3D樹脂プリンタ積層造形とは?造形方式の違いや仕組み、強度などを解説

3D樹脂プリンタとはどんな装置なのか、積層造形の仕組みや光造形の仕組み、3Dプリンタの材料や強度についてまとめました。また、3Dプリンタを発明したのは日本人ですが、どうして審査請求できなかったのか、3Dプリンタのさまざまな用途なども紹介します。

3D樹脂プリンタ積層造形とは?造形方式の違いや仕組み、強度などを解説のイメージ

目次

  1. 13Dプリンタとは
  2. 23D樹脂プリンタとは
  3. 33D樹脂プリンタの歴史
  4. 43D樹脂プリンタ積層造形の仕組みと方式
  5. 53D樹脂プリンタ積層造形以外の方式
  6. 6まとめ

3Dプリンタとは

3Dプリンタとは、3DCADの設計データ(STLデータ)をもとにスライスした2次元の層を1枚ずつ積み重ねることで、立体造形することができる機器を総称したものです。

一般的に、プリンタと呼ばれる機器は、紙などの平面にインクを吐出し、文字や図を印刷するものですが、3Dプリンタは液体樹脂に光を当てて除々に硬化させたり、一定の温度で熱溶解させた樹脂を積み重ねたりします。

また、粉末状の材料に高出力レーザーを照射して焼結させるなど、さまざまな技法によって材料を積み上げて立体的な形を作り上げていきます。

3Dプリンタは、製品試作や建築・建設模型など、さまざまな業界で幅広く使われています。
 

3Dプリンタの仕組み

通常のプリンタは、A4などの紙にインクを使用して印刷をする機械を想像すると思いますが、3Dプリンタは樹脂を削ったり蓄積させて、立体的な印刷が可能な機械です。また、金属などを蓄積させて作る3Dプリンタもあります。

3Dプリンタは、下から上に形状を積み上げるといった積層造形の特徴があり、切削加工などの従来の加工方法と違って製作プロセスの制約は受けにくく、なめらかな曲面や中空など自由な形状が作れるという特色もあります。

3Dプリンタで立体物を作成するためには、おおまかに以下の手順が必要です。
図面などで3Dデータを用意
3Dプリンタにデータを取り込む
3Dデータから薄い断面形状のデータ(スライスデータ)を層の数だけ作って1枚ずつ造形

また写真や画像など紙の上に、鉛筆や絵の具で描いた平面の絵を取り込んでも3Dプリンタで作成はできません。

またデータは3D-CGソフトや3D-CADで作りますが、3D-CADで作った3Dデータは、そのままでは3Dプリンタには適さないため、「STL」や「OB」などの3Dプリントに適したポリゴン系のデータ形式に変換する必要があります。

使用する材料には、装置メーカーが販売している純正のもの、または3Dプリンタ向けの汎用材料を使用します。3Dプリンタは、どんな材料でも造形に使えるわけではなく、使える材料は限定的です。

また、3Dプリンタによっては、純正の材料でしか対応していないものもあります。

3D樹脂プリンタとは

3D樹脂プリンタはとは、造形する為の素材に樹脂を使った3Dプリンタであり、3D-CADなどを使用して立体的な図面を作成し、造形する為のプリンターです。

3Dプリンタで使うことができる材料は、年々進化してきていますが、たとえば、現在販売されている家庭用の3Dプリンタでは、利用できる材料は「ABS樹脂」と「PLA樹脂」です

また、最近では3Dプリンタでiphoneを車内に取り付ける車載器や車のオブジェなど様々なものが作成されています。
 

3D樹脂プリンタの仕組み

現在の3Dプリンタといえば、大半が3D樹脂プリンタであり、家庭用3Dプリンタの材料には以下のABS樹脂とPLA樹脂が主流となっていますが、それぞれについて以下に解説します。

  • ABS樹脂
  • PRA樹脂

ABS樹脂

ABS樹脂は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの頭文字をとったものです。ABS樹脂は、表面光沢にすぐれていますし、着色することもできるため、デザインを含む外観部品に適した樹脂です。

