溶接の種類を網羅!資格などもわかりやすく解説

溶接とは、2つ以上の材料に溶加材を加えて接合させることをいいますが、その溶接の種類には、アルミやステンレスなどを溶接するアーク溶接をはじめ、レーザー溶接、抵抗溶接、ろう付けなどがあります。今回は、溶接に必要な資格にはどんなものがあるのかも紹介します。

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目次

  1. 1溶接とは?
  2. 2溶接の種類と特徴
  3. 3溶接の資格
  4. 4まとめ

溶接とは?

溶接とは、2つ以上の材料の接合部に熱や圧力を加え、適当な溶加材を加えながら接合部が連続性のある一体化された1つの部材になるようにする接合方法です。

溶接には、小規模のものから比較的規模の大きなものまでさまざまな溶接がありますが、自動車工場の産業用ロボットも溶接を行なっています。

溶接は、青銅器時代からも見られますが、日本では弥生時代の銅鐸にも溶接の跡が発見されています。現在では主に、建設業、自動車産業、宇宙工学、造船といった先端技術や生活を支えている身近なところでも使用されています。
 

溶接の種類と特徴

溶接加工といわれるものは、60種類以上もあって、その中から大まかに3つに分類されています。それは、融接(溶融溶接)、圧接(加圧溶接)、ろう接です。

それらに分類された溶接では、細分化されている溶接方法がありますが、主なものは、アーク溶接、レーザー溶接、抵抗溶接、ろう付けがあります。

溶接するためには、元になる材料を溶かさなければなりません。一般的には溶接といえば、金属部品を一体化することを指しますが、プラスチックを接合することもプラスチック溶接と呼ばれたりします。

また、現在では最先端技術によってセラミックスを溶接することも可能です。


 

アーク溶接(溶融電極式)

アーク溶接とは、火花が散る放電現象を利用した接続方法で、溶接といえばアーク溶接をイメージする場合が多いようです。

アーク溶接で使われる溶接機の電極棒(溶接棒)が溶けるものと溶けないもの(非消耗電極式)で分類されていますが、溶融電極式のアーク溶接では、溶ける溶接棒(消耗電極式)を電極として使用します。

また、この電極棒は材料と接合するための溶加材としての役割も兼ねています。アーク溶接の特徴と方法を以下に解説します。
 

アーク溶接(溶融電極式)の特徴

溶接の中でもアーク溶接は、さまざまな産業分野で幅広く使われている溶接方法で、アーク溶接は、装置の機構や使用するガスによって分類しています。

アーク溶接では、アーク放電という電気的現象を利用して溶接します。アーク放電とは、気体の放電現象で、空気中に発生する電流のことです。

離れた電極に電圧をかけていくと、空気の絶縁破壊が起き、2つの電極の間に電流が流れ、それと同時に強い光と熱が発生します。

この時、発生する光をアークといい、アークの熱を熱源として溶接する方法がアーク溶接です。

スシールドアーク溶接は、シールドガスによる溶接部を大気から保護する方法で、ティグ溶接、ミグ溶接、マグ溶接といったものがあり、自動化にも適していることから一般的に用いられています。
 

アーク溶接(溶融電極式)の方法

アーク溶接(溶融電極式)の方法として、まず電極(溶接棒またはワイヤ)にプラス、母材にはマイナスの電圧をかけます。

互いを近づけることで、母材から電極へアークが発生します。アークの出力電流は、約5~1,000Aほどで、出力電圧は8~40V程度です。

アークの温度は、約5000~20000℃あり、鉄の融解温度は約1500℃ですから、母材と電極は高温のために溶け込んで接合されます。
 

アーク溶接(非溶融電極式)

溶融電極式でのアーク溶接に対し、溶接機の電極棒(溶接棒)が溶けない非溶融電極式では、溶けない電極棒を用いて溶接を行います。

非溶融電極式には、TIG溶接とプラズマ溶接とがありますが、それぞれについて以下に解説します。
 

TIG溶接

TIG溶接は、非溶融電極式の種類のひとつで、TIGは「不活性ガズ溶接」を意味します。TIG溶接は、火花を出さずにステンレス、アルミ、鉄といったさまざまな金属の溶接に対応できる溶接方法です。

放電用の電極には、溶融しないタングステンを使用し、シールドガスにはアルゴンやヘリウムガスなどの不活性ガスを使用します。

TIG溶接には、交流と直流、パルスの有無、溶接ワイヤの有無などにより、さまざまな種類に分けられます。

なお、パルスを使用する溶接方法を「パルスティグ溶接法」といい、パルスティグ溶接法は、溶接電流を一定の周期によって、パルス電流とベース電流に変化させることができます。

そして、パルスが流れている間に母材を溶かし、ベース電流が流れているときに冷却させます。周期的に溶融スポットができますから、ビート(接合部分の盛り上がり)が数珠つなぎ状態で仕上がります。

