ローレット加工とは?工具/旋盤/平面など加工方法

ローレット加工ってどんな加工方法?ローレット加工に使うのは旋盤とローレット加工を施す専用の工具です。それらを用いる事で平面加工、あや目加工といった金属表面の滑り止め加工を行う事ができます。金属表面は滑りやすいため、滑り止め加工が必要になる機会は多いです。

ローレット加工とは?工具/旋盤/平面など加工方法のイメージ

目次

  1. 1ローレット加工とは?
  2. 2ローレット加工は旋盤や工具を使う方法
  3. 3ローレット加工方法のメリットとデメリット
  4. 4ローレット加工方法の注意点
  5. 5まとめ

ローレット加工とは?

ローレット加工とは

金属に細かいギザギザの凹凸加工を施してあるものを見たことは無いですか?滑り止めの役割を果たす加工がローレット加工です。

普段、あまり気にするところではないかもしれませんが、ローレット加工を施したものは意外と身の回りにあるものです。普段から金属加工に携わっている方なら、目にする機会は多いはずです。ちょっとした工具や測定器、加工機械のハンドルなどにローレット加工が施されていないでしょうか。

ローレット加工は、金属部品における使用者への思いやりの部分でもあります。「ここに滑り止めがついていれば使いやすいかな?」といった使用者への優しさです。圧入部品の食い付き向上などの用途で使う場面もありますが、基本的には滑り止めや使いやすさに焦点をあてる場合がほとんどです。

本記事でローレット加工について知る事で、金属加工技術者の優しさがわかるようになると思います。普段から金属に携わるお仕事をしている方は是非、引き続き読んでみてください。
 

別名はナーリング

金属の表面にギザギザを付けるローレット加工は、別名「ナーリング」と呼ばれる事があります。ローレットとは、フランス語のルレット(小さな輪や小さくてまわるもの)を語源としていますが、同じ意味で英語表記するとナーリングとなります。呼び方は違っていても、同じ加工方法の事を指します。

ローレット加工の特徴

ローレット加工は旋盤を用いて行う加工方法です。そして、その方法は大きく2つの種類に分けることができます。切削加工と転造加工です。この加工方法の違いによって加工における特徴というのは変わってきますので、後ほど個別に詳しく解説します。

ローレット加工の役割

冒頭では「ローレット加工は製品使用者への気遣いですよ。」と解説しました。もう少し具体的にローレット加工の役割を再確認しておきましょう。

ローレット加工はネジの頭やハンドル、工具などに加工が施されています。この理由は、使用時に手が滑りにくくするためです。

手で絞めたり緩めたりする簡易的なネジの場合、表面が光沢のあるツルツルの表面だと手が滑って緩める事が困難です。工具が必要になるかもしれません。しかし、ローレット加工で滑り止め加工(平面加工)が施されていれば、素手でも力を加えやすく、しっかりと簡易ネジとしての役割を果たす事ができます。

もう一つの役割は、回り止めや剥落の防止として効果がある事です。金属のはめ合い公差のもと、圧入する部品が存在するのですが、場合によっては圧入した部品が抜け落ちてくる場合があります。その原因については割愛しますが、ローレット加工が施されていればそういったトラブルを防ぐことができます。

わかりやすく言えば、なめらかな表面の穴に、なめらかな棒を圧入するよりも、ギザギザのローレット加工を施した棒を圧入する方が摩擦が大きくなり、金属表目の食い付きが良くなります。そのため、場合によっては使用者への気遣いと言うよりは、製品の品質を高めるうえでローレット加工が施される場合がある事を覚えておきましょう。
 

ローレット加工が使われる物

金属加工に携わった事が無い方にもわかるように、身近な使用例をいくつか挙げたいと思います。

例えば、まずはライターです。昔から存在するガスライターにはギザギザの付いた車輪(正式名称は横車)が取り付けられています。この小さな車輪のギザギザもローレット加工によって加工が施されています。この車輪にギザギザ(平面加工)がもしついていなかったらどうなるでしょう。車輪を回す事は出来ず、簡単に火をつける事は出来ませんね。

もう一つ例を挙げると、筋トレに必須のダンベルです。みなさんも一度くらいダンベルというものを触った経験はあるのではないでしょうか。ダンベルのシャフトにはギザギザが付いていませんでしたか?ダンベルを使って筋トレしたことがある方ならシャフトの滑り止めが大切なのはわかりますよね。

汗をかいた手でなめらかな表面の金属を持つのは危険です。手が滑って足に落下すれば骨折するかもしれません。重量のあるダンベルであれば、なおさらリスクが伴います。しかし、ローレット加工が施されている事で、手が滑るかもしれない不安を大きく解消し、筋トレに打ち込む事ができるようになります。

