錆(サビ)の要因とは?メカニズムや原因を解説

なぜ、鉄は錆るのでしょうか。鉄はそのまま放置すると、錆びる(腐食する)という性質があります。錆の要因や形態、原因と対策について解説していきます。鉄の表面に酸素や水があるとき、化学反応によって表面から浸食される現象を「腐食」といい錆として現れてきます。

錆(サビ)の要因とは?メカニズムや原因を解説のイメージ

目次

  1. 1錆(サビ)とは
  2. 2錆(サビ)のメカニズムや要因
  3. 3錆(サビ)の形態
  4. 4錆(サビ)が原因で起きる劣化の事例
  5. 5錆(サビ)のチェック方法
  6. 6錆(サビ)の対策方法
  7. 7まとめ

錆(サビ)とは

さび

なぜ、鉄は錆るのでしょうか。鉄はそのまま放置すると、錆びる(腐食する)という性質があります。なぜ鉄は錆るのかを解説していきます。

錆は腐食による金属の酸化物

鉄の表面に酸素や水があるときに、化学反応をおこして表面から浸食される現象のことを「腐食」といいます。この腐食によって溶け出した鉄と酸素や水が結びついた結果できるものが「錆」です。鉄が錆びることは、私たちの暮らしているこの世の中ではごく自然の現象なのです。

腐食とはその金属が大気中で自然に還るイオン化現象です。鉄は空気や水に触れるとイオン化します。この時イオンが大気または水溶液に溶け出し、残された電子が腐食電流として流れることで錆が進行します。

錆(サビ)のメカニズムや要因

さび

錆のメカニズム

鉄の原料である鉄鉱石は、地球の大気中の酸素と結びつき、酸化鉄として地球上に存在しています。身近な自動車や建築材料などに使われる鉄鋼材料は、製鉄所の高炉で鉄鉱石とコークス(石炭を蒸して焼いたもの)を化学反応させて、鉄鉱石に含まれている酸素を奪って(還元)、人工的に鉄を作っています。

このように作られた鉄は、長い時間に再び酸素を取り入れて、元の鉄鉱石の状態(酸化鉄)に戻ろうとして、錆びていきます。酸素のない真空状態では、錆びは発生しません。

錆の要因

鉄の場合、相対湿度60%以上になると鉄表面が水で覆われるので錆が発生することがあります。梅雨の時期や、冬期間は湿度が高くなるので錆が発生しやすいといえます。
 

金属の錆びやすさは何の要因で決まるのか

金属の腐食は主に酸化還元反応の結果、金属が酸化されることいいます。日常的に利用している電池は、これと似た現象により金属から電子を取り出し、電流を生じています。
電池では極となる金属が酸化しきってしまうと電子を取り出すことができないため寿命となります。但し、二次電池は極を入れ替えて充電することで繰り返し利用ができます。

電池のように極間を電子がスムーズに行き来できるように銅線等で接続がされていない状態の下、酸化還元反応が起きることが腐食の特徴です。この時、金属表面に一時的に電子が保持され腐食電池という状態が起こっています。

腐食電池が起こる際、金属は電子を放出します。そのため、電子を放出しやすい金属はサビやすく、放出しにくい金属はサビにくいといえます。

錆びやすい金属とは

先ほど解説したように、電子を放出しやすい金属は錆やすいといえます。以下は錆びやすいとされる金属です。
・リチウム(Li)
・カリウム(K)
・カルシウム(Ca)

逆に錆にくい金属としては以下の金属です。
・金(Au)
・白金(Pt)
・パラジウム(Pd)

金(Au)や白金(Pt)などは、錆びない金属と知られています。しかし、アルミニウム(Al)や銅(Cu)など、ほとんどの金属は空中に長期間置くと、鉄と同じように表面の光沢が失われて、錆びが発生します。

金属の錆は、金属が空気中の酸素や水分と反応して酸化することによってできますが、酸化すると金属を構成している原子からいくつかの電子が取り去られ、陽イオンになります。これを金属のイオン化といいます。

金属のなかには、常温の水と反応するものと、酸としか反応しないものもあり、金属の種類によってイオン化のしやすさが異なります。イオン化傾向の大きいものがサビやすいということです。

錆(サビ)の形態

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錆は、金属の種類や環境によって腐食状態が異なります。腐食形態別に概要を解説していきます。

全面(均一)

金属の全面的に均一に腐食が進んでいる場合は、ミクロセル腐食が進んでいると考えられます。これは、水や土などの電解質を含んだ環境に接している環境にある金属には、表面組成、組織構造等の僅かな違いにより反応極が形成され(局部電池化)、ミクロセルという酸化還元反応スポットが形成されることで腐食が進みます。

異種金属接触

金属は、種類によってその金属が持つ電位が異なります。電位の違うふたつの金属が電解質中で接触すると、一方の金属がアノードとなって腐食が促進され、他方の金属はカソードとなって腐食が抑制されます。

たとえば、アルミ架台を鉄製のネジで固定する場合、雨や結露などにより異種金属の接触箇所に水がかかることで腐食が発生します。電位は鉄よりもアルミの方が低いので、この場合はアルミの方が腐食して、白錆が発生してしまいます。

エロージョン

浸食とも呼ばれ、「流体が材料表面に繰返し衝突したり、衝撃を与えたりすることにより、機械的な損傷を与えてその一部を脱落させていく現象」のことをいいます。エロージョンは、日本語では、壊食、侵食、潰食、摩食などといわれることもありますが、現在ではエロージョンとするのが一般的です。
 

擦過摩耗

金属を含み、接触する二種類また三種類の材料の摩擦によって生じる腐食をいいます。
 

すき間腐食

金属に物理構造としてすき間がある場合、毛細管現象等で引き込まれた溶媒、エアロゾルにすき間内外濃度差が生じて、局部電流が生じることで起きる腐食のことをいいます。すき間腐食は、鉄鋼その他各種金属に生じますが、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタンなど不動態皮膜を形成する金属にも生じます。

