シャーリング加工とは?マシンの種類や違いを解説

シャーリングってどんな加工?このような疑問を解決します。シャーリング加工は金属加工業にとって、とても大切な作業です。適切に使用する事によって作業効率を大幅に向上させることができます。加工に必要なシャーリングマシンの種類や特徴についても解説します。

シャーリング加工とは?マシンの種類や違いを解説のイメージ

目次

  1. 1シャーリング加工とは?特徴や用途
  2. 2シャーリング加工マシンの種類
  3. 3シャーリング加工マシンの違い
  4. 4まとめ

シャーリング加工とは?特徴や用途

シャーリング加工とは

あなたはシャーリング加工をご存じですか?
「聞いた事はあるけれど、よくわからない。」そういった方の為にシャーリング加工について詳しく解説していきます。

鋼板を扱う金属加工、鉄工所、プレス工場などでシャーリング加工は必要とされます。みなさんも金属を扱う職場で働いているのであれば、触れ合う機会があるかもしれません。

簡単に、短時間で、鋼板をキレイに切断するシャーリング加工は作業をスムーズに進める手助けをしてくれることでしょう。

シャーリング加工とは

シャーリング加工とは、任意の寸法材料を切り出す加工のことです。主にシャーリングマシン(せん断機)を使用して加工を行います。

シャーリングマシンは上刃と下刃があり、材料をそれぞれの刃で挟み込むように切断していきます。イメージしやすいのは、紙をカットするハサミです。ハサミの動きをシャーリングマシンで再現するために、上刃には角度(シャー角)が付けられています。

実際に切断すると一瞬で加工が終わるのですが、材料の端から順番に上刃が食い込んでいく動きをします。この角度が付いた上刃のおかげで鋼板を直線的にカットする事が可能になり、小さな力でも鋼板を切断する事が可能になります。

とても強度の高い刃が取り付けられているので、ステンレス鋼板なども一瞬でカットする事が出来ます。そのため、任意の寸法で材料取りを行う際には、短時間で作業を行う事が可能になります。

シャーリング加工の特徴

シャーリング加工の大きな特徴は、鋼板を切断した際に「ダレ」や「バリ」が発生することです。

シャーリング加工は、鋼板を上下の刃で挟み込んで切断するのですが、上下の刃はハサミのように隙間が無い状態ではありません。クリアランスといって上刃と下刃が噛み合った状態でわずかな隙間が設定してあります。

この隙間がある理由は、刃の寿命を延ばす事、鋼板切断時のダレとバリを最小限に抑える事などがあります。

上下の刃で鋼板を切断加工するプレス金型でもわずかなダレやバリは発生します。シャーリング加工も使用する機械は違えど、同じ原理で鋼板を切断するので、切り出した鋼板にはダレとバリが存在する事になります。鋼材の厚み、種類によって適切な隙間(クリアランス)は違うので、使用する鋼板に合わせて調整が必要になります。

(ダレとは、鋼板の上面切断部の角が丸くなる事です。バリとは、鋼板の下面切断部が尖った状態になる事を指し、手を切傷する危険もあります。)

シャーリング加工の用途

シャーリング加工の代表的な使用用途は、大きな一枚の鋼板から、必要なサイズを切り出すために使用されます。

鋼板の切り出し方法は様々ですが、シャーリング加工はダレやバリが小さく、切断面がキレイなので次工程での作業を短縮する事が出来ます。

例えば、ガス切断で切り出した鋼板を次工程で溶接作業する場合には、切断面を整える作業が必要になります。グラインダー等を使用する事になりますが、かなり時間が掛かってしまいます。その点シャーリング加工であれば、切断した鋼板をそのまま溶接する事(製品によります。)も可能になります。

シャーリング加工は、作業の手間を大きく削減してくれるため、作業コストを抑えるために様々な金属加工の現場で活躍しています。


 

シャーリングと他加工方法の違い

シャーリング加工は、鋼板を必要なサイズに切り出す為に使用されると解説しましたが、材料の切り出しに使用されるのはシャーリング加工だけではありません。

レーザー加工やコンタマシン、ガス切断なども材料の切り出しに使用されます。それぞれの加工方法とシャーリング加工を比較した場合、どのような違いがあるのか簡単にまとめてみました。
 

レーザー加工

シャーリング加工は、直線的に鋼板を切断する事に特化した加工方法です。一方、レーザー加工は、複雑な形状や円弧上に鋼材を切断する事が可能です。

シャーリング加工は、鋼板を切断するための段取り作業が少なく、すぐに実作業に移る事ができます。加工に掛かる時間も短く、テンポよく作業を進める事ができます。

レーザー加工では、鋼板のセッティングやデータ入力の手間が発生します。しかし、レーザー加工以外で同じ加工を行う事を考えるとかなり時間が掛かるため、短時間で複雑な加工を行ってくれる優秀な機械だと言えます。