また、比較的に強度も高く、粘りもありますから、力が加わるものにも適応されています。
 

PRA樹脂

PRA樹脂は、植物由来の成分であるトウモロコシ、ビート、イモ類、サトウキビなどで作られていますが、プリント中は樹脂独特の匂いも発生しません。

プリントするときの樹脂温度はABS樹脂よりも低いため、高温に弱いという欠点があります。そのため、弾力性がなく固いという特徴があります。

PRA樹脂は固いため、サンドペーパーやヤスリなどで表面がけすることが難しく、塗料も馴染みにくいというデメリットがあります。

しかし、材料が固くて粘り強いことから、大型の造形物を作るのに適しています。
 

業務用として使われる樹脂

身の回りの工業製品に樹脂は使用されており、その中でも樹脂はテレビ、車などにも使用されています。3Dプリンタで使用される樹脂には、「ABSライク樹脂」や「PPライク」があります。ABSライク樹脂もPPライクも共にエポキシ系の紫外線硬化樹脂で、紫外線を当てて硬化する光造形法で使われる樹脂です。

3D樹脂プリンタの用途

3D樹脂プリンタは、企業などで試作品を開発し、その製品を手に持って感覚を確認したり、外観イメージを確認するために使用します。また、デザインプレゼンテーションでも活用することができます。

その他、小ロットの量産品の原型にも利用できますし、可動性のある製品の動作検証やパーツの嵌合などを確認するのに使われます。また、その他機械部品などのさまざまな試作に利用されています。

さらに、3Dプリンタは試作だけでなく、実製品の部品製造のためにも利用されています。特に金属粉末焼結3Dプリンタは、ジェットエンジン用の部品や医療用インプラントなど、工業製品の製造にも使われています。
 

3D樹脂プリンタの歴史

3D樹脂プリンタの歴史

3Dプリンタはもともと工業用として、自動車や家電製品の部品をサンプル化するために利用されてきました。しかし、特許が切れたことなどから低価格化が進み、近年急速に普及してきました。

3Dプリンタは、1990年代では1000万円以上するような高価な装置でした。また当時は、3Dプリンタという名称ではなく、ラピッドプロトタイピング(RP)と呼ばれていました。ラピッドプロトタイピングとは、「早く試作する」という意味です。

しかし、かなり高価格の装置でしたから、個人や零細企業での導入はきびしく、大半は大企業の商品開発部門や試作を専門とする業者などで使われていました。

また、3Dプリンタを考えついたのは日本人でした。1980年に名古屋市の工業研究所の児玉秀男さんによって開発され、小玉氏は特許を出願していましたが、当時は日本国内で実用化に興味を持つ企業がありませんでした。

小玉さんは、審査請求をしないまま留学していましたが、出願審査請求の期限である7年が過ぎたために請求権が失効してしまいました。

小玉さんによる3Dプリンタの審査請求権が失効した1987年に、アメリカのチャック・ハル氏が3Dプリンタの基本特許を取得し、世界最大の3Dプリンタ会社である「3D Systems」を創業することとなりました。

また、2009年に特許取得後20年が過ぎたことで、3Dプリンタの低価格化が実現し、家庭用の3Dプリンタが一気に普及し始めました。

2012年には、アメリカの「3D Systems」によって、個人向けの3Dプリンタの「Cube」を発売しました。

2013年には、アメリカの元Wired編集長であるクリス・アンダーソン氏によって「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる」という本を出版しています。その本がベストセラーになったことで、3Dプリンタのブームが起こるきっかけとなりました。

それまでは企業レベルでのみ独占的に販売されていた3Dプリンタでしたが、個人レベルで購入できるようになりました。その頃から多数のメーカーが参入し、趣味でものづくりをしている一般ユーザーでも、手頃な価格で3Dプリンタを入手できるようになり、多数のメディアにも取り上げられるようになりました。

3Dプリンタは、まだまだ製造できる商品が限定されていますが、技術は日進月歩で進化しています。
 

3D樹脂プリンタ積層造形の仕組みと方式

3Dプリンタの手法を大きく分類すると、主に以下のような4つの種類に分けられますが、それぞれについて解説します。

  • 材料押出堆積法(FDM)
  • 光造形法(SLA、DLP)
  • インクジェット
  • 粉末焼結積層造形

材料押出堆積法(FDM)

ABS樹脂やPLA樹脂といった熱可塑性樹脂を融解させ、0.1~0.8mmの細いノズルの先端から溶解した樹脂を吐出して積層する方法です。

FDM方式は、2013~2014年頃に起きた3Dプリンタブームの火付け役となり、家電量販店でも販売されるようになりました。

それまでの3Dプリンタは産業向けの加工装置のみでしたが、FDM技術の基本特許が2009年に失効したため、廉価な機種が多く売られるようになりました。

2014年頃には、本体価格が10万円を切ったことが驚きでしたが、現在では2万円程度で買える機種まで登場しています。
 

使える素材と強度

材料押出堆積法の使える素材は、ABS樹脂、PLA樹脂、ナイロンなどで、比較的強度の高い造形物を作ることができます。また、状態によっては機械部品の機能テストにも使えます。

