食しない金属一覧

ここまでの説明の通り、腐食しない金属にはそれぞれ特徴があるのです。

下記に、腐食しない金属の一覧と特徴をまとめましたのでご紹介します。
 

金属名 特徴
実用金属ではもっとも電位が高くイオン化しにくいが、軟らかい。
白金 金と同様、電位が高い貴金属でサビとはほぼ無縁である。ただし高温環境や水酸化アルカリや塩素、アンモニア等に対しては表面が腐食する場合がある。
イリジウム 重白金族であり、電位は白金より低いが、白金よりも耐食性に優れるとされる。王水にもほとんど溶けないが、高温環境ではハロゲン元素と反応してしまう。
ロジウム 高温環境での酸化性の酸には溶けるが、王水には溶けない。イリジウムと同様、高温環境ではハロゲン元素と反応。銀に対するメッキとしても使われる。
パラジウム 塩酸には溶けないが、硝酸などの酸化性の酸には溶ける。王水にも溶ける。

大気や水に対しては安定しているが、貴金属の中では硫黄やオゾン、塩素などと反応して黒ずむ性質がある。
チタン合金 一酸化チタンや二酸化チタンの不動態皮膜を形成。白金に匹敵する耐食性。海水中でも孔食などの腐食が生じないが、高温+塩化物では腐食する場合がある。
ステンレス鋼 不動態皮膜を形成。種類が豊富で、耐海水ステンレス鋼など使用環境に応じて様々なタイプのものを使い分けられる。
ニッケル合金 腐食が発生しやすい海水や高温環境など、特殊な環境下での耐食性に強い。高温下、酸性やアルカリ性などの化学薬品等が触れる箇所等で他の金属にはない耐食性を持つが、コストが高い。
クロム 不動態皮膜を形成する。高温ガス等に対して耐食性を持つ。
ジルコニウム 不動態皮膜を形成。酸性、アルカリ性にも強い。中性子を吸収しにくい性質があり、一般にはあまり使われる素材ではないが、原子炉で使われる。
ニオブ 不動態皮膜を形成。合金に添加元素として利用される。ステンレスへの添加元素でもあり、ニオブを加えれば耐海水性、耐熱性や強度の向上が望める。
アルミニウム合金 不動態皮膜を形成。ステンレスほどではないが大気中や淡水中では耐食性に強く、材料も軽い。電位が低いため、ステンレスや貴金属、銅などと水のある環境で接触すると腐食してしまう。硝酸などの酸化性の酸には強いが、弱いアルカリ性環境や非酸化性の酸に対しては腐食する。

