窒化処理とは|方法やメリット・デメリット

窒化処理とは、鉄鋼製品を加熱し、鋼の表面から窒素原子を内部に拡散浸透させることで表面を硬化させる技術のことです。ステンレス鋼への窒化処理は耐摩耗性が向上する反面、防錆性が劣るという問題があります。窒化処理の種類やメリットとデメリットも紹介します。

窒化処理とは|方法やメリット・デメリットのイメージ

目次

  1. 1窒化処理とは?
  2. 2窒化処理のメリットとデメリット
  3. 3まとめ

窒化処理とは?

窒化には様々な用途や処理方法がありますが、単に窒化というときは、鉄鋼やチタン合金を高温下の窒化に暴露して金属の表面を硬化させることをいいます。

窒化処理とは、鉄鋼製品を加熱し、鋼の表面から窒素原子を内部に拡散浸透させることで表面を硬化させる技術のことです。

たとえば、保温したアンモニアガス中に鉄鋼製品を保持すると、数時間後にはその表面に鉄と窒素化合物が生成されます。同時に表面から製品中心部に向けて拡散層といわれる窒素濃度が生じます。

窒化した鉄鋼製品では、化合物層によって表面が硬くなると同時に、窒素拡散層により中心部に向かう硬さ勾配が生じます。窒化処理によって鉄製品は、耐摩耗性や疲労強度が増し、耐食性や耐焼き付け性も改善させることができます。

窒素は、その生成方式によってガス窒化、塩浴窒化、プラズマ窒化などに分類され、また添加元素により、軟窒化や浸硫窒化などに分類されています。

その他、窒化は鉄鋼材料を焼戻し温度以下で表面硬化でき、形状変化が小さい熱処理方法であるため、広く利用されています。
 

窒化処理の特徴

窒化処理は、鋼の表面に窒素をしみ込ませて硬くする方法ですが、窒素が入るだけで硬くすることができますから、焼入れや焼戻しといった工程を行う必要がありません。

そうした理由から、変形することが極めて少ないといった特徴があり、精密部品において主に利用されています。

浸炭焼き入れ層では、1mm以上の硬化層を生成されますが、窒化層は0.1mmほどしか実現できず、大きな衝撃や面圧を受ける環境には向きません。

しかし、焼入れ後に窒化したりマルテンサイト系ステンレスに窒化すると、焼入れや窒化単独では得られない硬度や耐衝撃性のある表面を得ることができます。

また、ステンレス鋼への窒化処理は耐摩耗性が向上する反面、耐食性が劣るという問題があります。

 

窒化処理の方法

窒化処理は窒素装置の中で行われます。窒化処理の工程は、まず処理される鋼を窒化炉の中に入れ、アンモニアガスを投入し、500~550℃に加熱します。

アンモニアガスから乖離した原子状の窒素が鋼の表面から内部に侵入すると、鋼内部に存在するアルミニウム、クロム、モリブデンといった元素と窒素が結合し、硬い窒化物からなる窒化層が生成されます。
 

窒化処理の種類

窒化処理には、ガス窒化、ガス軟窒化、塩浴軟窒化などの種類があります。ガス窒化は、アンモニアガスを使用し、高級鋼で用いられ、表面の硬さは高く硬化層の深さは深く、処理時間は長いという特徴があります。

ガス軟窒化は、アンモニアと浸炭性ガスの混合ガスを使用し、低級鋼で用いられ、表面の硬さは低く硬化層の深さは浅く、処理時間は短いのが特徴です。

塩浴軟窒化は、シアン酸塩と空気との反応により発生した窒素を使用し、高級鋼で用いられ、硬化層の深さは浅く、処理時間は短いのが特徴です。
 

窒化処理が使われるもの

窒化処理は、それぞれの種類によって使われる素材が違っています。たとえば、ガス窒化ではSKDやSCMなどの高級鋼が使用されてます。

また、ガス軟窒化では、SPCC、炭素鋼などの低級鋼が使われ、塩浴軟窒化では高級鋼と低級鋼の両方で使用されています。

窒化物の生成によって硬化できるため、適用材料が広いことが特徴で、チタン合金などにも適用されています。
 

窒化処理のメリットとデメリット

窒化処理には素材の変形が少ないことなど多くのメリットがありますが、その他にはどんなメリットがあるのか、またデメリットにはどんなことがあるのかを以下にまとめました。

窒化処理のメリット

窒化処理のメリットとは、低温度での処理のため変形が少なく、耐摩耗性と耐食性に優れているところです。

また、摺動性を向上させることができ、ガスが届く範囲での硬化が可能であり、小さい隙間の処理や内径の処理が簡単というメリットがあります。
 

窒化処理のデメリット

窒化処理のデメリットは、硬化層が浅いことと、表面硬度が高いために処理後の加工が難しく、面圧がかかる部分での処理に注意が必要なことです。
 

まとめ

今回は、窒化処理とはどんなものなのか、その種類や特徴、メリット、デメリットについて解説しました。
 

  • 窒化処理とは、鉄鋼製品を加熱し、鋼の表面から窒素原子を内部に拡散浸透させることで表面を硬化させる技術のことです。
  • 窒化処理の特徴は、窒素が入るだけで硬くすることができますから、焼入れや焼戻しといった工程を行う必要がなく、そうした理由から、変形することが極めて少ないといった特徴があり、精密部品において主に利用されています。
  • 窒化処理の方法は、まず処理される鋼を窒化炉の中に入れ、アンモニアガスを投入し、500~550℃に加熱します。
  • 窒化処理には、ガス窒化、ガス軟窒化、塩浴軟窒化などの種類があります。
  • 窒化処理は、低温度での処理のため変形が少なく、耐摩耗性と耐食性に優れ、摺動性を向上させることができるなどのメリットがあります。
  • 窒化処理のデメリットは、硬化層が浅いことと、面圧かかる部分での処理が難しいことです。

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