孔食

金属の表面処理などに欠陥があった場合、その箇所から腐食が起こり、孔状に成長する現象をいいます。孔があいたように、間口の大きさのわりに深い腐食を孔食といいます。これは炭素鋼、低合金鋼、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金などに生じますが、よく知られているのがステンレス鋼やアルミニウム合金などのように、耐食性の高い不動態皮膜を生成するといわれている金属に発生する孔食です。
 

剥離

金属の層状構造から、うろこのように層がはがれていく現象をいいます。
 

脱成分

合金中の特定の成分が選択的に失われる腐食のことをいいます。代表的な例として、黄銅の脱亜鉛(現象)があります。

粒界腐食

金属のバルク中にある細かな結晶の境目(結晶粒界)に沿って腐食が進行する現象をいいます。
 

応力腐食割れ

ある環境中において、この引っ張り強さ以下の応力でも、それが加わった状態が持続すると、やがて金属に割れが生じます。この腐食現象を応力腐食割れといいます。金属材料表面上に腐食点が生じた腐食が穏やかに進行します。
 

微生物腐食

金属が微生物により直接的あるいは間接的に腐食を受ける現象のことをいいます。
 

迷走電流

大地に流れる漏れ電流などが土中の電解質を介して金属表面の電位を変化させることで起きる腐食のことをいいます。主に土中で起きます。電気鉄道やその他電気設備から大地に漏れ出した直流電流によって腐食する現象もあり、電解腐食を略して電食とも呼ばれます。
 

水素脆化

水素脆性は、鋼材中に水素が吸収されることによって、鋼材が脆くなる現象をいいます。
 

錆(サビ)が原因で起きる劣化の事例

さび

では、錆が原因で起きた劣化の例を解説していきます。

部品を固定していたボルトが割れてしまった事例

駐車場の金網をボルトとナットで固定していたが、強度は十分にあるにも関わらずボルトに割れが発生していた。ボルトの締め付けによる応力と、周辺環境から供給された化学物質が原因で応力腐食割れが発生したと考えられます。

固定していたネジが破損して落ちてしまった事例

倉庫の外壁はステンレス建材を使い、アルミニウム製のネジで固定していた。
時間が経過するとネジが破損し落下してしまった。

アルミニウム製のネジでステンレス建材を固定すると、風雨等に曝されているうちに、アルミニウム製ネジの腐食が促進されて、固定に必要な強度が保てなくなることが原因で、異種金属接触により腐食が発生したと考えられます。

錆(サビ)のチェック方法

さび

金属を使い長期間使用される想定の製品は、開発段階での材料の選定や表面処理などを十分検討することが大事です。また、評価期間を短くするために腐食を促進、加速する試験を実施して評価します。耐用年数と同期間評価試験をすることは現実的ではないため、このように加速試験を行うことがあります。

主な腐食の評価方法(腐食試験)を解説します。
 

大気暴露

想定される使用環境において、通常の大気中に放置して腐食を評価します。
 

塩水

塩水を噴霧し、乾燥→湿潤を繰り返して、大気による腐食を促進して評価します。
塩水噴霧試験機などがあります。
 

紫外線

太陽光による腐食を想定し、紫外線による劣化を評価します。
 

対候性

風雨、気温の上下を人工的に作り出し耐候性を評価します。
 

pH

水中、土壌の酸塩基性をコントロールすることで酸、塩基の働きによる腐食を評価します。
 

オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)

オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)により温度、圧力を調整し、経時変化を加速して評価します。
 

ガス

電子部品・機器およびその構成材料を想定される環境を模したガス雰囲気化に置き腐食を評価します。
 

複合サイクル

上記の項目を組み合わせて複合条件下で腐食を評価します。
 

錆(サビ)の対策方法

さび

錆の発生原因には様々な組み合わせがあり、それに対応して防ぐ手段もあります。
金属を腐食から守ることを防食といいます。その防食方法について個別に解説します。
 

合金

基となる金属に異種金属を添加し、表面に不働態皮膜を形成させて腐食を防ぐ方法
 

材料設計

使用環境を考慮して耐食性を高めた材料を開発する方法
 

構造設計

すきまの発生や異種金属の接触を配慮する方法
 

防食サビ形成

温度、電位、周辺化学物質をコントロールして金属表面に防食性の錆を形成し、それ以上腐食を起こさせない方法
 

塗装

有機材料によって金属の表面を覆い基材の金属を腐食から守る方法
 

表面処理

鉛、アルミニウムのような金属をメッキする方法
 

薬品抑制

腐食を抑制する化学薬品(無機、有機ともに有)に浸す、もしくは塗布することで金属の腐食を減少させる方法
 

電気防食

金属が腐食しない電極電位を一定以下に保つことで腐食を防ぐ方法
 

環境制御

使用環境(温度、周辺の化学物質等)をコントロールして金属に腐食が起きにくい状態を保つ方法
 

まとめ

まとめ

この記事では、錆の発生する原因とその対策について紹介してきました。錆は金属の表面から発生するので、酸素や水が直接触れないように表面をコーティングすることで、腐食を防ぐことができます。これを被覆防食といいます。

鉄の被覆防食には以下のような方法もあります。
・表面を塗装する。
・樹脂を貼り付けたりする
・スズやクロムなど耐食性の高い金属でメッキする
・チタンやステンレス、アルミニウムといった異なる金属を貼り合わせる
・ガラス質のセラミックスで覆ったりする

素材のままの金属は、錆を完全に防ぐことは難しいので、材料に合った対策をしていきましょう。
 

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