また、ワイヤーを使用する場合は、「コールドワイヤ法」と「ホットワイヤ法」とがあります。コールドワイヤ法は、通常の溶加材を使い、ホットワイヤ法ではワイヤに電流を流してワイヤを加熱して溶着量を増やします。このホットワイヤ法はコールド法に比べ、約3倍の溶加材を溶着することができますから、短時間での溶接が可能で、品質の高い溶接ができます。

そうしたことから、溶着に必要な溶加材を得るために時間を要するディグ溶接の欠点を補うことができるといえます。
 

プラズマ溶接

プラズマ溶接は、電極と母材との間にプラズマアークを発生させて溶接する方法です。プラズマ溶接は、TIG溶接と同様に電極にタングステンを使用しますが、電極を包むノズルとプラズマガスによってアークが広がらないようにしている点が違います。

プラズマ溶接は、熱集中性が良く、ビード幅(接合面の盛り上がり部分)が狭く、しかも高速で歪のない溶接が可能です。

すみ肉溶接に適し、スパッタ(溶接品質の妨げとなるスラグや金属粒)も発生しにくく、電極消耗が少なく長時間の高品質な溶接が可能です。溶接機はTIG溶接と比べると高価ですが、ランニングコストは安くなります。また、自動溶接にも適した溶接方法です。
 

アーク溶接(非溶融電極式)の特徴

非溶融電極式は、溶融電極式のアーク溶接とは違い、溶接棒を溶加材として使用できませんから、溶接機とは別に溶加材を入れて溶かす必要があります。

非溶融電極式の一種であるTIG溶接は、融点が3380℃で、金属の中で最も融点が高いタングステンやタングステン合金を電極として使用します。
 

アーク溶接(非溶融電極式)の方法

非溶融電極式の種類のひとつであるTIG溶接の方法は、火花を出さずにさまざまな金属の溶接に対応できる溶接方法で、電極には溶融しないタングステンを使用し、アルゴンやヘリウムガスなどの不活性ガスを用います。

TIG溶接の溶接方法は、不活性ガスの中でアークを発生させ、そのアーク熱によって母材を溶かして溶接します。その時、溶加材を用いますが、溶接部分では不活性ガスによってアークも安定し、スパッタはほとんど発生しません。

次にプラズマ溶接の溶接方法ですが、パイロットガスはパイロットアーク熱によってイオン化します。そのイオン化したパイロットガスをノズル孔から噴射し、アーク電流の導電体となります。
 

レーザー溶接

レーザーを起こす媒質は、ガスや特殊な固体素材を使用しますが、レーザー光は目に見えません。

レーザー加工機のレーザー光は、スポットの大きさを変えることで、溶接や母材へ模様を描いたり、切断などを行います。

それらのうち、金属加工に使用するレーザー光は、極めて強力なレーザー光を用います。これを熱源として母材を溶かし、2つの材料を接合する溶接がレーザー溶接です。
 

レーザー溶接の特徴

レーザー溶接は、レーザー光で金属を融解させて接合を行います。通常の溶接に比べて高速であり、しかも歪のない溶接を行うことができるという特徴があります。

また、アーク溶接に比べ、かなり小さく絞り込んで溶接することができます。集光レンズによる高密度なエネルギーで、局所の溶接や融点が異なる母材への接合が可能です。

熱の影響も少なくビードは細く、加工反力も発生しないため、微細な溶接に向いています。レーザー溶接に使われるレーザー光は、高出力で波長やエネルギー密度などのビームの収束性、レーザーの輝度やビームモードなど、レーザー光の品質をコントロールする必要があります。レーザー溶接では、厚板から薄板まで微細な溶接が可能です。
 

レーザー溶接の方法

レーザー溶接は、レーザー光を励起してレンズで収束し母材に照射しますが、その時にパワーやスポット径を変化させることで、溶接以外の加工も可能になります。

アーク溶接や電子ビーム溶接に比べ、コンピュータ制御やCAD/CAMとの組み合わせも可能で、ラインへの組み込みやロボット化に適した接合方法です。

たとえば、自動車のフレームやボディースポットの溶接や、自動車ボディーのシーム溶接、電子部品のワイヤーやピンのスポット溶接などで利用されます。

 

抵抗溶接

抵抗溶接は、「加圧溶接」に分類され、アーク溶接などの融接とは異なる接合方法によって行われます。抵抗溶接の種類にはスポット溶接やシーム溶接があります。

抵抗溶接の特徴

抵抗溶接は、特に熟練した作業者を必要としませんから、機械化や効率化が図れます。そのことでコストも下げることができ、大量生産に適しています。

抵抗溶接のデメリットとしては、融接のように外観から溶接部の状態を把握できないことです。
 

抵抗溶接の方法

抵抗溶接は、被溶接材の金属を重ね合わせた状態から、さらに電極ではさみます。そして、電極に電流を流して発生させたジュール熱で溶解させ、それと同時に加圧することによって接合させます。

