鋳造欠陥とは?種類ごとの原因と対策

鋳造欠陥とは何か? 金属材料を加工する際、「欠陥」に対して対策をする必要があります。特に鋳造では、使用される材料や鋳造時の作業方法などが原因で様々な欠陥が生じることがあります。この記事では、鋳造欠陥の種類と主な原因、鋳造欠陥の種類ごとの対策を解説します。

鋳造欠陥とは?種類ごとの原因と対策のイメージ

目次

  1. 1鋳造欠陥とは
  2. 2鋳造欠陥の種類と原因
  3. 3鋳造欠陥の種類ごとの対策
  4. 4まとめ

鋳造欠陥とは

鋳造欠陥とは

鋳造(ちゅうぞう)欠陥とは、鋳造工程において起きる鋳物(いもの)の不具合のことをいいます。鋳物の割れやへこみ、出っ張りなど表面の荒れ、内部に空洞ができる鋳巣など、様々形状の欠陥が生じます。

鋳型(金属、砂)の使用材料よる不具合、鋳造作業には金属溶解、調砂、造型、注湯などの鋳造プロセスがあり、その鋳造プロセス中で鋳造欠陥の原因が潜んでいる可能性があります。鋳造欠陥は不具合現象によって異なった原因を持っています。

鋳造において、鋳造欠陥は複数発生することがあります。原因はひとつではなく、鋳造プロセス過程で複数の原因により発生する場合があります。この記事では、代表的な鋳造欠陥について解説します。
 

鋳造欠陥の種類と原因

鋳造欠陥の種類と原因

鋳造における以下の欠陥は現象面から見て、以下の11種類に分類されます。

  1. 高温割れ
  2. 低温割れ
  3. ひけ巣
  4. 空孔
  5. 湯回り不良
  6. 湯境
  7. 洗われ
  8. すくわれ
  9. ベイニング
  10. 焼付き
  11. 砂かみ

各欠陥の現象には、それぞれ形状に特徴があり、この章では鋳造欠陥の現象と原因について解説していきます。鋳造加工品の表面に現れる欠陥は、目視により欠陥の現象を判断することができますが、鋳造加工品の内部に発生する欠陥の場合は、放射線透過検査装置などを使用した非破壊検査により判断する必要があります。

①高温割れ

「高温割れ」は凝固中に、鋳物本体の最終凝固部や溶湯の先端部にヒビや割れが発生する現象です。

「高温割れ」の原因は、凝固冷却時(成型後に冷えて固まる時)の体積収縮により引張り方向の応力が発生し、主に最終凝固部(最終的に固まる部分)に亀裂が生じる現象です。型内部の冷却にバラツキが生じる事や、鋭角になる部分がある、厚い部分があるなど型の構造に起因することもあります。

また、多くの破面が酸化していることも「高温割れ」の特徴です。
 

②低温割れ

凝固冷却時、常温近くになった際に冷却の不均一により内部の応力が原因となって発生します。冷却過程やその後時間が経過してから発生することもあります。破断面は脆(もろ)く、へき開面を示す場合もある。「へき開」とは、多くの結晶は叩くと平らに、決まった面で割れる性質を持っていることをいいます。
 

③ひけ巣

「ひけ巣」は、鋳込み温度が高温で、冷却時の収縮が大きくなってしまうことで鋳造品内部や表面に隙間ができてしまうことが原因です。つまり、金属が液体から固体になるときに体積が減少する時に、「凝固収縮」と呼ばれる現象によって発生します。

「内びけ」は、鋳造品の内部に空隙が発生し、「外びけ」は表面がへこみます。「内びけ」は、「鋳巣」とも呼ばれます。
 

空孔

「空孔」(くうこう)とは、鋳造品内部に生じる空洞のことで、「ブローホール」は、鋳物内に生じる丸みを帯びた空洞で、直径2-3mm以上の球状の空洞のことをいい、「ガスホール」と呼ばれることもあります。「ピンホール」は、それ以下のもの指します。

