心なし研削とは?利点欠点から仕組みまで分かりやすく解説

センタ穴を必要としない研削方法、心なし研削について解説しています。仕組みや特徴など基本的なことから、心なし研削のメリット・デメリット、注意点まで詳しく解説しています。この記事を読むことで、心なし研削について理解でき、製造効率を向上させることが可能です。

心なし研削とは?利点欠点から仕組みまで分かりやすく解説のイメージ

心なし研削について調べていますね?

心なし研削とは、センタ穴を必要としない生産効率の良い研削方法です。

研削精度が一定に保てることなど数々のメリットがありますが、一方で円筒研削と比べて精度が劣るというデメリットも。

そこで本記事では、心なし研削の仕組みやメリット・デメリット、欠陥と対策を紹介しています。

本記事を読むことで、心なし研削がどのような製品に適しているのかがわかりますので、ぜひ参考にしてください。

心なし研削に合った製品を知り、生産性を高めましょう!

心なし研削とは?【円筒形状の製品を研ぐ】

心なし研削とは工作物にセンタ穴を開けず、調整車・研削砥石・工作支持刃の3点で工作物を支えながら研削する方法です。

以下で詳しく見ていきましょう。

1ー1.ピンやパイプに適した研削方法

心なし研削は、ピンやパイプのような円筒工作物に適した研削方法です。

円筒工作物の全長を支持しながら外周を研削できるため、たわみが少なく、円筒型工作物の製造に向いています。

心なし研削の仕組みは以下の通りです。
 

  1. 円筒工作物の下に工作物支持刃を固定し、左右に調整車と研削砥石を配置
  2. 3点で円筒工作物の全長を支えながら、調整車と研削砥石を回転させて工作物の外周を研削

上記のような研削方法のため、心なし研削は、ピンやパイプのような円筒工作物に適しているのです。

心なし研削の利点と欠点【円筒研削との比較】

ここまで、心なし研削の仕組みを見てきました。

次に、心なし研削の利点と欠点を円筒研削と比較しながら見ていきましょう。

心なし研削は研削精度が一定に保てること以外にも利点があり、詳しく知ることで製品のロット数や予算など、条件にあっているかがわかります。

条件に一番あっている研削方法を選ぶことは、無駄のないコストと理想通りの製品を実現するには必要不可欠です。

一方、欠点によって余計なコストがかかったり目的に適さない場合があるため、利点・欠点の両方を把握しておきましょう。

2ー1.利点

心なし研削の利点は以下の2つです。
 

  • 自動供給と組み合わせることで量産に対応できる
  • 研削精度を一様に保つことができる

心なし研削の利点を知ることで、導入する際の具体的なイメージを持つことが可能です。

それぞれの利点について詳しく見ていきましょう。

2ー1ー1.自動供給と組み合わせることで量産に対応できる

心なし研削は自動供給装置との組み合わせで量産に対応できます。

心なし研削では工作物にセンタ穴を開けなくてもよいため、研削盤への取り付けが不要です。

取り付け工程がないので研削加工を連続的に行うことができ、工作物着脱の時間が無くなります。

円筒研削の場合、工作物を研削盤に取り付ける必要があるため、その分の時間が必要です。

心なし研削は複数の工作物を連続的に研削できるため、自動供給装置と組み合わせることで量産に対応できます。

2ー1ー2.研削精度を一様に保つことができる

心なし研削を使えば、工作物の研削精度を一様に保つことができます。

工作物を研削盤に取り付ける必要がないため、取り付け時に生じる誤差がないからです。

円筒工作の場合、取り付けや芯出しが必要のため、工作物ごとの出来に誤差が生まれかねません。

取り付ける手間のない心なし研削は、工作物の研削精度を一様に保つことが可能です。

2ー2.欠点

メリットが多い心なし研削ですが、デメリットもあります。

デメリットを知らずに選択してしまうと、無駄なコストがかかり制作費が高くついてしまうので注意が必要です。

心なし研削のデメリットは2点あります。

・円筒研削に比べて精度が劣る
・工作物の形状に制限がある場合に加工が困難

以下で詳しく見ていきましょう。

2ー2ー1.円筒研削に比べて精度が劣る

心なし研削は、円筒研削と比べると研削精度が劣ります。

円筒研削では工作物にセンタ穴を開けて両側から固定し、工作物に回転する砥石を押し当てて研削・調整することができるため、高精度の加工が可能です。

一方、心なし研削は3点支持で工作物の外周を研削する方法となります。

そのため研削時に微調整が難しく、円筒研削と比べると研削精度が劣るのです。

前述の通り、心なし研削は大量加工に向いているため、一定の研削精度で量産したい場合に選択しましょう。

2ー2ー2. 工作物の形状に制限がある場合に加工が困難

心なし研削は、形状に制限がある工作物を研削する場合、加工が困難です。

3点支持により円筒型工作物を真円に近づける加工には向いているのですが、心なし研削ではキー溝を掘ったり、段付き・R形状研削のような細かい加工を行うことには不向きとなります。