身近な例を紹介しましたが、工具を使わず簡易的に製品を使いたい場合や、滑り止めの役割を果たし正確で安心感のある仕事をするために活用されていると言えるでしょう。ギザギザの模様によって、平面加工、あや目加工といった具合に加工名称が付けられています。

ローレット加工は旋盤や工具を使う方法

ローレット加工と旋盤

ここからはローレット加工について解説していきます。ローレット加工は旋盤を使用しておこないます。旋盤にローレット加工を施したい素材をセットし、切削ローレット及び転造ローレットのいずれかを使用して加工を行います。

旋盤は円柱上の素材を回転させる機械です。円柱状の素材を回転させながら、ローレット工具を素材に押し当てる事で加工を行う事ができます。

ローレット加工の平面とあや目

詳しく加工方法について解説する前に、ローレット加工の代表的な加工方法について紹介しておきます。
 

  • 平面加工
  • あや目加工

平目加工

平目加工は、歯車のような形状に表面を加工する方法です。円柱に対して細かい溝を同一方向に並べた形状になります。ガスライターの車輪が平面加工の良い例となります。ねじの頭などにも平面加工はよく用いられます。工具を使用しない簡易ネジを使用する際には、ギザギザの模様を見てみてください。ほとんどが平面加工が施されているはずです。

あや目加工

あや目加工は、直角に交差する二方向の溝を網目状に加工する方法です。先ほど紹介したダンベルのシャフトはこのあや目加工が施されています。滑り止めとしての効果が大きく、ハンドルなどにもよく使用されます。

ローレット加工方法の種類

ローレット加工の方法は切削加工と転造加工の二つの方法がある事は解説しました。そして、どちらの方法でも、先ほど解説した平面加工、あや目加工のどちらも加工する事が可能です。ここではまず、ローレット加工における「切削加工」と「転造加工」の違いについて知っておきましょう。なお、どちらの加工方法であっても平面加工、あや目加工、どちらもおこなう事が可能です。

ローレット加工方法(切削)

切削加工は、旋盤に切削ローレットを取り付けて加工を行います。切削加工という事でローレットコマを押しあて、素材を削り表面を加工します。表面を削るため、機械的負荷は小さいです。余分な肉余りが発生する事は無いので、外形の盛り上がりはほとんど無く、外観や機能性を損なう心配はありません。

切削加工向けの素材としては、ステンレスや鉄、鋳鉄、アルミなど比較的幅広く対応可能です。

ローレット加工方法(転造)

転造加工は、旋盤に転造ローレットを使用して加工を行います。転造ローレットは、素材に強く押し当てる事で凹凸を転写する加工方法となります。切削加工を施すわけではないので、簡単に短時間でローレット加工を行う事ができます。しかし、転造時の肉余りにより、外形の乱れが発生する場合があります。凹凸の凸部分に肉余りが流れる事で素材径よりも径が大きくなる特徴があります。

真鍮、銅、鉄など比較的柔らかい素材が転造加工に向いています。加工方法によって、適した素材が変化する事も覚えておかなければなりません。

ローレット加工方法のメリットとデメリット

ローレット加工のメリット・デメリット

ここからはローレット加工方法である「切削」と「転造」におけるそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。どちらの方法を選択するのが良いのか判断する際に役に立つ知識になります。使用する素材の性質、コスト、精度、総合的に判断して加工方法を選択しましょう。それでは順番に見ていきましょう。

ローレット加工方法(切削)のメリット

切削ローレットを用いた加工方法のメリットは以下の通りです。
 

  • 無理な力を加える必要がないため、加工機械(旋盤)や素材への負荷が小さい。
  • 剛性の弱い素材の加工も可能。(中空材、細長い材料など)
  • 肉余りによる径や端面の乱れが少ない。

切粉が発生する切削加工方法ですが、強く押し付ける必要が無いため、転造に比べ機械負荷はかなり小さくなります。そのため、素材に加わる応力も小さいため、中空素材や細長材など剛性の小さい素材の加工も可能になります。また、転造に比べ肉余りが発生する事は無いので、外形の乱れはほとんどありません。

ローレット加工方法(切削)のデメリット

切削ローレットを用いた加工方法のデメリットはこのようになります。
 

  • 素材の元々の径よりも小さくなる。
  • 段差がある素材の場合、段差の際まで加工する事はできない。
  • 安定した品質を確保するために管理が必要。

このような感じになります。切削ローレットは素材の元々の径よりも若干小さく仕上がる特徴があります。場合によってはメリットと受け取れる場合もありますが、今回はデメリットとして紹介させて頂きました。また、ローレット工具が素材と干渉する場合は際まできれいにローレット加工を施す事はできません。工具が干渉しない程度の段差であれば問題ないですが、フランジ形状のような場合は工具が先に干渉するので危険です。