また、最終凝固部に発生する樹枝状の小孔の集まりを「ミクロキャビティ」といい、溶湯に溶解した水素が、凝固時にガスとして排出されて空洞が発生することが原因です。

「ブローホール」は、溶湯が鋳型に鋳込まれる際に、空気や鋳型から発生するガスが巻き込まれることによって、鋳造品内部や表面に空洞が発生します。その内面は比較的平滑で、ガスの種類によっては金属光沢や変色が見られることがあります。鋳鉄では、黒鉛膜が見られることもあります。

ひけ巣と似ていますが、ひけ巣とは異なる対策を検討する必要があります。

⑤湯回り不良

「湯回り不良」は、溶湯(溶けた地金)を鋳型内に流し込む際、空洞の部分に溶湯が完全に満たされない状態で凝固してしまい、鋳造品の角などが丸くなってしまうなど、部分的に欠落するという現象のことをいいます。

「湯回り不良」は、鋳型の空洞に対する溶湯量の不足が原因です。
 

⑥湯境

「湯境」は、複数方向から溶湯が流し込まれた際に、溶湯が合流した部分に発生する湯じわができる現象をいいます。「湯境」は「湯回り不良」と同じように、湯流れの不十分が原因です。

⑦洗われ

「洗われ」とは、鋳型や中子の表面が溶湯に洗われて、流されてできたへこみに、溶湯が流れ込み凝固することによってできる不規則な出っ張りのことをいいます。

注湯の勢いに鋳型表面が耐えられないと砂がはく離し、「洗われ」が発生します。
 

⑧すくわれ

「すくわれ」とは、溶湯によって鋳型表面が膨張して一部がはがされ、鋳物の一部に砂を混入した現象をいいます。根本的には砂の膨張で、鋳型が膨張して弱くなり、溶湯の充満時に発生します。原因としては以下のような要因が考えられます。
 

  • 鋳込み速度が遅すぎる
  • 鋳込み温度が高すぎる
  • 砂の熱間強度が弱い
  • 湯口位置が悪く、鋳型の一部が局部的に加熱される
  • 砂中の粘結分、微粉が多い
  • 鋳型修理が不完全
  • 塗型が厚すぎる
  • 心金類が膨張して中子がこわれた
  • 砂の込めつけ方がやわらかい
  • ガス抜き不十分
  • 砂の通気度が低い

⑨ベイニング

「ベイニング」とは、鋳造品の表面に発生する、板状の出っ張りのことをいいます。鋳造品の角すみ部に発生しやすいものです。溶湯の熱により鋳型が膨張し、クラックが発生、そこに溶湯が流れ込み凝固することにより板状に出っ張りが発生します。
 

⑩焼付き

「焼き付き」とは鋳型表面の砂が一部溶解・鋳物表面に付着し、砂と金属が混合することで砂落としが困難になる状態をいいます。溶湯が鋳型の砂の間に入り込み、砂と溶湯が混ざり合う「浸透型」(「さしこみ」)と、化学的な反応によって引き起こされる「非浸透型」があります。

原因としては以下のような要因が考えられます。

  • 溶湯の温度が高すぎる
  • 砂の込め付け不足
  • 砂の耐火度不足
  • 粘土分や不純物が多量に含まれている
  • 塗型剤の性質が悪い

⑪砂かみ

「砂かみ」とは、鋳型に溶湯が凝固するまでに、その砂がくずれ落ちて鋳物の表面付近に現われる不具合のことをいいます。「洗われ」や「すくわれ」により鋳型から剥離した砂が、鋳造品の表面や内部に介在してしまいます。

原因としては以下のような要因が考えられます。

  • 鋳物砂が弱い
  • 掃除が不十分
  • 湯口方案が不良
  • 湯口まわりのつき固め不良

鋳造欠陥の種類ごとの対策

鋳造欠陥の種類ごとの対策

代表的な鋳造欠陥について説明してきました。どのような欠陥が発生する可能性があるか、あるいは発生しているかを把握したら、その原因と対策を確認しましょう。鋳造欠陥の原因は必ずしもひとつではありませんし、同時に複数の鋳造欠陥が発生している可能性もあります。