光造形法(SLA、DLP)

光造形法とは、光硬化タイプの樹脂に対して、紫外線を当てて一層ごとに樹脂を硬化させて立体物を造形する方式です。

一層分の光硬化が済むと、テーブルが垂直方向に移動し、次の層を造形しますが、この動作をくり返すことで光硬化樹脂を硬化させて積層造形を行います。

光造形法は、3Dプリンタブームが起きる前から、設計製造の試作の手法として身近なものでした。また、過去には3Dプリンタは「光造形機」と呼ばれていました。

以前の光造形法は各事業所部門が保有せず、自社の試作部門で保有しているのは一部大手メーカーのみであり、造形メーカーに外注するのが一般的でした。
 

使える素材と強度

光造形法の使える素材は、エポキシ系、PPライク、ABSライクなどで、強度の面ではやや劣ります。

インクジェット式

インクジェット式は、インクジェットプリンターのインク部分を、紫外線硬化性の樹脂に置き換えて使用する造形方法です。硬化性樹脂をインクジェットヘッドから噴射し、紫外線で固めながら材料を積層していくという方法です。

インクジェット式の基本的な構造や仕組みは、紙に写真や文字を印刷するインクジェットと同じです。インクジェット式には、粉末固着造形(バインダージェット式)と光造形系のインクジェット式があります。
 

使える素材と強度

インクジェット式が使える素材は、光硬化性樹脂、アクリル系、ABSライク、PPライクなどで、強度はやや強いです。

粉末焼結積層造形

粉末焼結積層造形は、粉末樹脂や粉末金属を焼結することで立体形状を作る造形方法です。樹脂の他には金属の3Dプリンタでもよく使われています。

上位機種にはカラー対応のモデルもあり、造形時に直接着色することもできます。
 

使える素材と強度

粉末焼結積層造形で使える素材は、ナイロン、ステンレス、チタンなどで、チタンやステンレスを造形できることからも強度はかなり高いといえます。

3D樹脂プリンタ積層造形以外の方式

3D樹脂プリンタ積層造形以外の方式として、これまで部品加工においてよく使用されていた加工方法に、切削加工、旋盤加工、射出成形、プレス加工といったものがありました。

切削加工は、上から下に加工していく手法ですから、積層造形の方法とは逆になります。切削加工は、下に固定した材料を上に固定した工具で切削していきます。

切削加工は内側をえぐるように削ることができませんから、中空の形状を作るにはその形状に制限があります。

また、射出成形は熱で溶かした材料を金型に押し込んで、冷やして固める成形方法になります。射出成形は、プリンやクッキーなどを作るのと同じ方法ですから、材料を流す金型を作成しなければなりません。

そして、その金型は一般的に切削加工によって作成されます。ですから、射出成形では切削加工の制約と金型に樹脂を流すときの2つの制約を受けることになります。

そのため、材料を金型から外すときに、ひっかかってしまうような形状のものは作ることができません。たとえば、縦に空いた穴やかぎ状の形などです。

プレス加工では、板状の材料に金型やベンダーを押し当てて圧力をかけ、曲げたりすることで任意の形状に変形させます。ですから、作成形状はそうした制約を受けることになります。

3Dプリンタでは、そうした加工方法と比べると、加工形状の制約がほとんどなく、比較的自由に形状設計できるというメリットがあります。
 

まとめ

今回は、3Dプリンタとはどんなものなのか、その特徴や歴史について、また3Dプリンタの積層造形の仕組みや方式に関することをまとめました。

  • 3Dプリンタとは、3DCADの設計データ(STLデータ)をもとにスライスした2次元の層を1枚ずつ積み重ねることで、立体造形することができる機器を総称したものです。
  • 通常の用紙に平面的な印刷を施すプリンタに対し、3Dプリンタは元のデータに一層一層、樹脂や金属などの材料を積層しながら、立体物を印刷する装置で、下から上に形状を積み上げるといった積層造形の特徴があります。
  • 3D樹脂プリンタの用途は、たとえば、企業などで試作品を開発し、その製品を手に持って感覚を確認したり、外観イメージを確認するために使用します。また、デザインプレゼンテーションでも活用することができます。
  • 3Dプリンタはもともと工業用として、自動車や家電製品の部品をサンプル化するために利用されてきました。しかし、特許が切れたことなどから低価格化が進み、近年に急速に普及してきました。
  • 3Dプリンタの手法を大きく分類すると、材料押出堆積法(FDM)、光造形法(SLA、DLP)、インクジェット、粉末焼結積層造形の4つの種類に分けられます。

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