金属が腐食してしまうことで起きる弊害

金属が腐食してしまうことで起きる弊害

金属の種類によって、腐食に対する強さを発揮する条件は異なります。

ここからは、金属の腐食によって起こりうる弊害をご紹介します。

3-1.強度が低下するので壊れやすくなる

3-1.強度が低下するので壊れやすくなる

金属が腐食すると強度が低下して壊れやすくなります。

固定に用いられていた金属パーツが強度を保てなくなると、負荷に耐えられず破損する危険性があるのです。

例えば、棟梁のような建築物であれば場合によっては、倒壊の危険性もあります。

腐食での強度低下は、破損による事故の要因となり得るのです。

3-2.景観が悪化する

3-2.景観が悪化する

腐食によって景観が悪化する場合があります。

腐食を起こすと、表面が赤茶色や黒ずみを起こして見た目が悪化するのです。

身近なものであれば、銀アクセサリーの黒ずみや、自転車のサビなども腐食の一つと言えます。

またサビが水に溶けだして赤茶色の水が流れ出すのも景観として良くありません。

サビは景観への悪影響が懸念されるのです。

腐食しない金属の選び方【使用環境やコストを考慮する】

腐食しない金属の選び方【使用環境やコストを考慮する】

サビによる機能面や見た目への弊害を解説してきました。

腐食は防ぎたいものですが、腐食に強い金属にはそれぞれ特徴があり、全てに対応できる金属はありません。

ここからは、目的別の腐食しない金属の選び方を紹介します。

4-1.【金】とにかく腐食しないことが最優先

4-1.【金】とにかく腐食しないことが最優先

とにかく腐食しないことが最優先という人は金を使いましょう。

金は、もっとも電位が高くイオン化しにくく酸やアルカリともに強い実用金属です。

ただし、柔らかい金属なので強度目的の用途には使えません。

コストが高いので大きな面積にも向きませんが、腐食のしにくさは一番強いので電子回路などに用いられます。

4-2.【ステンレス鋼】メンテナンスが少なく扱いやすい

4-2.【ステンレス鋼】メンテナンスが少なく扱いやすい

ステンレス鋼はメンテナンスが少なく扱いやすい金属です。

ステンレスに含まれたクロムが空気中の酸素と結合不動態皮膜を作り腐食が防がれます。

寿命が長いため、修復、交換などのメンテナンス頻度が少なくて良いのがメリットです。

ただし、熱伝導率が低いため、切削加工時に発生する熱が逃げにくく、工具へ負担がかかりやすいデメリットもあります。

また、加工硬化という、衝撃によって硬度を増す性質があり、加工が難しいという問題もあるのです。

作ってしまえばメンテナンス性は良いが、作るための加工が難しい金属と言えます。

4-3.【銅】熱伝導率が高い

4-3.【銅】熱伝導率が高い

銅は腐食しにくいだけでなく熱伝導率も高い金属です。

熱伝導率の高さをと腐食しにくさを活かして、冷却水を扱う分野で復水器の伝熱管材料などに用いられています。

一方、変色しやすく、強度も弱いなどの欠点があるのです。

腐食しにくさや熱伝導は高いが、耐久性の必要なものには適していない金属と言えます。

【目的別】腐食しない金属の商標

【目的別】腐食しない金属の商標

腐食しない金属は強度が弱い、加工がしづらい、貴重など簡単には利用できないものが多いです。

しかし金属はそのまま使うのではなく、腐食しにくい金属を最適量添加すると実用的な合金にできます。

ここからは、目的に合わせて実用性を高めた商標済合金の紹介です。

5-1.耐硫酸・塩酸【S-TEN】

5-1.耐硫酸・塩酸【S-TEN】

S-TENは、新日鐵住金のオリジナル耐硫酸・塩酸露点腐食鋼材です。

70度50%の硫酸に浸ける実験では、普通鋼の5倍の耐食性を示しています。

硫酸には馴染みがないかもしれませんが、化石燃料の燃焼による排煙には硫化硫黄物が含まれているのです。

ここからは、S-TENの特徴と適用事例を紹介します。

5-1-1.S-TENの特徴

S-TENは、普通鋼と同等の強度・施工性・溶接性を持っています。

強度が強く、溶接性も良いので加工し易い金属なのです。

また、ステンレス鋼に比べ経済的であるという利点もあります。

S-TENは耐食性と使い易さに加えて、経済性も兼ねそろえた金属です。

5-1-2.適用事例

S-TENは石炭火力ボイラーや、塩酸酸洗槽などに使用されます。

強い耐硫性は、化石燃料の燃焼による硫化作用を防ぐのです。

塩酸に直接触れる塩酸酸洗槽では耐塩酸性を発揮します。

S-TENは塩酸や硫酸に接触する環境化で活用される金属なのです。

5-2.耐候性銅【COR-TEN】

5-2.耐候性銅【COR-TEN】

COR-TENは耐候性に優れた鋼材です。

通常の銅は、耐サビのために塗装など定期的なメンテナンスが必要になります。

しかし、COR-TENは無塗装で使用可能。

サビを防ぐ性質をもったサビが生成されるので、無塗装でもサビないのです。

また、サビ自体も美しい色合いなので、美的効果も期待できます。

ここからは、COR-TENの特徴と適用事例を見ていきましょう。

5-2-1.COR-TENの特徴

COR-TENの特徴は無塗装における優れた耐候性です。

屋外利用による10年間での腐食量は、普通鋼の2分の1になります。

無塗装での利用も可能で、塗装塗り替えによるコストの軽減に有効です。

溶接、加工性についても普通鋼と同様の性能をもっています。

5-2-2.適用事例

CORE-TENは屋外での建造物に使用されます。

具体的には建築外装、橋梁、鉄道車両などが多いです。

サビの美しい色合いを活かして美術館の外観にも使用されています。

CORE-TENは景観と耐久性の関わる屋外建造物に適した鋼材です。

5-3.耐海水性鋼【MARILOY】

5-3.耐海水性鋼【MARILOY】

MARILOYは、耐海水性に優れた鋼材になります。

クロム添加により、表面のサビ層が地金への酸素の侵入を抑制するのです。

その耐食性は、普通鋼の2倍にもなります。

ここからは、MARILOYの特徴と適用事例の紹介です。

5-3-1.MARILOYの特徴

MARILOYは、塗装不要の耐海水性が特徴です。

塗装では、剥がれた箇所から浸水して腐食がすすみます。

しかしMARILOYは合金自体にクロムが含まれているので、耐海水のサビが物理的に剥がれてもそこから新たなサビが生成されて局所腐食が発生しません。

そのため、MARILOYは塗装なしで30年以上使用が可能と推定されています。

MARILOYは、塗装メンテナンス不要で長期の海水使用に耐える鋼材なのです。

5-3-2.適用事例

MARILOYは高い耐海水性を活かして 造船所や船体に使用されています。

炭素鋼と同程度の溶接性をもつので、建造物の内側から切断、溶接による補修も可能です。

内側から溶接加工ができれば、工程が減りメンテナンスの工作コストも低下します。

MARILOYは海洋建築物の外層に適した鋼材です。

腐食しない金属選びが不安な人は専門商社に相談

腐食しない金属選びが不安な人は専門商社に相談

腐食しない金属の選定に自信がない方は、加工まで対応可能な専門商社への依頼も検討しましょう。

腐食しない金属にはそれぞれ目的に合わせた特徴があり、適切な選定と加工には知識と経験が必要となります。

専門商社であれば目的に合わせた適切な鋼材の選定だけでなく、加工対応も可能です。

6-1.クマガイ特殊鋼株式会社

6-1.クマガイ特殊鋼株式会社

クマガイ特殊鋼株式会社は100年以上の歴史があり、鋼材の知識だけでなく、加工に対する経験も知識も豊富です。

素材の仕入れから、設計、加工、検査まで依頼できます。

目的にあった適切な腐食しない金属選びや、加工に自信がない場合はクマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。

まとめ

腐食しない金属に関してご紹介しました。

腐食しない金属とは、腐食原因となる要素に対して耐性のある鋼板です。

腐食には硫酸や塩酸、天候、海水など原因となる要素が存在します。

また、鋼材を選ぶ際は耐食性だけでなく、用途に合わせた加工性や溶接性など加工のし易さも重要なのです。

耐食性と加工性を兼ねそろえた鋼材は、S-TEN、COR-TEN、MARILOYなどの特殊な商標があります。

本記事を参考に、適切な腐食しない金属を選びましょう。

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