接着の原理とポリプロピレンなど素材ごとの接着方法

今回は、接着の原理とはどんなものなのか、機械的結合、化学的相互作用、物理的相互作用の三つの種類について解説しました。また、ポリプロピレン、アクリル板、シリコンゴム、陶器、スタイロフォームといった比較的接着しにくい材質の接着方法についても紹介します。

接着の原理とポリプロピレンなど素材ごとの接着方法のイメージ

接着の原理とは

接着とは接着剤を媒介として、化学的、物理的な力、又はその両方の力によって二つの面が結合した状態と定義されています。

また、接着は二つの物体が接した時に働く、分子を引きつける力によって起こる現象であり、この現象は技術者などにおいては物体を貼り付ける接合法ということで、細胞の働きを理解する上でも興味深いものです。

その化学的、物理的な接着の力として、機械的結合、化学的相互作用、物理的相互作用の三つの種類がありますが、それらを解説していきます。

接着①機械的結合

機械的結合とは、アンカー効果とか投錨効果などといわれ、材料の表面の孔や谷間に液状の接着剤が入り込み、そこで固まることによって接着が成立するという考え方です。

機械的結合では、木材や繊維、皮などの吸い込み性のある材料の接着を説明するときに用いられます。

接着②化学的相互作用

科学的相互作用とは、接着剤と材料の原子同士で、互いの電子を共有することで、化学反応を起こし、そのことによって結合することを説明する場合に適応される考え方です。

接着③物理的相互作用

物理的相互作用とは、分子間力やファンデルワールス力ともいわれ、接着剤と互いの材料との距離が非常に近いことで生じる接着剤の分子と、材料の分子とで引き合う力のことをいいます。

物理的相互作用は、接着剤の基本的な原理でもあります。

ポリプロピレンなど素材ごとの接着方法

接着する場合、ポリプロピレンなど素材によっては、一般的な接着剤ではつかないものもあります。今回は、そんな接着しにくい5つの素材について解説します。

接着しにくい素材には下記の5つのものがありますが、それぞれの接着方法ついて以下に解説します。

・ポリプロピレン
・アクリル板
・シリコンゴム
・陶器
・スタイロフォーム

接着方法①ポリプロピレン

ポリプロピレンやポリエチレンなどはプラスチックの一種ですが、これらのプラスチックには通常の接着剤ではつかないものもあります。

ポリプロピレンには、難接着専用の接着剤を使わなくては接着することができません。家庭用品の大半は、プラスチックの種類が書かれていますから、ラベルなどで確認することができます。

ポリプロピレンがどうして接着しにくいのかというと、その原因に「疎水性」があります。疎水性とは、単純に水を弾く性質だということです。たとえば、フライパンなどに使われているフッ素樹脂は、水を弾く力で玉のように表面を転がりますが、これが疎水性です。

素材が確認できない場合の疎水性の確認は、水槽などに浮かせることができるかどうかで判断できます。その素材が水に浮くようだったらポリプロピレンなどの疎水性のものだといえます。

また、水槽がない場合は、水を軽くかけてみて玉のように弾く素材であれば疎水性のものであり、それ以外に油性ペンで書いたときに、簡単に拭き取れるような素材は疎水性のあるものだと判断できます。

そうした疎水性は液状の接着剤にもいえることで、ポリプロピレンに塗ることで弾かれてしまいますから、そのままでは接着することができません。

ポリプロピレンの素材を接着する場合には、超多用途弾性接着剤や難接着物専用瞬間接着剤などを使用します。

接着方法②アクリル板

アクリル板は、ポリプロピレンと同じでプラスチックの一種ですが、プラスチックの中でも透明度が高く、水族館などではガラスの代わりに使用したりします。

アクリル板を接着する場合は、特殊なアクリル溶剤で溶かしながら接着させます。たとえば、万能ボンドなどでは最初はついたように見えても、すぐに剥がれてしまいます。

水槽などは、ボンドで接着すると次第に漏れてきますが、アクリル溶剤で溶かすことで密着させると水は漏れてきません。

アクリル溶剤には色々な種類がありますが、主な溶剤はクロロホルム、塩化メチレン、エタンといったものがあります。

アクリル板は表面は平らでも、切断面は凸凹がありますから、切断面をまずヤスリなどで磨いてから溶剤を流し込むことできれいに接着できます。

溶剤を流し込むときは、注射器などで押しながら先端の針をずらしていきます。

接着方法③シリコンゴム

シリコンゴムは、安全性や耐熱性などから多くの場面で使用されていますが、難接着性という欠点があります。

シリコンゴムは、一般の接着剤や両面テープなどでは接着できません。ですから、シリコンゴムを接着する場合は、シリコンゴム専用の接着剤を使用する必要があります。

接着方法④陶器

陶器が割れた場合、あまりにも細かく割れているものは残念ながら修復は厳しいようです。ただ、大きく割れているものは接着剤により、接着することができます。

接着方法は、まず接着する面のホコリや汚れを取り除き、水分が残っている場合はよく乾かしてから作業を開始します。

割れた陶器などのカケラをひとつずつ接着剤で固定していきます。一片を接着したら、十分に乾燥させてから次の一片を接着させます。

接着方法⑤スタイロフォーム

スタイロフォームとは、一般住宅などの建物の断熱材として広く使われていて、断熱効果のある材料です。

スタイロフォームは、発泡スチロールの別名ですから、接着剤を使用する場合は発泡スチロール用のものを使用しますが、木工ボンドやシリコンコーキング剤でも接着させることができます。

まとめ

今回は、接着の原理やポリプロピレンなど、比較的接着しにくい材質を接着させる方法などを解説しました。

・接着とは接着剤を媒介として、化学的または物理的な力、又はその両方の力によって二つの面が結合した状態と定義されています

・接着は、化学的、物理的な接着の力として、機械的結合、化学的相互作用、物理的相互作用の三つの種類があります。