形状に制限のある研削には向いていないため、単純構造物の生産時に心なし研削を利用しましょう。

【画像あり】心なし研削の仕組み

心なし研削の特徴と、利点・欠点を見てきました。

次に心なし研削の仕組みを種類ごとに紹介しましょう。

心なし研削には、2つの種類があります。
 

  • インフィード研削
  • スルフィード研削

仕組みを知ることで、どのように研削するのかが分かりますので、確認しましょう。

3ー1.インフィード研削

インフィード研削は、工作物・工作支持刃・調整車の位置関係を保ったまま、高速回転する研削砥石に切り込む研削方法です。

工作物はブレードと調整砥石で支えられ、正確な回転が与えられます。

(出典:センタレス研削とは?造円作用の原理・成円機構の仕組み

研削砥石・工作支持刃・調整砥石の3点に、工作物の外周が接することで、工作物の断面は最終的に真円に近づいていきます。

上記が工作物・工作支持刃・調整車との位置関係を保ったまま研削を行うインフィード研削です。

3ー2.スルフィード研削

(出典:センタレス研削とは?造円作用の原理・成円機構の仕組み

スルフィード研削は、工作物が工作支持刃と研削車で支持され、研削車によって回転と推力を与えられながらブレード上を通過して研削する方法です。

工作支持刃に対して研削車軸が一定の角度だけ傾けられています。

工作物はグリップ力のある研削車によって推力を与えられながらブレード上を進むのです。

調整砥石の回転が早く、調整砥石軸の傾斜角度が大きいほど、加工物は大きい速度で送られます。

上記が研削車によって回転と推力を与えられながらブレード上を通過して研削を行うスルフィード研削です。

押さえておこう!心なし研削のポイント

ここまで心なし研削の仕組みを見てきました。

次に心なし研削を行う際のポイントを見ていきましょう。

ポイントを押さえておくことでうまく心なし研削を行うことができ、欠陥のある工作物を最小限に抑えることができます。

それでは見ていきましょう。

4ー1.砥石軸に対して平行を保ちながら被削材を送り込む

心なし研削を行う際、砥石軸に対して平行を保ちながら被削材を送り込むことが大切となります。

研削機に送り込み始める段階では工作物が固定されておらず、自由に動くので正しい円筒にならないからです。

工作物が動かないよう研削速度を調整し、平行を保ちながら被削材を送り込むようにしましょう。

気をつけて!心なし研削で起こり得る欠陥と対策

心なし研削は、シンプルな加工方法で量産に適しています。

しかし構造がシンプルだからといって、注意点がないわけではありません。

万能の技術という訳ではなく、注意点を守らなければ粗悪品を製造してしまいます。

心なし研削の注意点は以下の4つです。
 

  • びびり
  • ワーク精度不良
  • きず・送りマーク
  • 砥石の破損

それでは、詳細を見ていきましょう。

5ー1.びびり

1つ目の欠陥は、びびりです。

びびりには、以下の原因・対策があります。
 

原因 対策
研削砥石が合っていない 粒度の粗い研削砥石を使用する
結合度が柔らかい研削砥石を使用する
研削砥石の回転軸が釣り合うようにホイールの重さ・形状のバランスを調整する
研削速度・通過速度が適切でない 研削砥石の切り込み速度を調整する
工作物の通過速度を調整する
目直しができていない 研削砥石の砥粒の突き出し量を調整する

5ー2.きず・送りマーク

2つ目の欠陥は、きず・送りマークです。

きず・送りマークには、以下の現象・原因・対策があります。
 

現象 原因 対策
すじやきず 工作支持刃の不整備
研削砥石が合っていない
工作支持刃の研磨
研削砥石の結合度・粒度を調整
 
規則性のない螺旋状のきず 工作支持刃の不整備
目直しができていない
工作支持刃の研磨
研削砥石の砥粒の突き出し量を調整する
規則性のある螺旋状のきず 目直しができていない 研削砥石の砥粒の突き出し量を調整する

5ー3.ワーク精度不良

3つ目の欠陥は、ワーク精度不良です。

ワーク精度不良には、以下の現象・原因・対策があります。
 

現象 原因 対策
真円度不良 研削砥石が合っていない
研削速度・通過速度が適切でない
研削砥石の結合度・粒度を調整
研削砥石の切り込み速度を調整する
工作物の通過速度を調整する
円筒度不良 調整車が合っていない 調整車の傾斜角度を調整する

5ー4.砥石の破損

4つ目の欠陥は、砥石の破損です。

砥石の破損には、以下の現象・原因・対策があります。
 

現象 原因 対策
半径方向に3個以上の破損 不適切な研削作業が行われている 切り込みのかけ過ぎ・研削液不足による加熱を防ぐ
最高使用周速度を超えないようにする
半径方向に2個以上の破損 不適切な研削作業が行われている 砥石側面を過度に使用しない

心なし研削にお困りの場合は鋼の専門商社へ相談もアリ!

心なし研削で希望する製品が作れるのかお悩みの方は、プロに相談しましょう。

心なし研削は、作業技術のレベルが精度に大きく影響する研削方法です。

納得できる製品をつくるためにも、実績と技術のある会社への相談をオススメします。

6ー1.クマガイ特殊鋼株式会社

クマガイ特殊鋼株式会社では、豊富な加工技術でニーズに合った加工方法と鋼材の提案ができます。

クマガイ特殊鋼株式会社は100年以上の歴史があり、心なし研削に対する経験や知識も豊富です。

業界の長い歴史で培われた基盤と幅広い知識を元に、心なし研削に対応可能な知識と技術を有しています。

目的にあった素材の選定や、精度の高い設計に自信がない場合はクマガイ特殊鋼株式会社に相談しましょう。

まとめ

心なし研削とは、センタ穴を必要としない生産効率の良い研削方法になります。

センタ穴を開けないので研削盤に工作物を取りつけなくて良いことが特徴です。

自動供給と組み合わせることで大量生産に対応できること、研削時のたわみが少なく精度が一定に保たれることなどがメリット。

一方、円筒研削に比べると精度が劣るため、高精度が求められる工作物には向きません。

もしも研削についてお困りでしたら、ぜひクマガイ特殊鋼株式会社にご相談ください。

プロとしてきめ細かいサポートを約束します。