焼きならしと焼きなましの違いや温度について解説

焼きならしとは熱処理の一種であり、焼きならしのことを焼準ともいいます。焼きならしは、鋼の組織を均一化するために行いますが、その特徴やメリット、温度、注意点などをまとめました。また、焼きなましの特徴や焼きならしと焼きなましの違いについても紹介します。

焼きならしと焼きなましの違いや温度について解説のイメージ

目次

  1. 1焼きならしとは?
  2. 2焼きなましとは?
  3. 3まとめ

焼きならしとは?

熱処理には、焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし、焼きならしといった種類がありますが、焼きならしは、そんな熱処理の一種で、英語でnormalizingと呼びます。

鋼材を一定の高温まで加熱し、基本的には空冷で冷却し、鋼材組織の結晶を均一、微細化させることをいいます。

今回はそんな熱処理の中の焼きならしについて詳しく紹介します。
 

焼きならしの特徴

鉄鋼製品である鋼材は、鋳造、鍛造、圧延といった方法で作られていますが、それらはどんな製造法でも、そのままでは加工する段階でひずみが生じます。

また、ひずみによって鋼の組織が不均一となっていますから、強度などの機械的性質は不十分な状態です。

そこで、鋼の組織を均一化し、微細化するために「焼きならし」という工程が必要になります。焼きならしすることで、機械的性質を改善し、切削性の向上が増します。

焼きならしのことを焼準(しょうじゅん)といい、英語ではノーマライジングと呼ばれています。また、JIS加工記号ではHNRと表記します。
 

焼きならしの方法

焼きならしは、変態点よりも高めの温度で再加熱し、空冷することで結晶粒が微細化します。そのことで鋼の強靭性が向上し、同時に残留応力(外部からの圧力や熱が鋼の内部に残る現象)が除去されます。

焼きならしによって得られる鋼の組織は、基本的には完全焼きなましと同じで、フェライトとパーライトの混合組織となります。

ただし、完全焼きなましとは違い、加熱温度が高くなると結晶粒が大きくなり過ぎて、パーライトの占有率が多くなって硬さが増します。

また、焼きならしの冷却方法は、一般的に空冷を使います。そのため、鋼種や加熱温度が同じだとしても、鋼の大きさによって冷却速度が変わり、そのことによって処理後の鋼の硬さも違ってきます。
 

焼きならしの温度

焼きならしは、機械構造用の鋼を対象にしている熱処理で、変態点よりも高い温度(800~900℃)で加熱してから空冷します。

熱間鍛造された鋼は結晶粒が大きくなり、不均一な組織になります。ですから、これを焼きならしすることで、結晶粒が微細化し、組織の均一化が図れます。
 

焼きならしのメリット

不均一な組織を持つ鋼材を焼きならしすることで、引張強さ、降伏点、伸び、絞りといった機械的性質を向上させることができます。

鋼材で、低炭素鋼や一部の低炭素合金鋼では、炭素含有量が少ないため、焼き入れを行なってもあまり硬くなりません。

ですから、一般構造用延鋼材などは、焼き入れよりも焼きならしが適用されることが多くなります。特に、大型の鋳造品では、質量効果によって変形や割れが起きやすくなりますから、焼き入れと焼き戻しを行うのは難しく、焼きならしを行うことが多いです。

完全焼きなましした鋼は、非常に軟らかになりますが、そのことによって切削加工する場合に困難になります。そこで、焼きならしすることで多少硬度が増すというメリットがあります。

このとき、炭素量が多い鋼種ほど硬さの上昇率が多くなり、硬さが増すのと同時に引張強さも向上することから、焼きならしは焼き入れの代替えとしても利用されています。
 

焼きならしの注意点

焼きならしの注意点は、焼き入れとは違って変態による応力は発生しませんが、焼きならしの空冷により新たな熱応力が発生します。

この残留応力を避けるため、二段ならしや焼きならしのあとに、応力除去焼きならしを行う必要があります。

その他、鋼材のカットサンプルなどから加熱温度や冷却方法を検査し、組織の均一性や微細化の程度を確認するといった作業が必要です。

また、材質の品質を高めるために、鋼材の内部の硬度についても検査してから行う必要があります。
 

焼きなましとは?