どちらの加工も作業コスト低減に大きな効果が見込めるので、シャーリング加工とレーザー加工、必要な材料・加工に合わせて使い分ける事が大切です。

コンタマシン

コンタマシンは、自分の任意の形状に鋼板をカットできる利点があります。精密性が必要ない部材で円弧や複雑な形状を作りだしたい時に重宝する機械です。

シャーリング加工では難しい厚みのある鋼材の切断も可能になります。切断には当然時間が掛かるのですが、刃によっては40㎜程度の厚みのある鋼材を切断する事も可能です。ダイス鋼などの特殊鋼、合金鋼を切断できる切り刃も存在するため、活躍の機会は多いです。

ただし、バリや切断面のガタツキなどを整える必要はあります。あくまで材料取りであって、仕上げ加工が必要になります。

ガス切断

ガス切断は、最も切断可能板厚が広いです。最大切断可能板厚は3千㎜だと言われています。鉄骨造や解体現場、鉄工所など様々なところで活躍しています。

切断の原理として、熱した鉄に酸素を吹き付ける事によって鉄を酸化させ、燃焼を促進させる化学反応を利用しています。そのため、ステンレスなど酸化しにくい素材を切断する事には向きません。

一方、シャーリングでは、切断可能板厚の制限はあるものの、強靭な切断刃により、ステンレスも一瞬で切断する事が可能です。

また、仕上がりについてですが、ガス切断は技術者の技能レベルに大きく左右されます。しかし、シャーリング加工であれば、一定の知識・経験があれば誰が加工しても同じように切断する事が可能です。
 

シャーリング加工マシンの種類

シャーリング加工マシンの種類

ここまでシャーリング加工について解説してきました。ここからはシャーリング加工を行う機械について解説していきます。

シャーリング加工マシンを大きく分けると「油圧式」と「メカ式」の2種類があります。それぞれ特徴が異なるので、覚えておくと良いでしょう。

油圧式のシャーリング加工マシン

油圧ポンプの力で切断刃を動かすタイプです。油圧駆動により安定した圧力が加わるため、厚板(6㎜以上)の切断にも対応する事ができます。

ただし、メカ式よりも加工スピードは落ちます。スピードが落ちても加圧力は安定しているので切断時の衝撃は小さく済みます。油圧式は振動や騒音が少なく、メカ式に比べ切断刃の寿命も長くなります。

 

メカ式のシャーリング加工マシン

メカ式(機械式)のシャーリングマシンは、回転するフライホイールの力をクラッチで伝達させることで切断刃を駆動させます。

油圧式に比べると、メカ式の方が構造がシンプルなのでメンテナンスが簡単です。加工スピードは速いですが、油圧ほど加圧力が安定しないので厚板の加工には向きません。
薄板を効率よく加工したい場合に使用される事が多いです。

シャーリング加工マシンの違い

シャーリング加工マシンの違い

あなたの工場にシャーリングマシンを導入する前に知っておきたい、という事に焦点を当て、油圧式シャーリングマシンとメカ式シャーリングマシンの違いにについて解説します。
 

  • 価格
油圧式に比べ、メカ式のシャーリングマシンの方が安価で購入できます。
 
  • 生産性
一般的にはメカ式の方が加工スピードは速くなり、油圧式は厚板の加工は可能だが、加工スピードは落ちる、という特徴があります。しかし、サーボシャーリングという機械も存在します。サーボシャーリングはストローク途中で速度を変える事ができます。無負荷時のスピードは速くし、加工時のスピードは落とす、といったことも可能になるので量産時の作業効率上昇が見込めます。
 
  • メンテナンス性
メカ式の方が構造がシンプルなので油圧式よりも簡単です。不具合が発生した場合のメーカー対応も比較的短時間で済む事が多いです。一方、油圧式の場合、油漏れなどの不具合が発生した場合の修理は大掛かりになる場合があります。常日ごろから日常点検を確実に行い、油漏れや作動油の確認を行うようにした方が良いでしょう。

性質上加工刃の寿命が長くなるのは油圧式の方です。サーボシャーリングはこの点においても大きなメリットがあるとは言え、メカ式よりも切断刃の寿命が長くなります。

まとめ

シャーリング加工まとめ

「シャーリング加工ってどんな加工?」「使う機械にはどんな種類や違いがあるの?」こんな悩みは解決したのではないでしょうか。

シャーリングマシンは、鋼板を加工して製品を製造する現場では必須のマシンだと言えます。実際の現場では、シャーリングマシンでは対応できないものも当然出てくると思いますが、それでも直線的な切断加工が必要になる場面はかなり多いはずです。

シャーリングマシンを適切に使用する事で作業効率UPに大きく貢献する事が可能になります。

シャーリングマシンにも種類があり、それぞれの特徴や違いについても解説しました。新しくシャーリングマシンを導入する場合でも、現在使ってるシャーリングマシンを使いこなす場合においても、機械の特徴や違いを知っておかなければ適切に使う事は出来ません。

そういった意味で、本記事の内容があなたにとって少しでもプラスになったのであれば幸いです。

関連するまとめ