ろう付け

ろう付けは、高融点のろう材を用いたろう接で、熱源には通常の溶接用のトーチを利用した「トーチろう付け」や高周波誘導加熱を利用した「誘導加熱ろう付け」があります。

また、フラックスを使用せず、大気を遮断した炉内で母材とろう材を加熱し冷却することでろう付けする「雰囲気ろう付け」などの種類もあります。
 

ろう付けの特徴

ろう付けは、従来から自動車のルーフやサイドパネル、トランクリッドの接合で用いられていました。

近年では母材間にワイヤ状のろう材を供給し、光エネルギーでろう材を溶かして接合させる「レーザーブレージング」と呼ばれるろう付け技術が広まっています。

レーザーブレージングは、母材をほとんど溶かすことがなく、熱による変形を最小限にすることができます。製品のデザイン性を損なわず、軽量かつ剛性の高い接合ができるという特徴があります。
 

ろう付けの方法

ろう付けの方法は、まず母材の接合面の油汚れや酸化膜などを除去し、母材の表面を洗浄します。次に母材表面にろうの流れを促進させるフラックス(物質を融解しやすくする物質)と呼ばれる薬品を、接合面に塗布します。

そして、部材を加熱したあと、接合部にろうを押し付けて溶かし、ろうを接合面全体に行き渡らせます。その後ゆっくりと冷まして部品全体を一体化させます。

最後に、フラックスの残滓を除いたり、加熱によってできた酸化膜などを除くために洗浄します。
 

溶接の資格

溶接には、以下のような資格がありますが、それぞれについて以下に解説します。

  • ガス溶接技能者
  • ガス溶接作業主任者
  • アーク溶接作業者
  • アルミニウム溶接技能者
  • PC工法溶接技能者
  • ボイラー溶接士
  • 溶接管理技術者
  • 溶接作業指導者

ガス溶接技能者

ガス溶接を行うときに必要な国家資格で、この資格がないとガス溶接をすることができません。

ガス溶接作業主任者

ガス溶接を行う際の指導者として、従事者に指揮するための資格で、ガス溶接の実務経験を3年以上積むことで受験することができます。

アーク溶接作業者

アーク溶接を行うために必要な国家資格です。

アルミニウム溶接技能者

アルミニウム合金の溶接を行うための専門的知識や、技能を認定する民間の資格です。ガス溶接やアーク溶接よりも難易度が高く、自動車関連の工場などで有利な資格です。

PC工法溶接技能者

PC(プレキャスト鉄筋コンクリート)工法とは建物の基本となる部材を現場で組み立てる工法で、PC工法溶接の技能を溶接協会が認定する民間の資格です。

ボイラー溶接士

ボリラーの製造、改造、修理などに関する溶接をするための資格で、普通ボイラー溶接士と特別ボイラー溶接士の2種類があります。

溶接管理技術者

溶接に関する技術と知識、そして施工計画や作業管理を行う能力を持った技術者を認める民間の資格です。

溶接作業指導者

溶接の現場や指導の役割を果たし、経験豊かな溶接作業者を認定する民間の資格です。

まとめ

今回は、溶接とはどんなものなのか、その種類や特徴、工法などを解説しました。また、溶接に必要は資格についても紹介しました。

  • 溶接とは、2つ以上の材料の接合部に熱や圧力を加え、適当な溶加材を加えながら接合部が連続性のある一体化された1つの部材になるようにする接合方法です。
  • 溶接加工といわれるものは、60種類以上ありますが、その中から大まかに3つに分類されています。
  • アーク溶接で使われる溶接機の電極棒(溶接棒)が溶けるものと溶けないもので分類されていますが、溶融電極式のアーク溶接では、溶ける溶接棒(消耗電極式)を電極として使用します。
  • 溶融電極式でのアーク溶接に対し、溶接機の電極棒(溶接棒)が溶けない非溶融電極式では、溶けない電極棒を用いて溶接を行います。
  • レーザー溶接は、極めて強力なレーザー光を用いて母材を溶かし、2つの材料を接合する溶接方法です。
  • 抵抗溶接は、「加圧溶接」に分類され、アーク溶接などの融接とは異なる溶接方法によって行われます。
  • ろう付けは、高融点のろう材を用いたろう接で、熱源には通常の溶接用のトーチを利用した「トーチろう付け」や高周波誘導加熱を利用した「誘導加熱ろう付け」があります。
  • 溶接の資格には、ガス溶接技能者、ガス溶接作業主任者、アーク溶接作業者など多くのものがあります。

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