あらゆる角度から原因を分析し、適切な対策を講じることが重要です。それでは、それぞれの鋳造欠陥の代表的な原因と対策を解説します。

①高温割れ

「高温割れ」を防ぐためには冷却速度をなるべく均一にするために、以下の対策が有効です。

  • 冷やし金を使用する
  • 鋳込み時間を短くする

また、鋳型は鋭角となる部分はなるべく作らないようにし、適当な面をとることも有効な方法です。
 

②低温割れ

「低温割れ」の対策としては、内部応力が発生しないようにするため、冷却時に常温まで下がる前に再加熱して冷却の不均一を防止することが有効です。
 

③ひけ巣

「ひけ巣」の対策には、以下のような方法があります。

  • 押湯や冷やし金を使用し最終凝固部を移動させる
  • 鋳込み温度を下げて、冷却時の収縮を調整する
  • 厚みをできるだけ均一にする(過度な厚肉部を作らない)
  • 溶融金属を補うための押湯(おしゆ)を大きくする
  • 押湯の逆側に冷金を当てて冷却を速くする

④空孔

「空孔」の原因となるガスは、注湯中の酸化物から発生する場合や、鋳型の通気性が低く酸化物が含まれる際に発生する場合などが考えられ、注湯温度が低いときにも発生しやすくなります。

「空孔」の対策には、以下のような方法があります。

  • 注湯中の酸化物をなるべく除去する
  • 鋳型や取鍋の乾燥を徹底する
  • 巻き込まれたガスを速やかに放散させるためのガス抜きを作る。

⑤湯回り不良

「湯回り不良」の対策には、以下のような方法があります。

  • 鋳込み温度の低いものは入れない
  • 湯口方案を修正する
  • 鋳型のガス抜きをよくする
  • 湯漏れに注意する
  • 鋳込み方法に注意する
  • 通気度を上げる。

⑥湯境

「湯境」の対策には、以下のような方法があります。

  • 鋳込み温度の低いものは入れない
  • 湯口方案を修正する
  • 鋳型のガス抜きをよくする
  • 湯漏れに注意する
  • 鋳込み方法に注意する
  • 通気度を上げる。

⑦洗われ

「洗われ」の対策には、以下のような方法があります。

  • 溶湯の流れの衝撃を緩和できる堰(せき)を設置する
  • 注湯量を調整する

⑧すくわれ

「すくわれ」の対策には、以下のような方法があります。

  • 鋳型の熱間強度を高くする
  • 鋳込み時間を速くする
  • 湯口の位置を変える
  • 表面安定度を上げる
  • コンパクタビリティ値を上げる
  • 抗圧力硬度を上げる

⑨ベイニング

「ベイニング」の対策には、以下のような方法があります。

  • 鋳型の砂のサイズと分布、注湯温度、充填率を見直し応力が高くなりすぎないように調整する
  • 鋳型の基本材料を見直す

⑩焼付き

「焼付き」の対策には、以下のような方法があります。

  • 「浸透型」は、固く鋳型を込め付けることや塗型を使用する
  • 「非浸透型」は、鋳型を化学反応の起こしにくい砂にする
  • 溶湯温度を適度に保つ
  • つき固め、とくに鋭角な張部に入念にかたくつき固める
  • 鋳物砂に不要な不純物を混ぜない
  • 塗型剤を検討する。

⑪砂かみ

「砂かみ」の対策には、以下のような方法があります。

  • 砂に強度を持たせる
  • 鋳型の表面安定度を上げる
  • 砂に熱間強度をもたせるよう配合する(新砂投入)
  • 掃除に注意する
  • 均等に湯が入るようにする
  • 強く込めつける
  • 表面安定度を上げる
  • コンパクタビリティ値を上げる

まとめ

まとめ

この記事では、金属鋳造における欠陥の種類とその原因・対策について紹介してきました。鋳造における欠陥は、製品の見た目や機能に大きく影響し、欠陥の内容によっては安全性にも大きく影響することがあります。

また、金属鋳造は凝固の際の体積収縮により欠陥が生じやすい性質を持つため、製品の設計時には、欠陥を回避するように設計する必要があります。
 

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