切削ローレットは切り刃なので、徐々に切れ味は悪くなります。大量生産の現場では、安定した品質を確保するために定期的な工具交換や点検などが必要になってくるでしょう。
 

ローレット加工方法(転造)のメリット

転造ローレットを用いた加工方法のメリットは以下の通りです。
 

  • 加工に掛かる時間が短い。
  • ツールコストを安く抑える事ができる。
  • 素材に段差があっても、際までローレット加工を施す事ができる。

このような感じになります。転造ローレットは短時間で加工を施す事が可能です。素材に転造ローレットを押し付けるだけの簡単な加工なので、煩わしさはありません。それから、転造ローレットは比較的シンプルな構造となっており、部品点数は少ないです。そのため、工具は比較的安価で購入する事ができます。

もう一つの大きなメリットは、段差の際までローレット加工をおこなう事が可能な点です。切削ローレットでは工具の干渉により加工できない場合でも、転造ローレットであれば加工する事ができます。

ローレット加工方法(転造)のデメリット

転造ローレットを用いた加工方法のデメリットはこのようになります。
 

  • 条件によっては機械や素材に負荷が掛かる。
  • 素材の元々の径よりも大きくなる。

転造は、素材に転造ローレットを押し当てる事でローレット加工を行うため、加工機械と素材の両方に強い応力を掛けてしまいます。旋盤の剛性も大切ですが、無理に転造ローレットを素材に押し当てる事で、素材そのものが痛む可能性もあります。加工時の条件による部分も大きいですが、転造ローレットは機械と素材に厳しい加工方法です。

それから、転造ローレットの場合、転造後の直径は元々の径よりも大きくなります。理由は、転造加工時に発生した肉余りが凹凸の凸部分に集中し、直径を大きくするからです。金属に凹みを与えると、その分他の部位が凸するものです。ローレット加工における凹凸で肉余りを処理してくれる分には良いのですが、素材の端面などに歪みが発生する可能性もあります。

加工は簡単に、短時間で終わらせることができますが、加工時の外形のゆがみには注意が必要になります。
 

ローレット加工方法の注意点

ローレット加工の注意点

ここまでローレット加工について解説してきましたが、実際にローレット加工を行うと、模様が二重になったりなど、うまくいかない場合が出てくると思います。あなた自身がローレット加工を行う事を検討している場合、知っておきたい注意点をいくつか解説しておきたいと思います。今は役に立たない情報かもしれませんが、本記事ではこんな事を言っていたな、と後から思って頂ければ良いと思います。

ローレットの模様をキレイに出すための注意点

  • 素材の外形とローレットのコマ、ピッチが合っているか確認する。
  • 素材やローレット工具の固定は確実に行う。
  • 旋盤上で、コマと素材の位置関係(中心位置)が合っているか確認する。

このような注意点があります。ローレット加工は、素人が実施してすぐに出来るようになるほど簡単でもありません。はじめは試験加工を行い、どうすれば上手く加工できるのか練習した方が良いでしょう。その際に、模様が二重になるという事はよくあります。素材の外形とローレットのコマが合っていなければ二重の模様になって当然なので、事前に確認し、外形を調整しておく必要があります。

また、二点目の「固定は確実に」という事に関しては、押し込んだ際に固定が弱く、力が逃げる事で模様がずれる場合があるからです。二つのコマを使用する場合、コマの同期がとれていないと模様のトラブルが発生します。二つのコマがしっかりと素材に密着するように注意しなければなりません。

三点目の素材とコマの位置合わせに関しても同じ意味合いです。単一のコマのローレット加工よりも、二つのコマを用いたローレット加工の方が難しいので、特に注意してください。
 

まとめ

まとめ

今回は「ローレット加工とは?工具/旋盤/平面など加工方法」という内容で解説させて頂きました。「ローレット加工ってどんな加工?」「ローレット加工の特徴は?」といった疑問は解決できたのではないでしょうか。

ローレット加工は、製品を使用する人への思いやり加工である事が分かったと思います。身近な使用例も紹介しましたし、工場などで使用する機械や工具などにもローレット加工が施されている場合は多いです。

そのローレット加工にも種類がある事を解説しました。切削加工と転造加工です。この二つの加工方法の選択によって、加工における特徴や注意点というのは変わってきます。素材、コスト、精度など、総合的に判断して最適な加工方法を選んでください。

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