焼きなましは熱処理のひとつで、焼きならしと同じように鋼材を軟らかくして、組織を均一化するために行いますが、どんな特徴があるのかまた、焼きならしとはどのように違うのかを紹介します。

焼きなましの特徴

焼きなましは、切削、鍛造、プレスといった加工をしやすくするために、鋼材を軟らかくし、組織を均一化することを目的としています。

組織が均一していないままだと、加工するときに変形や反りなどが大きくなって、加工の制度が低下してしまいます。

焼き入れだけでは、硬度や強度のムラが生じ、残留応力を増加させることになります。焼きなましは、そんな鍛造や鋳造で生じた応力や組織のムラを除去させるために行います。
 

焼きなましの目的による違い

焼きなましには、「完全焼きなまし」「球状焼きなまし」「応力除去焼きなまし」「拡散焼きなまし」「現状化焼きなまし」「等温変態焼きなまし」などいくつかの種類がありますが、目的によって方法が違ってきます。それぞれの特徴などについて以下に解説します。

完全焼きなまし

完全やきなましは、焼きなましの中でも一般的に行われるもので、JIS記号ではHAFと表記します。目的は内部の結晶粒度を均一にするために行います。

完全やきなましは、変態点以上に加熱し、その後ゆっくりと冷却して臨界区域まで炉中で冷却します。
 

球状焼きなまし

鋼を熱処理して冷却したとき、鋼の組織が層状になったり網状になったり、また針状になったりしますが、そうした形状では脆いため、組織を球状化する必要があります。

球状焼きなましは、そうした形状(層状や網状)を球状にすることを目的に行いますが、球状化させるためには、加熱と冷却を繰り返すなどを行います。

球状焼きなましのJIS記号はHASで表します。
 

応力除去焼きなまし

応力除去焼きなましは、金属処理や冷間加工などで生じた残留効力(物体内に発生した圧力を除いたあとに保留される応力)を除去し、割れを防ぐことを目的として行います。応力除去焼きなましのJIS記号はHARと表記します。

拡散焼きなまし

鋳造の部品によっては、その成分の一部が偏ってしまいますが、そのことを偏析といいます。拡散焼きなましは、その偏析元素を拡散して成分や不純物を均一化します。

方法としては、変態点を超えた温度で長時間加熱したあと、通常の焼きなましを行います。拡散JIS記号はHADと表記します。
 

現状化焼きなまし

現状化焼きなましは、球状のセメンタイトで加工性を良くする目的で行います。

等温変態焼きなまし

等温変態焼きなましは、パーライトを制御して切削性を向上させるために行います。

焼きならしと焼きなましの違い

焼きならしも、焼きなましも不均一な鋼の組織を均一化し、機械的な性質を向上させる目的で行いますが、焼きなましは組織の均一化とともに、鋼を軟らかくすることを目的としています。

まとめ

今回は、熱処理の種類の中の焼きならしと焼きなましについて、その特徴や目的、注意点などを解説しました。また、焼きならしと焼きなましの違いについて紹介しました。

  • 焼きならしとは、鋼材を一定の高温まで加熱し、基本的には空冷で冷却し、鋼材組織の結晶を均一、微細化させることをいいます。
  • 焼きならしのことを焼準(しょうじゅん)ともいい、英語ではノーマライジングと呼ばれています。また、JIS加工記号ではHNRと表記します。
  • 焼きならしの方法は、変態点よりも高めの温度で再加熱し、空冷することで結晶粒を微細化させます。
  • 不均一な組織を持つ鋼材を焼きならしすることで、引張強さ、降伏点、伸び、絞りといった機械的性質を向上させることができるというメリットがあります。
  • 焼きなましは、切削、鍛造、プレスといった加工をしやすくするために、鋼材を軟らかくし、組織を均一化することを目的としています。
  • 焼きなましには、「完全焼きなまし」「球状焼きなまし」「応力除去焼きなまし」などいくつかの種類があります

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